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丘の上の孤独な花見徳利には濁酒
どぶろく詩魂画才溢れて
蕪村の薔薇 何事ノ不思議無ケレド訝
イブカシキ水郷ノ人ノ片仮名ノバラ 腐つても鯛は尚鯛薔薇は薔薇髑髏酒杯に詩人の烙印 結末も思ひ出も何も知らぬ振り国境の薔薇の作為的無表情
Poker face 砂一顆内部に孕む微小宇宙核心で病む一輪の薔薇 言葉にも花にも鋭き棘ありて自滅するまでの戀美しき 緑なす楽園疾
とうに失はれ昔日の熱狂ひつそりと燻
もゆ 薫り立つ薔薇の花瓣に触れもせで石と空との風景を愛す 薔薇は渦薔薇は酷薄薔薇は痴愚薔薇は表象薔薇は薔薇は薔薇 夜鴬とり
と薔薇はな
金銀綺羅沙に隠れても密通著しる
く顕あらは
る彩色寫本 支那服の似合ふ娘の待ち切れず薔薇屋へ身売りすてふ深夜の電話 老醜極まりし果ての燻
いぶし銀さながら匈族英雄譚
カレヴァラ言葉の凱歌 穹門アーチ
なす百千の薔薇行く人に笑ひ顔もて災を擲な
ぐ 鬩せめ
ぎ合ふ紅薔薇白薔薇散乱と縺もつ
れた果ての括染薔薇Tuder-Rose 淫蕩な香油で武装せし兵士ばかり大馬色
ダマスク好きの薔薇十字軍Rose-Crusade
刃物もて弱者の思ひ突き立てむ狂はぬ内は戀に非
あらねば 黄金の香かをり
の君を液化して飲み尽くしたき欲望に勝てず 罪と罰裏切りと虚偽四本の薔薇に負はせて君南下せり 有るだけの力で地球を抱擁す薔薇状の葉は花より優し 試みに薔薇色眼鏡誂へて見れば世界の何と馬鹿馬鹿し 哲学者にして吟遊詩人解剖の後酒精alchol
漬の大脳の襞甚だ深し 選ばれし一人と選ばれざりき無数目印の薔薇痣
ばらあざ鍼刺すも哀れ 若し勝てば無限薔薇園庭師付き負けし場合の覚悟や如何に 永久に不可能な永久機関を夢む盧森堡
リユクセンブルクの一点の紅 彼人あのひと
の心臓の上に薔薇を吊り唖のハルポにしてしまひたき サンボ通信第9号(1988/05/20発行)所載。表紙のカットはルドゥテのカラー図版を白黒コピーして使った。 花好きのMorris.にとって、やはり薔薇の魅力は格別なことは言うまでもなく、歌にも気負いが感じられないでもないが、初期の歌篇の中でも愛着が深い。 いくらか蛇足的補足を。 ・光晴の薔薇--中国では人間の髑髏を加工して杯にするという。光晴の自伝の一つに「どくろ杯」あり。 |
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