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孤立する楽しみを悉しる影法師時間ときの流れに水松いちゐ超然 水松 いちい 姿勢佳よく春の芽吹きも速やかに文字其儘そのままに立居をる欅 朝ぼらけ花に露置く海棠の眠り醒めざる顔かんばせや愛はし 柳腰柳に受けし柳樽枝垂しだれ懸るな風にならばや 針塊樹しやぼんの香かをり悲しびの偽アカシアの雨に打たれむ 諧調の美の極北ぞ合歓の花汝なれに逢ふ度たび降伏を冀こふ 戦国の世は花ならで一刻も早橘の叢むらさして駈く 筒井筒君が腕かひなに抱いだかれて檜御殿に沐浴の午后 東海の白砂青松絵空事待つ人は来ず来ぬからにこそ
青き空ポプラ並木に白き雲有り触れしもの更に懐かし
黄金虫こがねむし百合木目印墜落死ポオよ乱歩よ黄金時代よ 羅漢槙達磨写しの実の不思議不在の庭に「失はれし時」
葉の色も移りにければ紅葉狩燃ゆる想ひを楓留めむ
羽摶はばたけば金の鱗粉風に舞ふ秋は大學路テハンノ銀杏双樹 柞葉ははそはの母誘おびき出し裏山に団栗拾ひ無償の悪意 飄軽な十字亜美利加花水木紅白対の舶来屏風
桐一葉季節を担になふ象徴の木肌きめ柔らかに女裳を包む 火に触ふるれば身も世も何時か空むなしかる七竈焼く理ことわりぞ無き 白秋の詩に絡まりし落葉松の林に入らば還らざるべし
神の山三輪の杉玉神隠し神酒みき酌む升ますに余る真実 聖誕祭樅の梢に一つ星子供は大人の父であるといふ嘘
棘成す葉要所要所に釘打たれ蘇鉄地獄に昇天す神
釦玉ぼたんだま懸けて暢気のんきなプラタナス枯葉を掬すくふシヤベルの重み 雪の肌擬態白樺皮矧ひかば汝の本性見えて来るかも 忘れてし武雄神社の大楠の洞の蝙蝠不意に恋ほしも
釈迦牟尼の印欧語族菩提樹下彼方獨逸ドイツの湖畔を観くわんず サンボ通信38号(1997/07/10)所収。 Morris.は自称植物人間というくらい、植物好きではあるのですが、一般的には草花中心で、木本はやや苦手な部類に属します. それで、つい、名前の面白さに頼ったり、漢字の絵解きになったり、言葉遊びでに逃げたりしてます. 最終歌の「印欧語族」に関しては、Morris.の無知が露呈する一幕もありました. 初出は「釈迦牟尼も印欧語族」となってました、つまりMorris.は「印欧語族」の意味を完全に取り違えていたわけです。 間違いを指摘してくれたのは、京大大学院生の北極さんでした。 彼は言語学専攻で、当時ニューギニアの少数民族の言語研究のため何度も現地に飛び、フィールドワークに励んでいました。 あわてたMorris.は「も」を「の」に変更して急場しのぎしようとしました。 しかし、時既に遅く、大部分は発送済みだったのです。 インターネットなら、簡単に訂正できるのに、と、今さらながら、便利になったものだと感じ入りました. 本ページを編集していて、そんなことどもが思い出されたものでした.
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