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甲冑は己が弱さを隠すため角ぐむ兜蟲のヒポコンデリア Xylotrupes dichotomus.カブトムシ 道教え導く道の石畳生ける毒薬斑猫の妙
富貴と一線を画す傲慢は<常夜燈を迴る金龜子の如く>
鉄砲蟲神斬る夢は手に余る白絛天牛肌理きめ潔し
伊達振りもおつちょこちょいも親譲り歯軋り愛かなし虎斑天牛
淫樂の極み白晝はくちう花粉こな塗れ業の深みに花潜陥つ
百蟲の王鋼鉄の非情漢鍬形蟲は夏の暗闇
脳天気紙飛行機より軽く翔ぶ七星瓢蟲破天荒
さりげなく宇宙開闢物語る危あやふき鐙あぶみ薔薇瑠璃金花蟲
豆蔵も自給自足の穀潰し穀象蟲の剽軽な顔
慶州キョンジュなる南山峠ナムサンコゲゆ路すがら戀の匠が落文かも
蟲非蟲むしでなしバタ屋暮らしの明朗ほがらかさ何時しか彼も一かどの塵芥蟲
韋駄天の紳士逃げ足身上の螺旋経巡へめぐり今日も木迴
機織りは注意をさをさ怠らず鵝筆がひつ黙祷筬蟲の裔すゑ
黒尽くめ蝙蝠傘と心中の舞々被狂亂の舞
一発は三井寺詣での置土産屁漉蟲にも仁義の有らば
葬儀屋の屍骸愛好症ネクロフォリアは職業病しごとがら永劫回帰させる埋葬蟲
遊撃ゲリラ戦今日は昨日の仇かたき討ち標本箱中の標本蟲を食ふ標本蟲
好物は毛皮土佐節薩摩節菊科昆蟲鰹節蟲
面白き波紋の要かなめ鼓豆浮草稼業波乱万丈
土左衛門すつぽん歌舞伎源五郎粋いきな縁取り見榮の切り賣り
縦縞のア−ルヌ−ボ−箪笥守たんすもり曖昧模糊な吉丁蟲の艶いろ 仮死状態しんだふり弛緩ゆるめば跳ねる弾機ばね仕掛シジュフォスとなるな叩頭蟲
夏草や源平螢の腹の冷え蒼き情熱氷の焔
埃及王、聖セントファ−ブル、ホルス神、糞轉蟲の下僕の豪奢がうしや
サンボ通信第20号(19992/06/25)所収。Morris.が小学4年から中学2年まで、昆虫採集に熱中していたことは、あちこちで喧伝している。田舎のこどもの趣味だから、特に体系的に収集したわけではないが、蝶・蛾などの鱗翅目と並んで、カブトムシ、クワガタムシに代表される鞘翅目(甲虫)は、コレクションの中枢を占めていた。 虫好きの方なら説明も不要だろうが、あまり詳しくない方は、是非、子供向けのものでかまわないから、昆虫図鑑を参照しながら読んでいただけると嬉しい。 コガネムシの歌の引用部は、金子光晴の詩の一節である。 歌の中で緑文字の部分が主題の昆虫名です。1行下のカタカナを当てはめて読んでください。 |
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