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キ ョ ウ ル ヨ ヘン |
冬 の 旅 |
雪越しに望む教会堂の尖搭を背景に無伴奏アカペラの我が『冬の旅』Winterreise
チョナンからバスでコンジュに向かう途中、すごい吹雪になり到着したときは一面銀世界 朝は雪昼は燦きらめく白馬江ペンマガン闇には黒花降りしきるらし プヨではゆるやかに流れるペンマガンに沿って一日中行ったり来たりしていた 大蒜ニンニクとキムチの力侮れず冷蔵庫ネンジャンゴ搭載の自転車チャジョンゴ
ぬかるみの路地に番地を探し当て後の逡巡しりごみは笑顔の翳故
龍頭山ヨンドサンに警報発令尻尾踏まれし蛇の心地で搭に滑り込む
木浦モッポなる儒達ユダル山頂霧の中演歌に涙は即き過ぎるものを
トクタクトクタクと聞こゆギタ−の爪弾きは秒刻みに色を変へ移ろふ
光る街朝鮮大學の屋根裏の壁ゆもぎ取りし半島全図
やさしい日本語、優しくない日本人、同情より理解より愛より恨ハン
温厚な警官の眼の充血も暗紅色あかき旅券の反映ならずや
雨の「麒麟苑きりんゑん」孔雀等吾を憐れみて翡翠鱗粉の綺羅撒き散らす
旅人宿ヨインスク丑三ツ刻の立回り娼婦の罵声壮絶の美
底抜けに陽気な香具師やしの群に潜み親和力波及す小人の家族
沙果サグヮと言ふ響き共々嚥下して恍惚に達する程の腹下し
羽根よりも鋭く降れる雪の中ラケットで擲うちたきもの本当は何?
KOBE神戸から来たと話すも不得要領えうりやうをえず地理学専攻の女学生二人
六月に入隊するてふ若き友の憂鬱吾に憑依してブル−
ああ3・1サミルあつけらかんの青空をパゴダ刃物の如く斬り刻め
抽象も具象も有象無象うざうむざうらも白日夢と化す映像の搭
日本では子供嫌いの吾なるに童子オリニの遊戯ノリに胸躍り立つ
眷戀けんれんの掛陵ケルンに続く松並木去年こぞの夢今何処−−アリス非在
南山山麓三佛寺サムプルサ日曜学校の讃美歌は似て非なる響き般若心経パニャシムギョン
魚市場のアジュマ言葉の平手打ち、されど吾には・・・
花を待つ 金色細雪ささめの花を待つ 望み虚しく連翹ケナリに逢はず
帰還拒みえぬ未練の飛行 雲海を領す有明の海月くらげを嫉む
サンボ通信13号(1989/07/07)所載。1989年2月14日から3月14日までの、Morris.2回目の韓国旅行。 最初の旅は、日記を掲載したが、この時は、一冊のアルバムに写真をまとめて回覧した。それでもサンボ通信にも何か形に残したいと、歌に詠んでみた。構成上、旅程と歌の順序は違っている。タイトルは、シューベルトの歌曲集のタイトルを拝借した。 |
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