隠花植物の夢を見た ぼくは海月を飼いたい が できない 今津の街角で見つけた 青空を映す瞳のような五弁の花の名は ねもふぃら というのだった どことなく Necrophilia(屍体愛好者)を連想させる 和名は完璧に近い美しさだ 瑠璃唐草!! そういえばこの花は 石の門柱にまつわりつくように蔓を絡ませて咲いていた 一輪を摘み取り 読みかけのポルノグラフィに插んで帰ってきた ペイパーバックの紙質はあんなふうだから 押し花には最適だ そういうわけで いま ぼくの目の前に花の標本らしきものがある nemophila 羅典語で「無葉の」という意味だろうと これは当てずっぽうだが それにしては小さいながら葉っぱはあったようでもあるし−−− ジュール・ヴェルヌのロマンに登場する ノーチラス号の船長の名は 羅典語 nemo(nobody)に由来すると読んだ記憶がある 船長の孤独な瞳の色は この花のようであった と 決め付けてはおかしいだろうか この青さは 懐かしくて 懐かしくて 懐かしい ●天に星
地にねもふぃらの 零こぼ
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