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  Morris.日乘2016年11月

Morris.の日記です。読書控え、散策報告、友人知人の動向他雑多で す。新着/更新ページの告知もここでやります。
 
今月の標語

復 路 工 事

【2016年】  10月   9月 8 月  7 月   6 月  5 月  4 月 3月 2 月  1 月
【2015年】
12月  11 月  10月 9 月 8月 7 月  6月 5 月 4月 3 月  2月  1 月

2016/11/30(水)●むくげ通信
7時起床。
今朝の血圧は164/83/78。
午前中は昨日送られてきた「むくげ通信 279号」を読む。
六甲学生青年センターの飛田さんらが1971年に結成したむくげの会の隔月刊の会報で10数名のメンバーがそれぞれ関心のある朝鮮/韓国関連の記事を寄稿している。長期連載記事も多く、堀内さんの書誌探索が178回、山根さんの歌・ノレ164回、寺岡さんの日本の朝鮮遺跡と深田さんの朝鮮石人像がともに45回と30年超えるものもある。初期には手書きだったのが、徐々にワープロ原稿化が進み、数年前にはすべてワープロ文字になって読みやすくなった。またセンターの印刷機段階的グレードアップで全ページカラーになり、最新機では、中綴じまで自動でやってくれる(@_@)
Morris.は山根さんと大和くんの歌謡関係記事を愛読している。
山根さんは「歳月経てば セウォルガミョン」という曲について6pという、この通信(全28p)にしてはかなりの長文記事。一般には1976年発表した女性フォーク歌手パクインヒの曲として知られているこの曲、1968年ヒョンミ、1959年ヒョンイン録音盤があり、今回新たに1956年頃発売されたナエシム(羅愛心)の原盤が発見され、これが最初の録音ということが認定された経緯など、曲成立の「伝説」も踏まえて紹介。
大和くんは前号まで日本で活躍した韓国歌手の特集ですごく興味深く読ませてもらったのだが、今回は北朝鮮ボチョンボ楽団のリジョンオ追悼記事、平常冷麺での食道楽記事、韓国に想いを馳せた日本の歌手(菅原都々子と小畑実)の三本掛け持ち(^_^;)で、それぞれが1pずつというのは、ちょっと物足りなかった。このシリーズはまだ続くらしいので次号に期待。
昼からJRで神戸に出て中央図書館へ。猫場の宇治川小公園に行ったが、今日は二匹しかいなかった。
図書館の新刊コーナーに、7月伊丹市立美術館で写真展見に行った大原治雄の写真集があったので、中庭でヴィジュアル読書。ブラジル移民の生活の記録としても貴重なものだろうが、何よりもモノクロ写真の美しさ尊さがじんわりと伝わってくる。
7時帰宅。
今日の歩数は4626歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 구토(クト 嘔吐 吐き気) 今日灘駅のホームのJRの看板にホームでの注意事項が日英韓中の4ヶ国語で表示してあった。その中の一つが次の文例である。
・急に吐き気を催しても、線路には吐かないで下さい
갑자기 속이 메스꺼워도 선로에 구토를 하지 마십시오.
갑자기(カプチャギ 突然) 속이(ソギ お腹が) 메스꺼워도(メスコウォド ムカついても) 선로에(ソンノエ 線路に) 구토를(クトルル 嘔吐を) 하지 마십시오.(ハジマシプシオ しないで下さい)
しかし、突然吐き気を催した人が、こんな注意書き読む余裕があるだろうか?読んだとしても生理的欲求には抗し難いのでは??  いやこれは先に見て常識として学習してほしいというJR側の要望かも知れない。


今日の韓国語(^_^;) 

宇治川小公園猫#1 

#2 

野罌粟 

今日のヴィジュアル読書 

大原治雄写真集 

神戸地方裁判所 

夜見てもやっぱり間抜け(>_<) 

珍しく発泡酒 

【ゴッド・ブレイス物語】花村萬月 ★★★ 1990/02/25 集英社 初出「小説すばる」89年冬季号
著者のデビュー作のロックバンド小説。騙されて京都のクラブでホステスやることになったバンドリーダー朝子とクラブオーナー元ヤクザとの絡み、バンドメンバーそれぞれの音楽への思いとやり方、様々な愛の形……それなりに面白かった。

ブルースやジャズ、そしてロックをやる以上、誰でも突き当たる問題を、初めて真剣に考えたような気がする。
結論は……日本人同士から始めようということ。あたしたちはなんのためにことばを持っているのか、ということ。
日本語で演奏しよう。日本語で唄おう。これまでは英語、正確にはアメリカ語でやってきたあたしたちにとって、大きな方向転換になる。


ロックを英語でやるか日本語でやるか、たしかに大きな問題である。まあ、ほとんど韓国歌謡しか歌わないMorris.にはあまり関係ないか(^_^;)

2016/11/29(火)●朴槿恵辞任の意向表明s
7時半起床。
今朝の血圧は195/90/83。
昨日の現場まで歩いて直行。神戸文書館のちょっと上の方のマンション、上り坂で40分近くかかった。
久しぶりに秋本くんと一緒だった。iPhoneの電池、メモリーとか、いくらか教えてもらう。
いまどき珍しい1m四方くらいのスピーカーやら、年代物のライティングデスクとか普段あまりやらないものを梱包。
現場はマンション9階だが、かなりの高台にあるので、神戸港の眺望は中々のものだった。
5時前作業終了。
韓国朴槿恵大統領が任期前に辞任するとの意向を表明。退任時期その他は国会に任せるというもので、いろいろな反応がある。時間稼ぎではないかというのが多いが、自分から言い出して辞める最初の韓国大統領になることはほぼ確実のようだ。
今日の歩数は5923歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 바늘 방석(バヌルバンソク 針のむしろ) 바늘(バヌル 針) 방석(バンソク 方席 座布団)。
바늘방석에 앉아 있는 것 같았어 針の座布団に座っているようだった。まさに昨今の朴槿恵大統領の心境だろう。
가시방석(カシバンソク 棘の座布団)という言い方もある。


影山邸の銀色ドーム 

ほぼアート(^_^;) 

毛虫の特定は難しい 

現場ベランダから#1 

#2 

#3 

【出ふるさと記】池内紀 ★★★ 2008/04/25 新潮社 初出「新潮」2004-07
先日読んだ「作家のへその緖」と同じ連載の先行作品らしい。
高見順、金子光晴、安部公房、永井荷風、牧野信一、坂口安吾、尾崎翠、中島敦、寺山修司、尾崎放哉、田中小実昌、深沢七郎の12人。
例によって、ユニークな視点が目立つ。

永らく国鉄には「チッキ」とよばれる制度があった。乗車券をもっていれば、一定量の小荷物を同じ列車の貨物車輌で運び、指定の駅で下ろして駅留めにしておける。さしあたり必要な品々を柳行李につめて駅へ運び、自分は小さな手荷物をかかえ、切符を握りしめてゆられていく。近代日本のエネルギー源になった膨大な数の上京組は、「チッキ」という制度の庇護のもとに、生活具と同行の旅をした。(彷徨 尾崎翠)

もちろんとっくにこの制度は廃止になって、国鉄もJRに変わってしまったのだが、Morris.は生涯一度だけこれを利用したことがある。高校卒業して、小倉の大学に行った時のことである。

「音戸の瀬戸」は伝説によると、平清盛が沈む太陽を金の扇で招き返して、一日にして掘りあげたけたという。それほど狭いが深度があって大型船でも抜けられる。不穏の事態になれば封鎖して鉄壁の守りを固めることもできるだろう。
明治19年(1886)5月。勅令をもって広島県安芸郡呉港に海軍鎮守府設置の旨が告示された。3年後に完成。それは大日本帝国憲法が発布された年でもある。明治23年(1890)4月、明治天皇を迎えて海軍呉鎮守府開庁式挙行。これは帝国議会の開会ともかさなっている。坂のまちはそのまま「坂の上の雲」であって、息せき切って近代化へと駆け出した大日本帝国のミニチュアというものだった。(うろつき 田中小実昌)


田中小実昌が生まれたのが呉の高台にあった非常に私的なキリスト教教会で、牧師である父親がユニークだったという話の、導入としての呉の紹介だが、「坂の上の雲」を持ってくるのは巧いと思った。

本書中一番おもしろかったのは、俳人尾崎放哉のくだりだった。
平成8年(1996)、俳人萩原井泉水の鎌倉の住居の物置小屋で数個の紙袋が見つかった。紙袋の中には尾崎放哉の投句が入っていた。
その中の一句

口あけぬ蜆淋しや

俳誌の約束で、師は弟子の作を添削する。ムダを省いて、不足をつけ加える。それをしてもかまわない。添削されたからといってオリジナルの価値はかわらない。
見つかった句稿からわかるのだが、井泉水は「淋しや」を「死んでゐる」と直して「層雲」に掲載した。

口あけぬ蜆死んでゐる

とたんに淡い叙情句が厳しい死の造形になった。死場所を求めて放浪し、首尾よくそこに行き着いた男がいる。すでに末期の目で生きており、願うところはただ一つ、この世からのあざやかな雲隠れ。そんな人物の心象風景をめぐり、一つ年上の師が友情あふれる助太刀をした。わが国の文芸史のなかで、とびきり意味深い添削に違いない。
ついでながら放哉の死が1926年、井泉水の死は半世紀のちの1976年、それからきっかり20年後の1996年に眠っていた句稿があらわれた。これまたたのしい文芸のかくれんぼというものだ。

実に含蓄のある話だが、元の句と添削されたものとは、やっぱり全く別の句のように思える。たしかに元の句は駄句とまではいわないが、凡句だろう。添削された句も名句に生まれ変わったのかと問われればそれはない、と思う。でもまあ、師にして三つ年上の友人だった井泉水の、放哉への友情の発露といわれれば、それはそれでちょっといい話ではあるな。
両句の冒頭の「口」は「□(四角形)」ではなくて「くち」である。明朝体なら間違うことはないが、ゴシックだとほとんど区別がつかない。為念。

もう一つ文学の世界できわめて珍しい現象がある。この八十年あまり前に世を去った人の句が、現代のコマーシャルにピッタリ収まるということだ。
こんなよい月を一人で見て寝る
いつしかついて来た犬と浜辺に居る
島の小娘にお給仕されてゐる
酔のさめかけの星が出てゐる
一人分の米白々と洗ひあげたる
笑ふ時の前歯がはえて来たは
-----------------
それぞれの放哉俳句に写真や映像を組み合わせると、絶妙なコピー(広告文)になる。
「こんなよい月」は不動産広告に使えるだろう。念願のマイホームを手に入れたおとうさんが、幸せそうに浴衣姿でねそべっている。窓べに夜空と、まん丸いお月さま。
「いつしかついて来た犬」と「島の小娘」は、旅行パンフレットにどうだろう。「第二の人生」とやらを迎えた中高年の旅。浜辺に佇んで遠くを見つめている年配者。のら犬が横から見上げている。旅のパンフレットでは、なぜか若い女性がカスリの着物をきていたりするが、島の宿には、そんな娘がよく似合う。写真に添えられたのが「島の小娘にお給仕されてゐる」。名うてのコピーライターが歯ぎしりしてくやしがるような名コピーではなかろうか。
酔のさめかけと星の句は日本酒キャンペーンにいいだろう。「一人分の米白々と」は農林水産省のスローガン「日本のおコメを食べましょう」に使える。「笑ふ時」は孫を抱き上げた祖父といっしょに生命保険の広告にいける。
どうしてこんな不思議が起きるのか。島の庵に行きついて窮死した人の作が、物量のあふれ返った時代のコマーシャリズムにぴったり。4かぎりなくゼロに近づいた人の吐息が、現代人のひそかな願望と夢を、そっと小声で伝えている。(雲隠れ 尾崎放哉)


これはいかにも池内らしい論の持って行き方で、ちょっとアクロバチックでもあるし、たしかに、今風コピーとして使えそうだ。しかしこのコピーに誘惑されそうな対象へを、ちょっと揶揄するかのような筆致が池内節というべきかも。

2016/11/28(月)●危機一髪(^_^;)
7時半起床。
今朝の血圧は156/76/83。
8時半入り口さんに迎えに来てもらい熊内町高台マンションの一時保管荷物梱包現場。
ガラス扉の書棚の本を梱包してる途中書棚の上部が倒れ掛かってきてMorris.を直撃、えらいことになった、と思ったが手前のベンジャミンの鉢がクッションになってガードしてくれたので大事に至らずに済んだ。ガラス扉が重いので、空っぽにした状態で扉を開いたままにすると前方に重心が移って倒れることがあるということはわかっていたはずなのに(^_^;)
5時に今日の作業は終了。5時半帰宅。
iPhoneのバッテリー問題。今日も朝100%充電して、GPS解除、Wi-Fi解除、ほとんど使用しないのに夕方には50%くらいのバッテリー消費(>_<)やっぱりちょっと異常である。
今夜のKBS歌謡舞台1492回は- 11월 신청곡11月のリクエスト -

1) 물새 한 마리水鳥一羽(하춘화)/하춘화ハチュナ
2) 봉선화 연정鳳仙花恋情(현철)/현철ヒョンチョル
3) 동창생同窓生(조미미チョミミ)/이정옥イジョンオク
4) 삼다도 소식三多島便り(황금심ファングムシム)/염수연ヨムスヨン
5) 고향 친구故郷の友(남인수ナムインス)/민수현ミンスヒョン
6) 임과 함께あなたと共に(남진ナムジン)/김수찬キムスチャン
7) 비 내리는 고모령雨降る顧母嶺(현인ヒョンイン)/김용임キムヨンイム
8) 어머님母上(남진ナムジン)/진국이チンクギ
9) 황혼의 블루스黄昏のブルース(이미자イミジャ)/최유나チェユナ
10) 몽夢(오승근)/오승근オスングン
11) 딱 좋아すごく素敵(송대관)/송대관ソンデグヮン
12) 용두산 엘레지龍頭山エレジー(고봉산コボンサン)/금잔디クムチャンディ
13) 노을夕焼け(한규철)/한규철ハンギュチョル
14) 생각이 나면思い出したら(들고양이들トゥルコヤンギドゥル)/옥희オクヒ
15) 날 보러 와요私に会いに来て(방미パンミ)/조정민チョジョンミン
16) 사랑은 아무나 하나愛は誰にも一つ(태진아)/태진아
テジナ

まあリクエストはランダムなものだから、可もなし不可もなし。9.ナルボロワヨはニール・セダカ「恋の片道切符 One Way Ticket」の韓国語カバーである
今日の歩数は2048歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 구린내가 나다(クリンネガナダ 怪しい、疑わしい) 구린내가(臭いにおいが) 나다(出る)。 日本語でも「くさい=怪しい」とは一般的に使われる。
내(ネ)は냄새(ネムセ 匂い)の略語。


現場付近の白雉 

螺旋階段工事入り口 

凍結ウィスキー 



2016/11/27(日)●雨ゴロ(^_^;)
7時起床。
今朝の血圧は156/76/83。
朝から雨。端から外に出る気なし(^_^;)
全国ノレチャランは蔚山(ウルサン)篇。誰か「蔚山クネギ」歌ってくれるかと期待したが、誰も歌わなくて、代わりに?「蔚山アリラン」を一人が歌った。
午後はノレバン98号のノレバンCDの自動演奏にあわせてミニギター(^_^;) いかにもチープなサウンドが逆に懐かしい。
今日の歩数は0歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 될대로되라(テルデロデラ なるようになる) これはいい言葉である。Morris.の座右銘にしよう。
될대로(テルデロ)は되다(テダ ~になる)の語幹(テ)+-ㄹ대로(-ルデロ ~するように)。되라(デラ)は되다(テダ)の命令形。
韓国ではケセラセラ(Que sera sera)をそのままこの言葉の訳としている。


2016/11/26(土)●バッテリー
7時起床。
今朝の血圧は185/75/77。
ピーター・バラカンのウィークエンドサンシャインで、来月発売のストーンズのアルバム「ブルー&ロンサム」に収められた12曲全てのオリジナル曲を流してくれた。なんとストーンズの最新アルバムがルーツとも言うべきブルースというのにはちょっとビックリ。リトル・ウォーター、マジック・サム、ジミー・リードなどブルースシンガーの、あまり知られてないナンバー中心に選ばれてるようだ。
昨日から気になってるiPhoneバッテリー問題。ネットでいろいろ調べて、どうもGPSに問題があるのではないかという気がした。とりあえずこれをオフにして、ネットで紹介されてた「バッテリードクター」という無料アプリをインストール。うーん、初めからこれ入れておけば良かった(^_^;) 充電も自動的に最適な形でやってくれるようだし、いちおうこれでしばらく様子見てみる。
「ア・ピース・オブ警句」で沖縄での機動隊員「土人発言」に関しての記事。以前Morris.は松井大坂知事の妄言に反発したが、その後の鶴保庸介沖縄北方相が「差別と断定できない」と発言したことにも呆れ返ったが、まさか政府がこの発言の訂正や謝罪は不要とする答弁書を閣議決定したことに猛反発である。閣議決定のことは知らずにいたが、これまたトンデモ事案である。小田島の発言の主旨はシンプルだ。「この答弁書は驚天動地である」「こんなバカなことが、現実に起こっているということが、どうして、巨大なニュースにならないのか」「それほどにこの事態は狂っている」
そう、かなり日本の政権中枢は狂っている。
もう一つ木村幹さんの朴槿恵騒動への記事が「現代政治サイト」にアップされてた。Kan先生(PC通信時代の呼称)もすっかりオーソリティになったようだ。今回の騒動を「ゼロからわかる」ように明快に紹介、解説されてた。
ほとんど興味を失っているが大相撲では横綱鶴竜が14日目に優勝を決めた。
キューパのフィデル・カストロが25日死去したとのニュース。享年九十。
夕方水道筋でちょこっと買い物。
今日の歩数は2146歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 정신 차려!(チョンシンチャリョ! しっかりしろ!)
정신(チョンシン 精神) 、 차려(チャリョ)は 차리다(チャリダ 整える)の命令形。正気を取り戻す、我に返る。
89年にシンガーソングライターのキムスチョルが「チョンシンチャリョ」という曲をヒットさせた。キムスチョルは84年の映画「コレサニャン 鯨狩り」のヒョンテ役で出演してたのが印象的だった。


バッテリードクター 

螺旋階段は完全包装(^_^;) 

ちと寒い 

青臭亀虫 

ガーベラ 

水道筋駐車場猫 

【街角図鑑】三土たつお編 ★★★☆
  20166/04/30 実業之日本社
街角の様々な設置物件への愛着と好奇心に溢れた多くの仲間やマニアが寄ってたかって出来上がった、主に都会の探索ガイドみたいな一冊。ネット時代ならではの情報収集と、実際に歩き回って発見したレアもの、それぞれのきちんとした構造紹介など。すべてカラー写真で楽しめる。
取り上げたものの中には、日常当たり前に目にしながら、名前さえ知らないものも多かった。

・パイロン(カラーコーン、三角コーン、ロードコーン)
・ガイドポスト(視線誘導標)
・防護柵(ガードレール、ガードパイプ、横断防止柵、鉄柵)
・車止め(ボラード、チェーンポール、バリカー、チェーンスタンド)
・段差スロープ(セフティスロープ、段差プレート)
・タイヤ止め(パーキングブロック、カーストッパー)
・境界標(境界石、境界杭、境界鋲、プレート)基準点、水準点、明示杭
・単管バリケード(パイプバリケード、ケロガード、うさガード、MAスタンド、A.Jスタンド)
・舗装
・縁石・排水溝(側溝、境界ブロック)
・マンホール蓋
・井戸ポンプ(手押しポンプ、ドラゴン号、サンタイガーポンプ、共柄ポンプ、大黒号
・路上園芸
・のぼりベース(ポールスタンド、ポール台)のぼり旗(桃太郎旗)
----------------------------------------------------------------------------
・電柱
・信号機
・街路灯
・カーブミラー
・回収ボックス
・郵便ポスト
・雰囲気五線譜--看板などに描かれているいい加減な楽譜
・装飾テント
・透かしブロック
・外壁
・送水口(連結送水管送水口)採水口、消火栓
・シャッター
・擬木
・擁壁(石垣、蛇擁(じゃかご))
・消波ブロック(テトラポット、メガロック、シーロック、合掌ブロック、エックスブロック)


Morris.が日頃愛好してやまないマンホール蓋についても
直径-一般的なマンホール蓋は直径60cm、用途によって30cm、90cm、120cmの蓋もある
素材-ダクタイル鋳鉄(FCD)、ネズミ鋳鉄(FC)、鉄筋コンクリート、プラスチック等
重さ-下水道用60cmの鉄蓋で約40kg。
種類-下水道、上水道、ガス、電気、通信、消防水利、測量系、汎用蓋、
といった、即物的なデータとともに

マンホール蓋は常に相反する働きを求められてきた。しっかり閉じてガタつかず、しかし開けたいときはすんなり開くように。雨に濡れても車も人も滑らず、しかしタイヤを削らず、転んで手をついても怪我しないように。重量を減らして、しかし、強度は増すように。
そんな要望に必死に応え、マンホール蓋は進化してきた。しかし、ガタつかなくてもすべららなくても通行人に褒めてもらえることはない。一方、蓋が割れたり滑ったり、ゲリラ豪雨で蓋が吹き飛んだりすると注目と非難の的となる。マンホール蓋は人に意識されないのが一番よい状態なのだ。なんて不憫なのだろうか。
いまは非常にいい時代だ。技術の粋を集めた最新型の蓋はもちろん、明治のものと思われる古蓋まで各時代の蓋が路上にある。現存する進化図を鑑賞し、蓋の頑張りに拍手を贈ろう。


こういった、なかなかにうがったコメントがあったりもする。

電柱ひとつとってみても、足元から、電柱直接柱の太さと高さが記されているに始まり、電力会社の柱番号、交通標識、街路灯、広告があり、電線も一番上の高圧線、低圧線、通信線、スパイラルハンガー、クロージャー、腕金、柱上変圧器、開閉器……等々仔細に紹介されている。
他にも「回収ボックス」はゴミ箱ではなく、資源リサイクルを体現した存在だとか、透かしブロックのデザインとサイズ(横39cm、縦19cm)が目地を入れてちょうど40☓20になるとか、いろいろ面白くてためになる?大ネタ小ネタ満載の一冊である。

2016/11/25(金)●山陽路
4時半起床。
今朝の血圧は165/76/82。
6時にとしろうに迎えに来てもらい、岡山のアメリカ向け航空便ピックアップ現場。
何か今日は空が綺麗な日で、トラック助手席からデジカメ撮影。
としろうは昨日携帯電をを落として壊したとのこと、ということで、Morris.のiPhoneでナビをしたのだが、異常にバッテリーが減る。なんと現場到着時には50%切ってた(>_<)
昼食時には10%以下になり、中古だけにバッテリーがへたってることも考えられるが、昨日くらいから急にバッテリー消費が異常になったから、もしかしたら何か設定がおかしいのかもしれない。トラックに偶然ライトニングケーブルがあったので再充電することはできたけど、このままではちょっと困る。
仕事の方は、午前中に職場、午後から実家とダブルで、一個一個サイズと重量がいるので、けっこう時間かかり5時頃作業終了。8時帰宅。
今日の歩数は3981歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 제발(チェバル どうか、なにとぞ、くれぐれも) 物事をお願いするときに、この副詞は役に立つ。懇願の副詞と呼びたい(^_^;)
제발 살려 주세요(チェバルサルリョジュセヨ どうか助けてください)
類義語には부디(プディ どうか)がある。
부처님 부디 합격시켜주세요(プチョニムプディハプキョクキョジュセヨ 神様どうか合格させてください)

早朝の月と金星 

山陽路の空 #1 

#2 

#3 

#4 

#5 


2016/11/24(木)●「猪飼野」写真展
8時起床。
今朝の血圧は179/89/87。
東京では54年ぶりに11月に雪が降ったとかで大騒ぎしている。
22日から27日まで開かれてるチョジヒョンの「猪飼野写真展」見るため昼からJRで鶴橋に出る。
鶴橋裏路地で素敵な雉猫に出会いしばらくMorris.@Catographerモード。
会場である御幸森小学校の特別教室には約50点ほどの作品が展示されていた。保存のため全てガラスに覆われててちょっと見にくかったが、懐かしい写真、初めて見る写真もあってじっくり鑑賞。大型テレビで200点20分間のスライドショーも流されていて、これも楽しませてもらった。貰ったパンフレットにあった写真家の娘チョチヘさんの挨拶文から一部引用。

猪飼野の写真は、1996年に「統一日報」で1年間続いたコラム記事「猪飼野フラッシュバック」で掲載され、多くの反響があった。その後2003年にやっと写真集として出版され、写真展は御幸森小をはじめとして区役所、区民センターなどでも行われ、多くの人々が訪れた。
父が亡くなった後、この(「猪飼野」)フィルムネガがそのまま束ねて保管されていたもとを見つけた。整理をし、劣化を避けるために業者に依頼しデータ化した。ここには写真集には入っていなかった未公開の画像がまだ多数ある。当時の政治状況を物語る横断幕。チマチョゴリの制服で通学する女学生たち、橋のハングルの落書き、雨降る夜の朝鮮市場、ヘップサンダルの廃材、廃品回収する老人、乳母車で眠る赤ん坊。かつてよく街角で見かけたハルモニたち、足元のコムシン。風になびく洗濯物、もやしの樽、二つの名前の表札、朝鮮式の葬儀。そして、橋の上を交差する人々、路地や平野川のそばで遊ぶたくさんの子どもたち。日本人も朝鮮人もいる。どれも生き生きとした当時の生活がそのままだ。


このスライドショーはそういった経緯で製作されたものだったのか。平野川界隈の景色は不思議な懐かしさを感じさせる。そして子どもたちの表情、彼らとMorris.はほぼ同世代だろう。この写真が撮られた時期、Morris.は九州の片田舎で暮してたから、猪飼野の風景とは接点はないはずなのに、何かとんでもない懐かしさを感じさせられた。
写真家は今年の4月1日享年七十八で亡くなり、今回の写真展は追悼の意味がこめられている。13年前にも同じ会場で写真展が開かれ、その時のポスターも飾ってあった。今回のポスターがほとんど同じデザインというのも、何か嬉しかった。
山田商店でキムチ買って6時半帰宅。
今日の歩数は4341歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 촌스럽다 (チョンスロプタ ダサい) (村)+스럽다(スロプタ -らしい、-っぽい) つまり田舎臭いということだろう。かなり差別的言辞のようでもあるが、「ダサい」というのが「田舎」を音読み「だしゃ」に「い」をくっつけて「だしゃい」というのがなまったとか、東京近郊の埼玉を揶揄して「だって埼玉」の略語だという説まで登場したりで、この言葉の出自が差別的といえる。
-스럽다」 は名詞のあとに続けて多くの形容詞をつくる。

복(福)스럽다(ポクスロプタ)福々しい
상(常)스럽다(サンスロプタ)下品だ、卑しい
좀스럽다(チョムスロプタ)みみっちい、ちっぽけだ
한(恨)스럽다(ハンスロプタ)恨めしい
멋스럽다(モッスロプタ)素敵だ、しゃれている、粋だ
성(聖)스럽다(ソンスロプタ)神聖だ、神々しい
예스럽다(イェスロプタ)古風だ
호사(豪奢)스럽다(ホサスロプタ)豪勢な
원망(怨望)스럽다(ウォンマンスロプタ) 恨めしい、くやしい
여성(女性)스럽다(ヨソンスロプタ)女性らしい、女っぽい
감격(感激)스럽다(カムギョクスロプタ)感激的だ、感動的だ
의심(疑心)스럽다(ウィシムスロプタ)疑わしい、いかがわしい
악착(齷齪)스럽다(アクチャクスロプタ)しつこい、粘り強い、がむしゃらだ
민망(憫惘)스럽다(ミンマンスロップタ)心苦しい、きまり悪い
의문(疑問)스럽다(ウィムンスロプタ)     疑わしい、疑問だ
탐욕(貪欲)스럽다(タミョクスロプタ)貪欲だ
불미(不美)스럽다(プルミスロプタ) かんばしくない
고급(高級)스럽다(コグプスロプタ) 高級そうだ
조심(操心)스럽다(チョシムスロプタ)慎重である、遠慮深い、用心深い
영광(光栄)스럽다(ヨングァンスロプタ)光栄だ
바보스럽다(パボスロプタ)ばかみたいだ
가증(可憎)스럽다(カジュンスロプタ)憎らしい、卑劣だ
사치(奢侈)스럽다(サチスロプタ)贅沢だ
실망(失望)스럽다(シルマンスロプタ)がっかりだ
개탄(慨嘆)스럽다(ケタンスロプダ)非常に残念なことだ
요란(揺籃)스럽다(ヨランスロプタ)やかましい、騒がしい
퉁명스럽다(トゥンミョンスロプタ)つっけんどんだ、ぶっきらぼうだ
미안스럽다(ミアンスロプタ)すまない
소란(騒乱)스럽다(ソランスロプタ)騒がしい、物騒がしい
수치(羞恥)스럽다(スチスロプタ)  恥ずかしい
극성(極盛)스럽다(ククソンスロプタ)はなはだ激しい、非常に猛烈だ
태평(太平)스럽다(テピョンスロプタ)太平である、気楽だ、のどかだ
갑작스럽다(カプチャクスロプタ)急だ、突然だ、急である
사랑스럽다(サランスロプタ)可愛らしい、愛らしい
자연(自然)스럽다(チャヨンスロプタ) 自然だ
불안(不安)스럽다(プランスロプタ)不安そうだ、不安げだ
불만(不満)스럽다(プルマンスロプタ)不満そうだ
만족(満足)스럽다(マンジョクスロプタ)     満足だ


隣ビル螺旋階段に足場組立 

鶴橋の雉 

 

御幸森小学校「猪飼野写真展」 

200点のスライドショー 

2003年のポスター 

御幸森神社の公孫樹 

怪しい空 

大阪駅から神戸方面を 

2016/11/23(水)●韓国猫アルバムと長田カラオケ
7時起床。
今朝の血圧は165/87/92。s
えらく遅まきになってしまったが、先般の韓国での猫のデジカメ画像のアルバムをフォト蔵にアップすることにした。旅行直後にちゃっちゃっとやるつもりだったのだが、ついついほったらかしてた。500点近くあったものの中からセレクトするのが面倒くさかったのだ。結局130くらいに絞って、フォト蔵にアップ。
アルバムは見にくいので、スライドショーで見てもらいたい。画面の下にマウス持っていくとアイコンが出るので、一番左端の画像サイズアイコンをクリックすれば全画面で見られると思う。しかし、今どきフォト蔵を見る人はかなり限定的かもしれない。
大和くんが一挙に百枚以上の画像をFacebookにアップしてるのをみて、これも試してみることにした。これは簡単であっという間にアップできた。どうもMorris.はSNSはなるべく使わないことにしてたのだが、これだけ手軽だと、大多数が利用してるのもなるほどと思った。ただ、画像の順番が不規則(撮影時間順?)で、最後の画像のはずが途中になってたり不都合もありそうだが、所詮SNSは「垂れ流し」(^_^;)だからあまりこだわることもないのかもしれない。
今夜は長田のカラオケ会なので早めに新長田に出て、散策しようと思いながら出遅れて新長田図書館についた頃はもう薄暗くなってた。それでも猫がいたので夜猫撮影。しかしやっぱりまともには撮れない。
図書館でくつろぐつもりが、今日は祝日で6時閉館。鉄人広場に行ったら、鉄人の色が濃く鮮やかになってた。
今日のカラオケは大和、杉本、山根の常連と先月初参加の二十歳の杉山くんの4人とこじんまりした集まりになった。大和くんは先週中国の蘭州、西寧の旅を終えたばかりなのに、来月には南京に行くとのこと(@_@) またソウルで買った作曲家パクシチュンのヴィジュアル本も持ってきてて、ちょっと羨ましかった。
人数少ない分余計に歌えたかな。Morris.と山根さん以外の3人は関西学院の先輩後輩で、校歌まで歌ってた。若い杉山くんのレパートリーの広さと上手さ(ビリー・ジョエルから美空ひばりまで)にちょっとびっくり。
10時過ぎ解散。11時帰宅。
今日の歩数は3974歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 파파라치 제도(パパラチチェド パパラッチ制度)「パパラッチ」はダイアナ妃の事故から一般に認知された感があるが、もともとはフェリーニの「甘い生活」(1960)の主人公カメラマンの名前に由来するらしい。最近はデジカメ、スマートフォンの普及で、誰もがパパラッチになりそうな勢いだが、韓国では市民が不法行為を市役所などの関係機関に通報した場合、一定金額の報奨金をもらえるシステムがあり、これを「パパラッチ制度」と呼んでいる。職業としてパパラッチを行う人もいて、パパラッチ養成学校まであるとか。駐車違反を通報する카파라치(カパラチ)や学習塾の不法行為を通報する학파라치(ハクパラチ)などがある。
もともと韓国では北朝鮮スパイの告発を奨励するシステムがあったのでその流れなのだろう。


新長田図書館夜猫#1 

#2 

#3 

リニューアル鉄人 

杉本&大和 

作曲家パクチチュンのヴィジュアル本 

熱唱山根さん 

今日はこじんまり 

中国西寧帰りの大和くん 

2016/11/22(火)●福島地震津波
6時起床。
今朝の血圧は185/83/94。
ラジオつけっぱなしだったらしく、ラジオの緊急地震速報で目を覚ました。
福島でマグニチュード7.4の地震が発生し、津波の恐れもとのこと。テレビつけたら全局中継放送。
津波も発生したが、被害はそれほど大きくなくて良かった。福島原発では冷却水が一時停止したようだ。しかし今回の地震も5年前のあの東日本地震津波の「余波(アフターマス)」らしい。「忘れるな」という警告なのかもしれない。
朝の三点セット。
昼から猫撮りしながら、元町阪神理容まで歩いて散髪。そのあと三宮図書館により、いつもの広場の片隅でちょこっとミニギター。
6時帰宅。
今日の歩数は6171歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 꼭두각시(コクトゥカクシ 操り人形)朴槿恵スキャンダルニュースでこの言葉が氾濫している。デモで歌われている「アリラン牧童」の替え歌も、この言葉から始まってた。
普通の人形は漢字そのままで인형(イニョン)、蝋人形は밀랍인형(ミルラプイニョン 蜜蝋人形)。


華さんご(レウイシア) 

クリーニング店猫#1 

#2 

#3 

大安亭猫#1 

#2 

#3 

#4 

旭通雉猫 

【犬死一番の謎】松村美香 ★★★ 2005/09/07 郁朋社
先日読んだ「ロロ・ジョングランの歌声」が読み応えがあったので、同じ作家のこの作品を読んだ。いささか期待はずれだった。かなり以前に書かれたものらしい。
生き残った特攻隊員の「大死一番」の書の「大」の字の右肩に点を加えて「犬」にしたものを見た女性記者がその裏側を取材する中で、様々な人間模様が明らかになるという、歴史ミステリーらしいが、伏線や細部の設定がいまいちリアリティに欠けるような気がした。

知覧から沖縄までは650キロある。隼戦闘機で2時間、九七戦闘機で2時間の空路だった。250キロもの爆弾を搭載したこの「自殺機」は、沖縄海域に忍び寄るアメリカ艦隊に向け、もろとも体当りすることを任務とした。自爆という究極の戦術は、アメリカ兵たちを驚愕させた。そして、沖縄の空に舞う小さな戦闘機を、「カミカゼ」と呼んだのである。
米軍側のその後の記録によると、カミカゼの戦果は少なからずあったようだ。自殺機がいつ襲いかかってくるかと40日間も不安な日々を送ったためノイローゼになった指揮官が何人もいたらしい。


特攻は自爆テロに直接つながる。

戦闘機のディスプレイも気の利いた演出を加えてあり、露天に晒されていた頃のあのもの悲しい沈黙はなかった。黄ばんで端の丸まった生写真はなく、複写して同じサイズに引き延ばされた若者たちの笑顔が、パネルに加工されて行儀良く壁を飾っていた。
「過去が、過去として歴史になったというより、見せ物になったような気がするんです。……考えすぎでしょうか」


リニューアルされた特攻記念館を見ての主人公の感想だが、これと類似した事例は多数見つかるだろう。フィルターというかオブラートに包まれて事実が薄められる傾向。日本の報道で死体や血の流れる絵は使われないという「自主規制」にも通じるのでは。

「でも、君のお父さんは、時代の先を見ていたんだと思うよ」
「どういうことですか?」
「あの頃は右肩上がりの成長が続いていて、誰も疑問になんて思っていなかった。少なくとも、大多数の人間が、がむしゃらに働くことだけを価値だと信じていた。特攻で死んだ若者が突っ走ったのと同様の、狂信的な価値が存在していたのだと思う」


高度成長期の日本人の姿を特攻隊員に直結させるのは行き過ぎのような気もするが、たしかに一種の集団ヒステリーの傾向はあったかもしれない。

「特に、特攻っていうテーマは今でもタブーが多いんだから、元特攻隊員の無残な怪死なんて、軍人会から難癖つけられるに決まってるだろ。戦後半世紀とはいえ、まだ戦争体験者は健在なんだぞ」

戦後半世紀という本書の舞台設定ならたしかにまだ相当ス健在だった戦争体験者も、20年後の今日では激減している。あと20年経てばほぼ消滅ということになる。戦争を知らない子供がそのまま大人になり老人になり死んでいくということが、いかに稀有なことなのか、もう一度考えてみなくては。

2016/11/21(月)●下野歌(ハヤガ)
9時起床。
今朝の血圧は169/81/82。
延々と韓国大統領のスキャンダル報道が止まらない。
朴槿恵退陣を求めるデモの時よく流れてる歌、あれはキムチケッの「アリランモクトン(牧童)」という古い韓国歌謡(1958)の替え歌ということはすぐわかったのだが、歌詞が良くわからないので、You Tubeの映像でチェック。タイトルは「朴槿恵ハヤガ(下野歌)」となっている。このタイトルもソテジワアイドゥルというグループのヒット曲「ハヨガ」のパロディではないかと思う。前奏部分で「ハヤハヤハヤー」と言ってるのは「下野=退陣」という意味。おおまかに歌詞の内容を紹介すると

ハヤーハヤハヤハヤハヤハヤーハヤハヤ
操り人形として国の政治を行った朴槿恵、親父とチョテミンがどうだったろうと、あちらこちらで国の形を汚してしまった朴槿恵拘束! スンシル拘束!今は監房に入ってろ

ハヤーハヤハヤハヤハヤハヤーハヤハヤ
操り人形表に出して後ろで糸ひくスンシリ、話にならない 小娘がなんともウザい
あっちこっちで職権乱用、朴槿恵拘束! スンシル拘束!
今まで貪った金品を吐き出してしまえ……


かなりひどい訳になってしまった(>_<) ついでにYou Tube色々見て、今回のアレンジはコヨーテのバージョンらしいこともわかった。韓国応援歌バージョンで、なかなかかっこいい。
午後は久しぶりに王子公園駐車場の樹の下ベンチ。思ったより暖かくて、ついつい長居してしまい、これまた久しぶりに譜面台用ライトまで使ってしまった。
5時半帰宅。
今夜のKBS歌謡舞台1491回は- 晩秋, 그리움을 더하다 -懐かしさつのる
という、よくあるどうでもいい(^_^;)特集。

1) 낙엽이 가는 길落ち葉散る道(나훈아ナフナ)/김연자キムヨンジャ
2) 안개 속으로 가 버린 사람霧の中に去った人(배호ペホ)/최백호チェベクホ
3) 파도波濤(배호ペホ)/최진희チェジニ
4) 안개 낀 장충단 공원霧深い奨忠壇公園(배호ペホ)/윤수일ユンスイル
5) 마지막 잎새最後の一葉(배호ペホ)/진해성チンヘソン
6) 낙엽 따라 가 버린 사랑落ち葉と共に去った人(차중락チャジュンナク)/차도균チャドギュン
7) 나는 너를わたしはあなたを(장현チャンヒョン)/김목경キムモッキョン
8) 잊어야 한다면忘れるならば(장현チャンヒョン)/박진광パクジングヮン
9) 밤하늘의 연가星空の恋歌(차중락チャジュンナク)/차도균チャドギュン
10) 내 마음 갈 곳을 잃어行き所無い私の心(최백호)/최백호チェベクホ
11) 낭만에 대하여浪漫のために(최백호)/최백호チェベクホ
12) 황혼의 엘레지黄昏のエレジー(최양숙チェヤンスク)/최진희チェジニ
13) 부르지 마呼ばないで(김목경)/김목경キムモッキョン
14) 오동잎桐の葉(최헌チェホン)/김연자キムヨンジャ
15) 갈대葦(윤수일)/윤수일ユンスイル


Morris.の愛唱曲は一曲しか無い(>_<) 先週の4人特集の流れなのか、今日も同じ出演者が複数曲歌うパターン。チェベクホは3曲も歌ってる。これまではだいたい一人一曲だった。好きな歌手が出演したらやっぱり何曲か歌って欲しいという気持ちはある。
今日の番組はペホの追悼という一面もあったみたいだ。ペホはMorris.にとって鬼門(^_^;)である。確かに佳曲は多く、魅力は感じるのだが、いまだに一曲もまともに歌えない(^_^;) 独特の声質と唱法がまったくMorris.とは合わない。
今日の歩数は1606歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 웃프다(ウップダ 泣き笑い)
웃프다は「笑う」という意味の웃다(ウッタ)+「悲しい」という意味の슬프다(スルプダ)をあわせた言葉。日本語の「泣き笑い」とこの웃프다が同じものかどうか判然としない。どちらかというとネットなどで作られた言葉のような気がする。嬉しいような悲しいようなちょっと複雑な気分をあらわすのだろう。
「絵文字として큐큐で表せる」とあった。ᄏᄏが笑いで、ㅠㅠが涙である。


黃葉 

石蕗(つわぶき) 

久々譜面ライト 

【ロロ・ジョングランの歌声】松村美香
★★★☆  2009/03/05 ダイヤモンド社

東ティモールで殉死した従兄・稔の後を追い記者になった藤堂菜々美は、中部ジャワ地震の被災地取材の機会を得る。……女性記者の仕事と恋、ODAをめぐる政治と経済を描きながら、経済格差が存在する世界で個人はいかに生きるべきかを問う意欲作。(腰巻き文一部)

著者は国際開発コンサルタントとして、カンボジア、インドネシア、モンゴル、ザンビア、パレスチナなどの開発調査に参加している。兼業作家らしい。本作は第一回城山三郎経済小説大賞受賞作。

「政治紛争の場合は、人道的だと言っても、いつの間にか一方の勢力に加担していることがあるわ」
「それは、結果的にはそうかもしれませんけど……人道的支援は必要ですよね」
NGOの活動に賛同したつもりだったが、思いがけない返事が返って来た。
「どうかしらね。だいたい、可哀想だから支援しようなんて、傲慢以外の何ものでもないかもしれないわ」
レイコの目は、誰も見ていない。目の前にいる菜々美を相手に話しているとは思えなかった。
「結局は自己満足よ。本当は何の解決にもなっていない。正義だ善意だなんて言ったけど、結局は自己陶酔に過ぎないかもしれない」
「……」
「眼の前の気の毒な人に手を差し伸べて、その時は温かな気持ちになれるけど、でも、構造的な問題は何一つ解決されないことも多いのよ」
「でも、向かい合ったその人は感謝するはずですよね」
「感謝ね。……そんなものを求めている限り、所詮、偽善者なのよ」
「そ、そんなこと、ないと思います」
菜々美はとっさに否定したが、レイコは冷笑するかのように唇をゆがめた。
「人間ってね、心の中の邪悪な感情を打ち明ければ『ほら、やっぱり』と納得するけど、善意の心を打ち明けても『ウソに決まってる』と疑われるのよ」


なかなかに鋭い指摘。

新聞社を母体とするCLUEは、出版社系の雑誌よりは多少硬めで斜に構えたところがあった。時代にそぐわず廃刊となった社会派週刊誌の編集者が、バブル期に乗じて再起を図るために創刊したようなところがある。社会に媚び、公告に媚びていることをシニカルに受け止め、儲けを意識しながら、新聞記者ならではの記事を創刊したざっしにぶつけた。学生運動時代の記者たちは、巷の話題に敏感に反応しつつ、少しだけインテリ風の批判精神を主張した。見ようによっては中途半端な後は雑誌だった。時代に妥協はしているが、芯は反骨精神だ、というのが編集者たちのポーズだったが、周囲はむしろ、硬派ぶっているが時代に媚びた雑誌だと言って陰口を叩いた。たぶんどちらも真実で、結局は、それが現実の姿だった。

この「CLUE」という雑誌は「Aera」がモデルだろうな。そう思って読むと、実に的確な評言だと思う(^_^;)

今では誰もがものを書く時代である。読むことよりも、書くことの方を好む人も多い。それぞれが主張し、一人ひとりがいっぱしの評論家となって、社会、経済、政治だけでなく、メディアそのものを批判的な論調で攻め立てる。「権力との戦い」と銘打った批判的精神は、新聞記者や評論家の特権ではなくなり、むしろメディア権力という巨塔が市民の批判対象となっている。編集者はブログの書き込みに右往左往し、アンケート調査をして大衆におもねって記事を書くばかりの表現者は、時代の先端を行くリーダーとしての役割よりも、大衆の空気を読み取る代弁者としての能力を求められるようになってしまった。
「要するに、かつて記者にはもっと特権意識があったってことですか?」
昔話を懐かしそうに語り、現在の状況を嘆く梶尾デスクに、菜々美は素っ気なく訊いた。


こういったメディアへの視点も共感を覚える。

感情を感情のままに書けば、それは三流雑誌の薄っぺらな自己主張にすぎない。だが、内容によっては、文章の順番を工夫するだけでも読者の心を誘導することができる。ちょっとした接続詞で、事実関係の中に筆者の心w描くことができる。そのコツを菜々美は習得しつつあった。でも、それはむしろ、エッセーを書くワザに近かった。

文章術に関しても一家言を持っている。

1990年代、日本は円高の影響もあって世界地のODA供与国になる。政府はODAへの資金貸与を検討し始め、草の根無償資金協力として、その活動を取り込んでいく。阪神淡路大震災をきっかけに国民のボランティア意識は国内にも向けられるようになり、1998年にNPO法案が施行される。
21世紀に入り、再び振り子が大きく反対側に振れる。「日本はお人好し過ぎる」という苛立ちが生まれ、国益を無視したODAはあり得ないという声が上がる。長引く不況で、ODA不要論も大きくなる。1991年以来10年間世界一を保っていた日本のODA拠出額は減り続け、2007年、遂に五位に転落。一方で自衛隊による国際貢献が本格化していく。
こうして概観してみると、国際協力やボランティア事業は政治や経済を映す鏡のようである。政府にとっては重要な外交戦略であり、世界史の中にこそ存在する。菜々美はふと戦争と国際協力の関係を思った。やはり、これは双子なのだろうか。車の両輪……あるいは、ジキル博士とハイド氏のような、人間の裏表なのだろうか。
人は破壊し、人は創造する。
壊さなければ復興はない。


本職のコンサルタント業では、ODA との関わりも深いだけに、裏表を知り尽くしてるようだ。
そして最後の決め文句は、決まりすぎくらいに決まってる。
この人の作品、もう少し読んでみよう。


2016/11/20(日)●猫の島
7時起床。
今朝の血圧は182/83/75。
午前中は部屋ゴロ。
KBS全国ノレチャランは忠清南道禮山郡(エサングン)篇。
午後王子動物園。まぬうに挨拶(^_^;)して、ハンター邸前庭ベンチでミニギター&読書。4時に退園してレマンでバケット買って帰宅。
「ダーウィンがきた」というあまり見ない番組だが、福岡県相島の猫を取り上げるとあったので、ついつい見てしまった。
今日の歩数は2359歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 장난이 아니다(チャンナニ アニダ 本気だ)장난이(チャンナニ いたずら、遊び、冗談) 아니다(アニダ ちがう(否定))。「半端じゃない、すごい、冗談ではない」。日本語で「冗談じゃない」というと、「そんなこと言われても困る」「とんでもない」というやや否定的なニュアンスで使われるが、韓国語では、あくまで「冗談ではない」ということで、本気の意味で使われる。
장난(チャンナン)の派生語、熟語など。
장난기(チャンナンキ) 遊び心
장난감(チャンナンカム)おもちゃ
장난감 가게(チャンナンカム ガゲ)おもちゃ屋
장난하다(チャンナンハダ) 장난치다(チャンナンチダ)いたずらする、やんちゃする、もてあそぶ、ふざける
장난전화(チャンナンチョナ) いたずら電話
장난꾸러기(チャンナンクロギ)いたずらっ子 -꾸러기(クロギ)はある性質や癖のある人を意味する接尾語。


カンランシャ(看板?) 

アートなブロック 

フラミンゴ雛の散歩 

今日のまぬう 

ボブキャット 

「ダーウィンがきた!」相島猫特集 

【無情】李光洙(イグヮンス) 波多野節子訳 ★★
2005/11/18 平凡社 初出「毎日申報」1917年1月~6月
昨年読んだ「李光洙(イ・グヮンス)韓国近代文学の祖と「親日」の烙印」の著者が翻訳したもので、あらすじ紹介だけみると、とても読む気にはなれないと思ったものの、何故か気になって読むことにした。
新聞に連載されたのが1917年、ほぼ1世紀前の作品である。1910年に日韓併合が行われ植民地支配下におかれた朝鮮で、当時唯一の朝鮮語新聞の連載ということからも、朝鮮人の関心は高かったと思う。しかし併合直後の日本の半島支配は武断政治と呼ばれる強圧的なものだった。そんな中で朝鮮人による朝鮮語の小説は、検閲も厳しかったものと思われる。

月花はしだいに世を悲観するようになった。唐詩を教えながら、よく月花は英采をぎゅっと抱きしめて涙を流し、
「英采や、お前も私も、どうしてこんな朝鮮にうまれたのかしらねえ」

と言った。

英采というのがヒロインであり、この後、とんでもない運命に巻き込まれていくわけだ。

大同江岸辺でペソン中学の生徒が歌っていた。

夜明けの光が湧きあがる 陽が昇る
地上の万物が 喜び勇んで踊りだす
天下の人が夢見ているとき 私だけが目覚め
天を仰いで 悲しき歌を歌うのだ


(ペソン中学の咸校長が)話す内容は、朝鮮人も他民族と同じように、古い殻を脱ぎ捨てて新しい文明を取り入れるべきであること、現在の朝鮮人は怠惰で無気力なので、豊かな新しい民族に鳴るためには何としても新しい精神と勇気が必要であること、そしてそれには教育が一番だから息子や娘たちには絶対に新教育を受けさせるべきだということだった。
「諸君の祖先は決して諸君のように心が腐っておりませんでしたし、諸君のように怠惰で無気力でもありませんでした。平壌城の石垣を積みあげた我らが祖先の気性は雄大であり、乙密台と浮碧楼を築いた我らが祖先の志は壮大でありました」


どうもこのペソン中学校長の意見は頭でっかちというか、大時代的でもある。

人間の生命もけっして一つの義務や一つの道徳律のために存在しているのではない。人間の生命は、人生の全義務および宇宙に対する全義務のために存在しているのだ。それゆえ、忠とか孝とか貞節とか名誉などは、人間の生命の中心ではない。そもそも、人間の生命が忠や孝のために在るのではない。忠や孝が人間の生命は、忠・孝・貞節・名誉などのあらゆる要素でなりたっているのだ。あたかも、大宇宙の生命が北極星や天狼星(シリウス)や太陽に存するのではなく、北極星と天狼星と太陽とその他大小の星たちと地上のすべての微生物までも含んだすべての物質でなりたっているのと同様、人間の生命もまた忠、孝、貞節、名誉などすべての要素でなりたっているのである。

これが、著者の偽らざる心情なのだろう。そして、これもまた大時代的というしかない。

これが彼らの人生観なのだ。人間の社会に起こるあらゆる悲劇を、前世の因縁だ、人の力ではどうにもならぬことだと言って、ちょっと泣いてからすぐに涙をふいてあきらめる。彼らにとっては、いつまでも涙を流すのは愚か者のやることであり、ちょっと泣いてすぐに涙をふいてしまうのが正しいことなのだ。だから、彼らはすべての責任を「前世の因縁」と「八字(パルチャ)」になすりつけて、決して人間のせいにはしない。だから彼らにとっては、特に善い人間もいなければ悪い人間もいない。誰もがみんな前世の因縁と八字にしたがって生きているのだ。「そうだ! これが朝鮮人の人生観なのだ」

パルチャというのは、避けて通れない辛い運命だが、これは現代でも根強く残っている。

亭植は、朝鮮で最高の進歩思想を持った先覚者だと自負している。だから謙遜しているかに見える彼の心には、朝鮮社会に対する誇示と驕慢がある。彼は西洋哲学も読んだし、西洋文学も読んだ。彼はルソーの『懺悔録』と『エミール』を訓み、シェークスピアの『ハムレット』とゲーテの『ファウスト』とクロポトキンの『麺麭の略奪』を読んだ。彼は新刊雑誌に出る政治論と文学論を読み、日本の雑誌の懸賞小説で一度賞も受けた。彼はタゴールの名をしっており、エレン・ケイ女史の伝記を読んだ。そして宇宙について考え、人生についても考えた。自分には自分の人生観があり、宇宙観、宗教観、芸術館があり、教育に対しても一家言あると自負している。二千万もの人びとのなかで、自分の言葉と意志をわかる者はほとんどいないのだという、先覚者の寂莫と悲哀を覚える。そして、自分の言葉を理解できそうな友人を指折り数えてみるが、十本まで行かない。この十指に満たぬ者たちが朝鮮人のなかで新文明を理解している先覚者であり、全朝鮮人を教え導く者なのだ。

主人公、亭植こそ、著者の分身である。当人は本気なのだろうが、このエリート意識は、読んでる方が恥ずかしくなる。

汽車が南大門に到着した。まだ暗くなりきっていはいないが、あちこちに明るい電灯が点いている。電車の音、人力車の音、これらすべての音を合わせた「都会の音」と、広いプラットフォームに響く下駄の音が一緒になって、いままで静かな自然のなかにいた人間の耳にはひどく騒々しく聞こえる。「都会の音」、それは「文明の音」だ。その音が騒がしければ騒がしいほど、その国は発展しているのだ。車輪の音、蒸気と電気機関車の音、ハンマーの音、こうした音すべてが合体して初めて燦爛たる文明が生まれる。じつに、現代文明は音の文明である。ソウルはまだ音が不足している。鐘路や南大門に立ってお互いの話し声が聞こえないくらいに、文明の音は騒々しくなるべきなのだ。しかし哀れなことにソウルの都に住む三十万余りの白衣の人びと(朝鮮人のこと。朝鮮民族をさして白衣民族と呼んだ)は、この音の意味を知らないし、この音と関係もない。彼らはこの音を聞くべきであり、聞いて喜ぶようになるべきであり、ついにはこの音を自分の手で作り出せるようにならねばならない。(104)

近代文明論がこの程度である。

外面の愛は浅い。それゆえたちまち冷める。精神的愛は深い。だから長続きする。外面だけを愛する愛は動物の愛であり、精神だけを愛する愛は鬼神の愛だ。肉体と精神が合一した愛こそ、あたかも宇宙のごとく広く、海のごとく深く、春の日のごとく調和して無窮の愛となるのだ。世の人が口には出さないものの心のなかで夜も昼も求めているのは、こんな愛である。しかし、こんな愛は宝物と同じで、千人に一人、十年百年に一人も得られない愛である。それで女は春香を羨み、男は李道令を羨む。自分たちが実際にはそんな愛を味わうことができないから、小説や演劇や詩で見て、喜び、笑い、泣くのである。朝鮮では天地開闢以来、ただ春香と李道令の愛があるのみだ。誰もが春香になろうとし、李道令になろうとしたが、近寄ることすらできなかった。朝鮮の凶悪な結婚制度はこの数百年のあいだに、人の胸のなかにある天から授かった愛の種を完全に枯らしてしまったのだ。友善もその犠牲者の一人である。(110)

これって本気で書いてるのだろうか?だんだん馬鹿馬鹿しくなってきた。

炳郁(ヒョンウク)はハンカチで英采の涙をふいてやりながら、
「泣かないで。世の中が幸福をくれないなんてことが、あるもんですか。くれなきゃ、よこせって言うのよ。それでもよこさなきゃ、無理やりに奪いとるのよ。奪ってもよこさないようなら、せめて仕返しするのよ。それに、考えてもご覧なさい。あなたみたいに悲しい目に遭っている人が、この世であなただけだと思うの。とくにこの国は、そんな可哀相な人が山ほどいるはずよ。だったら私たちは、このいけない社会制度を変えて、せめて子孫だけでも幸せに暮らせるようにしてやらなくっちゃ。私たちがやらなくて誰がやるっていうの。それなのに、あなたが自分の苦労に負けて死んでしまったら、それは子孫に対する責任の放棄よ。だからね、できるだけ長生きして、できるだけいっぱい働きましょうよ。さあ。泣いていないで、苺でも食べましょう」

笑うしかない。苺でも食べようか。

僕は、朝鮮の進むべき道を明確に知っていると思っていた。朝鮮人が抱くべき理想と教育者がもつべき理想を、確実に把握したと思っていた。しかしこれも畢竟、子供の考えに過ぎない。僕はまだ朝鮮の過去を知らず、現在を知らない。朝鮮の過去を知ろうとすれば、まず歴史を見る目を養い、朝鮮の歴史を詳しく研究する必要がある。朝鮮の現在を知ろうとすれば、まず現在の文明を理解し、世界の大勢をみきわめ、社会と文明を理解するだけの眼識を養ったのちに、朝鮮の現状を緻密に研究せねばならない。朝鮮の進むべき方向を知るのは、その過去と現在を十分に理解したあとのことだ。(115)

頭でっかち、それもかなりに救いようがない。

彼らの顔を見ると知恵の片鱗も感じられない。誰もが愚かで無感覚に見える。彼らは取るに足らない農業知識だけを頼りに、ひたすら地面を掘る。神様が何年間かそっとしておいてくれればちっぽけな米俵も少しは貯まるだろうが、一度洪水が起きれば何もかも洗い流されてしまう。だから彼らは永久に現在より富むことはなく、貧しくなっていく一方だ。そして身体はしだいに弱くなり、頭はしだいに愚かになる。このまま放っておけば、最後には北海道の「アイヌ」と変わらぬ種族になってしまうだろう。
彼らに力を与えなくてはならない。知識を与えなくてはならない。そして、生活の根拠を固めてやらねばならない。
「科学! 科学!」
旅館に戻って腰をおろした亭植は、一人で大きな声を出した。


「アイヌ」蔑視まで出てきた(@_@)

最後に話すべきことは、亭植一行が釜山で船に乗ったあと、朝鮮全体が大いに変わったということだ。教育においても、経済においても、文学・言論においても、あらゆる文明思想の普及においても、すべての面で長足の進歩をとげた。とりわけ祝うべきは商工業の発達であって、京城を筆頭に各大都市に石炭の煙が流れ、ハンマーの音が聞こえぬ場所はない。近年極度に衰えていた朝鮮の商業も、しだいに振興していくであろう。
暗い世の中がいつまでも暗いはずはないし、無情なはずがない。我らは我らの力で世の中を明るくし、情を有らしめ、楽しうし、豊かにし、堅固にしていくのだ。楽しいを笑いと万歳(マンセー)の歓声のなかで、過去の世界の喪を弔する「無情」を終えよう。完 (126)


疲れた(>_<)

2016/11/19(土)一抹の(^_^;)●
7時半起床。
今朝の血圧は145/73/74。
朝から雨。
8時過ぎにとしろうに拾ってもらい、六甲アイランドの倉庫でちょこっと作業の手伝いして午後から六麓荘のモナコ向け航空便ピックアップ現場。
その前に中小は東市場のオリーブキッチンでチキン南蛮定食(770円)。いや、やっぱりここの料理はしっかりしてて美味しい。
雨も午後には止んで、作業は2時過ぎに終了。
倉庫に荷物おろして、帰りも送ってもらい、3時半帰宅(^_^)
ここのところちょっとぱたばたして、格安SIM電話もちゃんとチェック出来てなかったのだが、とりあえず、一番気になってたリズムアプリ(^_^;)、チェックしたら、いろいろ不具合があった(>_<) リズムによって途中で停止してしまう。同じリズムパタンで作り直しても同じである。うーーん、今回無理してiPhone使い続けることにしたのは、このリズムアプリ使い続けたいがためだったのに。とりあえず前のiPhoneで使えるからいいけど、ちょっと心配。
それとメールの問題。これは説明するのが面倒なので省略する(^_^;) が、これを機会に一からiPhoneの使い方を再履修すべきかもしれない。
今日の歩数は2880歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 도깨비 투어(トッケビトゥオ  弾丸ツアー) 도깨비(トッケビ お化け) 투어(トウォ Toir ツアー)で お化け旅行。夜に空港から出発し、その日の夜、または次の日の早朝に出発して戻る、一泊二日や二泊三日の短期旅行。日本では「弾丸旅行」ともいう。
도깨비(トッケビ)は朝鮮の民話に出てくる妖怪で、いたずら者だが、ユーモラスで庶民には人気がある。
本当に怖いおばけは귀신(クィシン 鬼神)。


雨の桜紅葉 

オリーブ・キッチンの鶏南蛮 

大和蜆 

【作家のへその緒】池内紀 ★★★ 2011/05/30  新潮社 初出「新潮」2008-10
池内紀らしい、ちょっとひねりの利いた作家論、というか点描みたいなものである。

「路地の多い--というのはつまりは貧乏人の多い町であった」(織田作之助「木の都」)(織田作之助--夜店めぐり)

Morris.の「路地好き」もつまるところは、貧しい暮しへの共感、懐かしさ、憧憬(^_^;)みたいなものによるのかもしれない。

「蘆刈」は大阪でいう「関東者(かんともん)」にのみ書けた小説だろ。急遽うつってきた人間であって、だからこそ淀川の中洲が、あえかな小説の舞台になった。もともとの大阪人には、淀川は単なる勤勉な大河である。上水道、下水道、さらに水運を言ってに担っている。人口五百万にあまる大都市圏の水を一つの川がそっくりまかなっているのは、世界的にも珍しいことなのだ。
それほど生活に欠かせない水の帯なのに、なにやらはっきりしない川である。そもそも水源からしてよくわからない。地図によってまちまちで、琵琶湖から流れ出る淀川がある一方で、木津川と宇治川が合流してようやく淀川になったとするものもある。河口もいたってあいまいで、大阪湾に走りこむのはよどがわではなく神崎川だったり安治川だったり尻無川だったりで、新淀川といった正体不明の川もまじっている。


淀川の茫洋として曖昧なところをわかりやすく紹介している。淀川は「澱んでいる」のが特徴で「澱川」とも書かれたらしい。

谷崎潤一郎は変わり種だった。ほんのしばらく京都にいたが、その後はずっと阪急沿線の夙川、翠ヶ丘、岡本といったあたり。それぞれ西宮市、芦屋市、神戸市東灘区と行政的にはべつべつだが、地形的には東西に隣合っていてある特有の性格を帯びている。
ひとことでいえば阪神間の山手(やまのて)である。大阪商人は剤を築くと、この辺りに屋敷をかまえた。あるいは別邸をもった。帯状にのびる阪神間にあって、さらに細い帯状をつくり「恵まれた資産家」といわれる人々の小世界があった。(谷崎潤一郎--乳首憧憬)


関東大震災で関西に避難してきた作家も多かったようだが、谷崎のように、そのまま棲みついてしまったものは少なかったろう。

(「美しき町」は)大正8年(191)の作である。あきらかに時代が色濃く影を落としていた。小説にはイギリスのモダニスト、ウイリアム・モリスのユートピア小説「何処にもない処(ところ)からの便り」が出てくるが、モリスの影響もあっただろう。前年の大正7年、武者小路実篤が「新しき村」の構想を発表、実現のために九州・日向に土地の下見をした。「美しき町」発表と同じ年に、新宮の山林王の息子、西村伊作が「楽しき住家」を発表、理想の家づくりにとりかかった。山本鼎の農民美術運動がはじまるのもこのころからである。信州・上田に農民美術研究所をつくり、これを拠点として全国に農美講習会をひろげていった。東北・花巻では宮沢賢治の羅須地人協会が発足。賀川豊彦が神戸にセツルメントを解説した。それはやがて東京・本所に移された。賀川豊彦は「人間殿堂の建築」をよびかけ、町の設計に合わせ、そこの住人が身につけるコール天の背広やズボンまでもデザインした。(佐藤春夫--水辺の風景)

佐藤春夫の「美しき町」は色んなところで、その紹介がされてて、現物は読んでないのに、既読したような気になっている。大正ロマン、大正デモクラシー、大正モダンの中にウィリアム・モリスの影響もあったということか。しかし、モリスを「モダニスト」と定義するのには、ちょっと異論あり。

三好達治の抒情詩は、ひときわ厳しい調練を受け、ムダを一切省いたところで規律正しく直立している。ちょうど士官学校卒業生の記念写真のように、形容詞が白手袋をつけ、きちんと膝にのせている。動詞が顎を引き、スックと背すじをのばしている。比喩が30度の角度をとって、ズボンのスジを軽く撫でている。詩行が整然とした集中のなかで、じっと読者を見つめている。(三好達治--軍人精神)

なかなか凝りに凝った詩型論。これは処女詩集「測量船」へのオマージュでもある。戦時下での戦争詩の過激さのため避難するむきもあるが、詩人だって人間だもの。

2016/11/18(金)●吉報いくつか(^_^)
5時20分起床。
今朝の血圧は221/106。
JR灘駅南ロータリーでとしろうに拾ってもらい、甲賀市の別業者のピックアップ現場のヘルプ。
昨日と反対に、見積もりより荷物少なくて、午前中に作業終了。
帰り道いつもと逆方向から見る三上山、と思ったら別の山で、三上山はその向こう側にあった(^_^;)
大津SAで昼食。リニューアルしたばかりで、なかなか綺麗だった。
帰りも灘駅まで送ってもらい2時過ぎ帰宅(^_^)
気がかりだったソフトバンクの契約を確かめるため、自転車で水道筋のソフトバンクショップへ。契約というのが曖昧で、ショップでコールセンターに電話して再確認。一昨年の韓国旅行でiPhone洗濯してしまい、帰国した日に新しい機種を買った時、キャンペーンで、もう一つの電話番号を登録してたらしい。そんなこととっくに忘れてたのだが、こちらが解約になっていなかったらしい。まあ、放っておいても料金請求は無かったらしいが、やっぱり気持ち悪いので、この番号を契約解除。これで今月分の請求が終わったら、ソフトバンクとは完全に縁が切れそう。解約金や番号移行などで1万3千円くらい取られたし、白ロム購入や楽天契約で今月はそれなりの出費が嵩んだけど、来年からは月額5千円くらい安くなるはず。
3時半帰宅して、屋上へ。このところ工事関係者が足繁く通ってる、Morris.偏愛の隣ビルの螺旋階段。今日も数人が昇り降りしてたので、恐る恐る撤去するのか尋ねてみたら「かなりボロボロになってるので補修工事だ」とのこと。ほーーーーーっ、良かったあ\(^o^)/
すっかりいい気分になった。何だか空がえらくきれいに見えた(^_^;)
ニュースは安倍総理とトランプ次期大統領との会談でもちきり。ラジオでもテレビでも、会談前から、やたら大げさに伝える。これも自粛の裏返しかもしれない。トランプ自宅での会見になったらしいが、見え見えの政治ショーでしかない。2人の歯を出した作り笑いの2ショットは、見もの(^_^;)だった。
今日の歩数は3894歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 허리띠를 조르고(ホリティフルチョルゴ ふんどしを締めて、気持ちを引き締めて) 허리띠(ホリティ 帯、腰紐、ベルト、バンド)를(ルル を) 조르고(締めて)
これも、日韓よく似た表現である。最近の若者にとっては「ふんどし」は「死語」だろう。逆に「ふんどし締めて」という慣用句によって生き延びているのかもしれない。「勝って兜の緒を締めよ」というのもあるが、「兜」はなかなか死語にはなってないようだ。



昧爽の名阪道路 

甲賀市の神木? 

右が三上山 

大津SA展望台 

JR灘駅窓から桜紅葉 

紙ゴミ 

水道筋駐車場雉 

心配してた隣の螺旋階段 

補修工事だと\(^o^)/ 

2016/11/17(木)●突然京都
7時起床。
今朝の血圧は168/79/69。
今日は午前9時から午後9時の間に、楽天モバイルとソフトバンクが切り替わることになってる。9時過ぎにチェックしたがまだソフトバンク繋がってる。何となく落ち着かない。
と、思ってたら、9時半過ぎに電話で今から京都現場まで来れないかとのこと。
あわてて着替えして阪急で烏丸に出て、烏丸五条の現場に着いたのが11時半。何でも、見積もりの倍くらい荷物があって、往生してたらしい。まずは台所梱包から。
昼休み近所の因幡薬師(平等寺)覗く。ここは癌封じの寺として人気が高いらしい。本道脇に真新しい閻魔大王の石像があり、その後ろ、いかにも古びた石像二つあった。右側は右手に塔みたいなものを持ってるから多聞天(毘沙門天)だろう。左側が三面のいい顔(怖いけど)した石像は五大明王の中の誰かだと思う。後でネットでチェックした、たぶん降三世明王ではないかと思う。
午後は、テーブルやら、コンピュータやらやっても、やっても終わらない(^_^;) 久しぶりだから手が落ちたのかとも思ったが、やっぱり量が多かったようだ。
7時半に作業終了。トラックはみ出しそうなくらいに一杯一杯で、帰りもMorris.は電車で帰ることに。
せっかくだからちょこっっと夜の京都散策ということにする。四条河原町から木屋町加茂川あたりまで足を伸ばす。街角のあちこちでストリート演奏やってる。
午後8時32分発の通勤特急で十三のりかえ10時前帰宅。忙しさにかまけて、すっかり忘れてたがソフトバンクのiPhone「圏外」になってる。リュックの中に入れてた格安SIMカード入れたiPhoneはDocomoのマークが出てる(^_^) おお、何とか無事移行できたようだ。なにはともあれ結果オーライである。
今日の歩数は5933歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 귀에 못이 박히다(クィエ モシ パキダ 耳にタコができる)。(クィ 耳)(エ に) 못이(モシ 釘が) 박히다(パキダ 刺さる)。韓国の方が痛そうである。Morris.おと得意の「ウサギノサカダチ」も、耳に釘は遠慮したい。


因幡薬師 

降三世明王(左)と 

多聞天 

螺旋階段 

烏丸三井住友銀行 

大丸の孔雀 

二十三屋 

鶴柄ぽっくり 

不思議な弦楽器 

東華菜館 

夜の加茂川 

レストラン菊水 


2016/11/16(水)●何とかなるかも
7時起床。
今朝の血圧は184/89/76。
やっぱり気にかかってた格安SIMカードの件。楽天モバイルに電話。相変わらず混んでたけど、10分くらいでつながり、Morris.のカードの申込種(006で、APNはBタイプ)を知る事ができた。そして「圏外」になってるのは、開通してないためだとのこと。電話番号をそのまま移行するための乗り換え手続きを先にしなくてはならないとのことだった。Morris.は、設定してから電話するものと思ってた。
結局今使ってるiPhoneで開通センターに電話して自動応答で受付すます。これでたぶん明日の午前中に切り替えということになりそう。つまり今のソフトバンクのiPhoneは通じなくなる。したがってソフトバンクのメールも使えなくなる。数人には、Gメールに切り替えるよう連絡入れたが、まあ、電話番号はそのままだからなんとかなるだろう。
明日になれば無事開通していることを願いたい。ちょっとホッとした。
昼前JRで中央図書館へ。
もちろん猫場宇治川小公園へ。今日は猫は4匹だけ。
図書館で、新聞雑誌閲覧して3階で、2015年に亡くなってた金子國義の追悼画集とルネ・マグリット事典(^_^;)を見る。どちらも秀逸だった。
7時に図書館出て、8時帰宅。
帰ったら有田のつる姫からマグリットの絵葉書が来てた(^_^) ちょっとした偶然である。
右膝痛の再発。前ほどひどく痛むことはないがけっこう長引いてる。慢性化しないことを願いたい。
王子動物園のカバの出目吉(2歳)が今月いっぱいで姫路市立動物園に移るとのニュース。
今日の歩数は3331歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 대박(テバク 大当たり) 大騒ぎになってる朴槿恵の発言の中にこの言葉が出てきたとニュースで取り上げられてた。(テ 大)、(バク=パガジ ひょうたん)で、「大きなひょうたん」というのが元々の意味。反対語は쪽박(チョッパク 大失敗)で「小さなひょうたん」。
宝くじで1等が当たったり、ビジネスで大成功するなど、「大儲け」「大ヒット」といった感じ。
日本の若者言葉「ヤバい」のようなニュアンスもある。
이 케이크 대박이야!(イ ケイク テバギヤ このケーキヤバい!) とか、이 케이크 대박 맛있어!(イ ケイク テバク マシッソ このケーキ めちゃ美味い!)のように副詞的に使われたりもする。


もしかして撤去作業か(@_@) 

ハイビスカス 

宇治川小公園猫 #1 

ランタナの実 

#2 

#3 

図書館前広場雉 

同じく 

空 

図書館猫 #1 

#2 

#3 

空と枯木 

金子國義追悼画集 

マグリットの絵葉書が 

【D・トランプ 破廉恥な履歴書】ジョン・オドンネル, ジェームズ・ラザフォード  植山周一郎訳  ★★ 2016/04/15 飛鳥新社 1992年「経営者失格--トランプ帝国はなぜ崩壊したのか」の新装版
ジョン・オドンネル トランプ・プラザの専務として1987年2月、トランプ社に入社。1990年4月にトランプ・プラザの最高経営責任者の地位を辞任するまでの3年間、ドナルド・トランプの側近として働く。

カジノのオーナーと支配人のいざこざ話。元が四半世紀前の暴露本みたいなもので、それを今回の大統領選挙選にあわせてあわてて再販したもので、読む必要もないと思いながら、まあ、自伝よりはましかと思って読んだ。内容も文章もかなりにひどいものだった。




2016/11/15(火)●格安SIM入れても圏外(>_<)
8時起床。
今朝の血圧は176/77/66。
朝から白ロムiPhoneとちびくろ2号つないで、アプリやデータを同期させる。
午前中に格安SIMカードが届くことになってたからだ。設定の動画も見て準備万端のはずだったのに……いくら待っても来ない。いちおう時間指定してたはずなのに。
結局配達に来たのが3時過ぎ。渋滞やら事故やらが重なったとのこと。
気を取り直して、小さなカード挿入。Wi-Fi経由でAPN登録と選択。これは指定されたURLのアドレスを打ち込んでインストールするのだが、ここでちょっと問題が。
APN設定は申込種別に二種類があって、その確認するためのサイトに行く方法がわからなかったのだ。カードの台紙にある電話番号とSIM番号でアカウント確認するページもあったのだが、これはデータ反映するまでに1,2日かかるとのこと(>_<)
とりあえず、二種類を一つずつ試してみることにした。BとCのタイプで、まずBをインストール。インストールできて、設定画面のプロファイル見たら「楽天モバイルB ]と表記されてる。でも、画面の左上には「圏外」の文字が。そこでプロファイルBを削除して、Cをインストール。でも、やっぱり「圏外」のまま。これを何度か繰り返したがらちが明かない。
ネットで色々調べたけど解決できず。とりあえず今日はギブアップ(>_<)
サッカー、日本-サウジアラビア戦やってて、いちおうチャンネル合わせてたけど、ほとんど見る気にならず。2-1で日本勝ったようだけど(^_^;)
今日の歩数は0歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  짜증나다(チャジュンナダ  いらだつ、むかつく、いらいらする) 짜증(チャジュン いやけ)나다(ナダ 出る)。約めて짱나(チャンナ)ともいう。
怒りや不満やいらだちなどの類語を。

화가 나다(ファガナダ) 화(ファ 怒り、火)
신경질나다(シンギョンジルナダ神経質になる)
타다(タダ 燃える、焦る、いらだつ)
기분이 나쁘다(キブニナップダ 気分が悪い)
초조하다(チョヂョハダ 焦燥する、いらいらしている)
안달복달하다(アンダルポクタルハダ やきもきする)
메슥거리다(メスクコリダ 吐き気がする、むかむかする)
속이 뒤집히다(ソギトィジッピダ 心がひっくり返る。心が乱れる)
가슴을 졸이다(カスムルチョリダ 気をもむ、やきもきする)
몸이 달다(モミタルダ 気が急く、はやる、いらだつ)

【鄭義信戯曲集】鄭義信 ★★★ 2013/05/29 リトルモア
鄭義信チョンウィシン 1957年姫路市出身。83年黒テント入団、87年劇団梁山泊の旗揚げn参加。96年退団。「焼肉ドラゴン」で鶴屋南北戯曲賞など5つの賞を受賞。

「在日三部作」とでもいいたくなるような三作が収められている。

 「たとえば野に咲く花のように」(2007)朝鮮戦争勃発直後、港町のダンスホールにて。大戦の傷の癒えない男と女、特需に違和感を抱く若き在日朝鮮人、再び戦火に身を投じる男、待つ女……。
焼肉ドラゴン」(2008)高度成長経済成長期、朝鮮人集落のホルモン屋にて。故郷を遠く離れた日本で懸命に働く父、奪われた腕、やっと築いた家族、根強い差別、「発展」の大義のもとに家族をおびやかす行政……。
パーマ屋スミレ」(2012)ふたつの戯曲の間、60年代、九州の炭鉱にて。厳しい労働環境、壊れていく炭鉱夫たち、薄い保障終わりのない争議、閉山……。

英順 これで一生、会われんわけやない……。
静花 ……。
哲男 社会主義建設に貢献したら、その褒美で日本にも帰って来れますわ。
信吉 北がそれだけすばらしい国やったら、なんで総連の連中は、もろ手を上げて、帰らんのや。「地上の楽園」ちゅうのは、誇大広告にもほどがあるやろ。
哲男 最後なんやから、心よう送り出せんのか、おのれは……。
信吉 結局、わしら、「在日」……北に利用されるだけや。
哲男 そら、韓国かておんなじこっちゃ。6年前の日韓会談で結ばれた在日韓国人の地位協定(日韓法的地位協定)がも少ししっかりしてたら……朴正煕は日本から金引き出すことばっかりで、これっぽっちも「在日」のこと、考えとらんかった……「在日」は外交交渉のための単なる手駒や……「地位協定」のおかげで、「在日」にきっぱり、はっきり、三十八度線が引かれよったんや……。(焼肉ドラゴン)

帰国事業に関する上の対話は、ちょっと図式的過ぎるが、「なんで総連の連中は、もろ手を上げて、帰らんのや」は、本心だろう。
差別や貧しさや恨みや愛や在日の暮しを象徴的に描きながら、笑いと懐かしさでくるんだような作品。それなりに面白かったけど、何か物足りなかったというのが正直なところ。
まあ、こういうのは舞台見なくてはどうしようもないか。


2016/11/14(月)●歌謡舞台にチュヒョンミ(^_^)
8時起床。
今朝の血圧は181/87/94。
今夜はスーパームーン(明るく大きく見える月)らしいが、天気予報では午後から雨らしい。
参議院の国会中継やってたが、しつこくTPPに関する質疑応答(>_<) これまでのあの攻防は結局無に帰してしまう可能性が大である。なんという無駄、馬鹿馬鹿しいとしかいいようがない。
夕方自転車で大安亭に買い物に出て、ヤマザキナビスコの在庫整理なのかノンソルトクラッカーが安くで出てたので二つ買う。野菜の高騰は一向に収まる気配がない(>_<)
小雨のなか4時半帰宅。
朴槿恵大統領は昨日の100万人デモと明日(明後日?)の事情聴取と、いよいよ窮地に追い込まれている。
今夜のKBS歌謡舞台1490回は- 만추기획 晩秋企画 사인사색四人四色 -
4人の女性歌手だけで全体を構成する画期的なプログラムだった。さらに画期的というか特筆すべきは、本当に久しぶりにチュヒョンミが登場することだ。たぶん10ヶ月ぶりくらいだと思う。
番組創成期以来最も頻繁に出演してたチュヒョンミが、これだけ長期間ブランクがあったのには、何らかの理由があると思うのだが、今回の出演を機に、直々彼女の出演を期待したいのだが、企画内容からすると、これでチュヒョンミもレギュラーから外れたことの告知ととれなくもない。

1) 또 만났네요また逢いましたね、감수광カムスグヮン/주현미チュヒョンミ,혜은이ヘウニ
2) 꽃길花道,럭키 모닝ラッキーモーニング/정훈희チョンフンヒ,박재란パクチェラン
3) 님ニム/박재란パクチェラン
4) 박달재 사연パクタルチェ事情/박재란パクチェラン
5) 행복의 샘터幸せの泉/박재란パクチェラン,정훈희チョンフンヒ
6) 꽃밭에서花畑で + 무인도 無人島/정훈희チョンフンヒ
7) 그 사람 바보야あの人は馬鹿/정훈희チョンフンヒ
8) 짝사랑片思い(주현미チュヒョンミ)/박재란パクチェラン
9) 맹꽁이 타령蟇打令(박재란パクチェラン)/정훈희チョンフンヒ
10) 진실真実(정훈희チョンフンヒ)/혜은이ヘウニ
11) 새벽비朝雨(혜은이ヘウニ)/주현미チュヒョンミ
12) 제3한강교第三漢江橋/혜은이ヘウニ
13) 열정熱情/혜은이ヘウニ
14) 당신은 모르실거야あなたは知らないでしょう/혜은이ヘウニ,주현미チュヒョンミ
15) 비 내리는 영동교雨降る永東橋/주현미チュヒョンミ
16) 여백余白/주현미チュヒョンミ
17) 신사동 그 사람新沙洞の人/주현미チュヒョンミ.정훈희チョンフンヒ
18) 산 너머 남촌에는山の向こう南村には/박재란パクチェラン,정훈희チョンフンヒ.혜은이ヘウニ.주현미チュヒョンミ

一曲目が「トマンナネヨ」というのもいかにもである(^_^;)
ヘウニは大御所で、Morris.も大好きな歌手だが、パクチェランは「サンノモナムチョネヌン」、チョンフンヒは「ムインド 無人島」くらいしか知らない。
こういった企画ではお約束の、持ち歌交換。チュヒョンミが歌う「セビョクピ 朝雨」がとても新鮮に聴こえた。この「セビョクピ」を始め、ヘウニのリズム歌謡「第三漢江橋」「熱情」などはどれも素晴らしい。そして、ひさびさのチュヒョンミ、一段と美しくなってた(@_@)。
今日の歩数は2010歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 재수없다(チェスオプタ ツキがない)재수(チェス 運 ツキ)は漢字で書くと「財数」。재수가 좋아 (チェスガチョア ついてる、運がいい)

【戦争】大岡昇平 ★★★ 2007/07/18 岩波現代文庫:社会:155 1970年大光社より刊行、1978年九藝出版より再刊

1970年の夏、私の北富士の山小屋へ、大光社の佐藤嘉尚、納家正和両君が来てくれて、毎日5時間ずつ、三日間しゃべり、それを整理したものです。(あとがき)

45年前の「語りおろし」ということになる。今でこそ語り下ろしというスタイルは、よく目にするが、当時はそれほど多くなかったのではと思う。実は大岡昇平は、気になりながらほとんど読まずにきた作家である。
本書は中央図書館の岩波文庫棚で偶然見かけてタイトルが気になって手に取った。

第一章 その前のこと
第二章 太平洋戦争勃発
第三章 ミンドロ島
第四章 俘虜体験
第五章 戦争とは


「俘虜記」「野火」「レイテ戦記」などと直接重なる第二章から第四章より、作家以前の第一章とおしまいの「戦争とは」が印象的だった。

愛国心っていうのは、ま、古い言葉でね、国が何かということがわかんなくなっちゃった今日は、あいまいになっちゃった概念ですが、人間が自分一人のことだけ考えればいいんだというエゴイズム、これは、ま、悪い意味に使われる言葉でしょう。結局、愛国心ってのは、なんだか個人のエゴイズムを超越するんで、なんか美しくて、いいことのようなイリュージョンが生まれるんだが、結局自分の国土さえうまくいけばいいというんですから、エゴイズムには変わりはない。それは愛国心にかられて、ほかの国へいって悪いことをする人間の場合を考えればわかります。(愛国心とは)

個人のエゴイズムを超えたように見えて、その実、自国のエゴイズムだという指摘は正鵠を射ている。

戦争というのはいつでも、なかなかきそうな気はしないんですよね。人間は心情的には常に平和的なんだから。しかし国家は心情でうごいているのではない。戦争が起きた時にはもう間に合わないわけだ。強行採決につぐ強行採決、なんにも議会には計らないで、重大な外交、内政問題をどんどん休会中に決めてしまう今の政府のやり方を見てると、いつどういうことが行われるかわからない。権力はいつも忍び足でやってくるんです。

これはまさに、現時点での問題提起でもある。

歴史は決して繰り返さないと思ってますが、一度大きな軍事予算を組んでしまうと、拡大した設備は使わないと損になりますから、どんどんふくれ上がっていくでしょう。226の時、軍事予算を出ししぶった高橋是清が殺されたんだけど、その次の蔵相が軍部の要求をのんで予算を大きくしたら、そのまま戦争へ突っこんでしまった。どっちにしても、ぼくはそういう戦争になる経過を見てきた人間として、兵士として、戦争の体験を持つ人間として、戦争がいかに不幸なことであるかを、いつまでも語りたいと思っています。(戦争と文学)

われわれは昔から「なんとかなるだろう」といたかをくくる癖がある。実際それで戦後29年、なんとかやってきたのだが、この順応性の底にあるのは、自分一人なんとかなりさえすれば、他人はどうなってもいいというエゴイズムである。(あとがき)

これもMorris.には耳の痛い忠言である。

2016/11/13(日)●一歩前進?
6時起床。
今朝の血圧は171/89/84。
朝の三点セット。
右膝は湿布とサポータのお陰でだいぶましになったような気がするが、今日は一日静養することにした。
KBSノレチャラン今日は。10月1日に録画見に行った坡州のイムジン閣篇だったので、ネットでみたのだが、画面が粗くて、Morris.が写ってるかどうか確認できなかった。
3時頃Amazonから先日注文したDocomoの白ロム到着。中古のiPhone5s32Gで、これでやっと格安simへの移行が可能になった。早速楽天モバイルで契約しようとしたが、いろいろあってえらく手こずってしまった。まずはソフトバンクに電話でMNP予約番号貰うのになかなか電話が通じず、やっと通じた後、予約番号貰ったが、何かMorris.の場合以前iPhoneを洗濯して新機種に変えた時のサービスのため、一度ショップで解約する必要があるとか面倒なことを言う。まあ、それは後回しということで、楽天モバイルの申し込み。これがまたあちこちで引っかかり、何とか申し込み終えたら、ぐったり疲れてしまった。数日後にsimカード届いたらまた一苦労しそうだし、キャリアメール使えなくなる前に、Gメールアドレスを情宣しなくてはならない。何はともあれ、韓国旅行前からの懸案で、帰国後即やると宣言してた格安simへの移行作戦。遅まきながらやっと一歩前進ということになる。
世界野球強化試合日本-オランダ戦。6点リードされた7回に代打大谷の打った打球は高く上がり、ドームの天幕の隙間から場外に(@_@) 結果的にエンタイトル2ベースになったが、こんなの初めて見た。これに勢いづいて8-8の同点に追いつき、そのまま2日続けての延長タイブレーク(^_^;) 10回表鈴木の満塁ホームランで12-8とリード、その裏2点取られて12-10で日本連勝だが、四球、エラー、ワイルドピッチの多い、草野球みたいな試合だった。それ以前に、野球に「強化試合」なんて必要なのか?という疑念を感じた。しかも本番は3月とか(^_^;) 調整にもなんにもならんぞ。
今日の歩数は0歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda] 눈에 넣어도 아프지 않다(ヌネノオドアプチアンタ 目の中に入れても痛くない) よく爺さん婆さんが孫のことをこんな風に表現する。日本語と全く同じである。
눈물 없이 못 보다(ヌンムルオプシ モッボダ 涙なしには見られない)これも日本語と同じ表現。こういうのは、どちらからか伝搬したのではないかと思う。偶然の一致ということもありえるだろう。

【癖のある随筆】 長沼弘毅 ★★★ 1958/04/25 六興出版
著者略歴 東京帝大卒、元大蔵次官、現在、公正取引委員会委員長、中央労働委員会委員、国民年金制度委員会委員、医療保障審議会委員、随筆、ひとりごと(昭31)和漢の散歩(昭和31)酒のみのうた(昭32) 翻訳・ナイル河上の殺人(昭30)謎の凶器(昭32)そのほか著書多数

略歴にもある「和漢の散歩」は、ずっと以前古本屋で手に入れて、折に触れて読み返していた。シャーロキアンとして知られていたと思うが、実はばりばりのエリートだったんだな。偶然中央図書館で、「和漢の散歩」の続編があることをしり、同じ著者の随筆も一緒に借りてきた。

ぼくは、日ごろ血圧が高く、200ぐらいあるのがふつうなのだが、診断を受けたときは、115に下がっていた。なにか心臓に異変があつたに違いない。(スイスのお医者さん 1957・10)

図書館で、斜め読みして、この部分が目についたので借りる気になったのだった(^_^;)
血圧200がふつう、という人がいることに、同好の士みたいな感じがした。

「白鼻」とはいわないが、「鼻白む」という。おどおどするとか、はずかしがるとか、照れるとかいう意味であろう。(鼻のはなし1956・1)

Morris.は「鼻白む」を、白けるという意味で使ってたので、手持ちの辞書見たら、新潮社版では「気おくれした顔をする」とだけあった。これはMorris.が間違ってたのかと思って、大辞林みたら「きまり悪そうな顔をする」より先に「批判を受けたり気勢をそがれたりして、気分を害する。また興ざめする」と、あったので「白ける」でも間違いではなかったようだ。ただこの訓みは「はなじろむ」で、「はなじらむ」ではなかった(^_^;)

仮名を多く使うことの原因のひとつに、ぼくの無学ということを、教えておかねば、ならない。例をあげよう。ぼくは、いまだに「聞く」「聴く」の区別がわからない。さらにまた、耳で「きく」場合だけでなく、ひとにものを質問する場合に、これらの二字を使ってよいものかどうかも、わからない。(よく「訊く」などと書かれている)別の例をあげれば、「就く」「着く」「著く」などの区別もまことにむずかしい。「因る」「由る」「依る」「拠る」「椅る」を、はつきり書きわけられるひとが、なん人いるであろう。
例をあげれば、限りがないが、「止める」は「とめる」か「やめる」か? 「癒す」」は、「直す」と同じように使われているが、「いやす」ではないのか。「まわる」「まわす」など、「回」「廻」のどちらが正しいのか。ひとを訪問するとき、「訪」が、ふつうに使われているが、「尋ねる」とするのは誤りなのであろうか。「おもな」は、「重な」がほんとう(?)らしいが、俗には、「主な」と書かれていることが多い。「目」と「眼」の区別は、どこにあるのか。「私」は、「わたくし」だが、「わたし」と読まれたらどうするのか。「風邪」は、「ふうじゃ」であつて、この二字で、「かぜ」と読ませるのは、間違いであるという。しからば、「風」の一字でよいのか。自然現象の「かぜ」と間違われてしまいはせぬか。
以上、疑問百出である。こうなると、到底、ぼくらのようなものの手には負えない。したがつて、自然、仮名を多くなるのだが……(仮名と漢字 1957・9)


この正直さには好感を覚えた。Morris.もどの漢字使えばよいか迷うことがあるが、それでもたいていその中の一番ふさわしそうな漢字を使うことが多かったが、あっさりひらがなというのはストレス解消になるかもしれない。「おもな」が元は「重な」というのは初耳だった。

ぼくはぼくなりに、ごく手近かなところからはじめることとした。それは、大げさにいえば、比較文学的な渉猟である。芭蕉は「古池や」や「閑かさや岩にしみ入る」で、静中動を点じ、抜群の手法を示した。しかし、陶淵明は、すでに早く「蘆を結んで人境にあり しかも車馬の喧しき無し」で、「喧中の幽」をとらえている。蕪村の名句「菜の花や月は東に日は西に」の手法は、すでに柿本人麻呂の試みたものであり、くだつて、杜甫、李白、陸放翁にも類似の作がある。
かくして、ぼくの「問題」は、どうやら出典探しに移るようである。(出典への郷愁 1957・4)


「和漢の散歩」の生まれた事情の説明のようだ。

酒を飲んでうまいのは、躰のなかに、前に飲んだアルコオル分が、もつとも少なくなつているときなのでズルズルべつたりにアルコオル分が躰のなかにある上に、また飲むといつたことは、あまり感心せん、というのである。こういう考え方からすると、宿酔を催すほど、多量に飲んだり、それを紛らすために迎い酒したりするのは、一番いやなものになるわけである。(父の酒 1938・5)

これは著者の父の持論だったらしい。しかし、アルコールが残っていない時の酒が一番美味しいというのは、??である。

【酒のみのうた-續・和漢の散歩】 長沼弘毅 ★★★ 1957/12/05 自由國民社

こちらが「和漢の散歩」の続編で、期待したのだが、かなりの期待はずれだった。どちらかと言うと漢詩の引用が多く、Morris.には漢詩は敷居が高い。というか、相性が悪いようだ。
いちおう、目についた和歌と俳句を引用しておく。

今の世に楽しくあらば来む世には虫にも鳥にも吾はなりなむ
いけるもの つひにも死ぬるものにあれば 今あるほどはたのしくをあらな 大伴旅人

まづまづとゆづろふ程に杯のうちにもちれる花ざくらかな
今日は今日 あらむ限りはのみ暮し 明日のうれひは あすぞ愁へむ 大熊言道

大熊言道は江戸時代後期の歌人。

凩よ世に拾はれぬみなし栗
猿のよる酒家きはめて櫻かな
名月や居酒のまんと頬かぶり
詩あきんど年を貪る酒債権(さかて)かな
酒を妻妻を妾の花見かな 其角

其角は面白い(^_^)

をりからや梅の花さへ咲き垂れて白雪を待つその白雪を
津の国の伊丹の里ゆはるばる白雪来たるその酒来たる
酒の名のあまたはあれど今はこはこの白雪にます酒はなし
寂しみて生けるいのちのただひとつの道づれとこそ酒をおもふに 若山牧水

この「白雪」は伊丹の清酒の銘柄である。

餅食らふ詩人うとまし神の春 几董

秋風や酒肆に詩うたふ漁者樵者 蕪村

いつも来る
この酒肆(さかみせ)のかなしさよ
ゆふ日 赤赤と 酒に射し入る 啄木

酒一斗 しばし壺中の月見かな 蝉鼠

枯薔薇落つるひびきにおどろきぬ夜半の酒場のしづかなる時
さびしさは夜半の酒ごと  われとわが寒き影にも杯はさせ 吉井勇

菊の酒にちからある日の雨寒し 白雄

木のもとに積るおちばをかきつめて露あたたむる秋の杯 藤原良経

拾はれぬ栗の見事よ大きさよ 一茶



2016/11/12(土)●Jazzと「戦争」
7時起床。
今朝の血圧は194/85/62。
昼前JR灘駅の方に行ったら広場にステージ作って中学生のジャズバンド演奏やってた。「ワンデイジャズロード」という催し。そう言えば、去年、BBプラザでジャズレコードDJ企画を観賞したな。
天気も良いし、折りたたみ椅子に座って、生演奏聴きながら手持ちの文庫本読むことにした。これがなんと大岡昇平の「戦争」という45年前の「語り下ろし」本。結局このステージのほとんどの演奏聴いてる間に読了してしまった。
3時に帰宅。
屋上でミニギター。隣の螺旋階段では補修工事やってる。
5時に部屋に戻る。右膝の痛みがぶり返した(>_<)ようなので、余ってた湿布薬とサポータで保護。
見るともなく世界野球強化試合、日本-オランダ戦。日本は1-5で劣勢だったが、5回裏大谷のホームランから連打で7-5と逆転したが、9回大瀬良が打たれて同点、逆転され7-8に。その裏、相手の四球、エラー連続で同点。延長はタイブレーク(無死一二塁から)、プロの試合でのタイブレークなんてめったに見られない。10回裏日本が一死満塁からヒットで9-8のさよなら勝ち。3時間半の激戦ではあったが、こういった国際試合は、アナウンサーも解説者も変に意識(遠慮)した中継になるのが気持ち悪い。
今日の歩数は1032歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  맙쏘사(マプソサ なんてこったい) 想像もしなかった結果などへの驚き、落胆、怒りなどの入り混じった感嘆詞。「最低! マジ?!」
Oh my God!!


JR灘駅前ジャズステージ 

螺旋階段補修工事 

今日の空 

【池上彰のやさしい経済学 1.しくみがわかる】池上彰
★★★☆ 2012/03/23 日本経済出版社
2011年夏に京都造形芸術大学で客員教授として行った一般教養の集中講義「経済学」(テレビ東京やBSジャパンで放映)を書籍化したもの。

経済学というのは金儲けのための学問ではないんですね。皆さんの生活にとってたいへん身近なものなのです。何かと言いますと、資源の最適配分を考える学問なのです。

大言海によると
経済 国を経(はか)り、世を済(すく)ふ。1.国家を経営し、世民を救済すること。治国の術。政治の方。2.此の語、今、専ら、財貨を経済するに用いられ、理財の意とす、其条を見よ
理財 1.金銭の用いを取り締まること。有利なる結果を得るやう、財貨を整理すること。 2.[英語 Economy.の訳語]人生死活の維持、発達を目的とする財貨に関する計画

池上の解説とはかなり違っている。

何かを選択したということは、その代わり何かを捨てているのです。その捨てているもの、これを「機会費用」と言います。何かを選択することによって、別の貴重なチャンス、すなわち「機会」を捨てている、その費用を払っている、こういう考え方もできるのです。

「エネルギー不滅の法則」みたいだな。

GDP(Gross Domestic Product)=“国内”総生産
GNP(Gross National Product)=“国民”総生産

なぜGDPが使われるようになったのか。かつてほとんどの日本企業は、国内で生産活動をしていました。だから日本企業や日本人が稼いだものを計算していれば、それが国全体の豊かさと同じだということで、GNPが使われていました。ところが日本の企業はどんどん海外に進出、そうなると日本企業の生産全部をそのままけいさんしていると、日本企業の生産全部をそのまま計算していると、日本企業の外国工場で働いている外国人の生産が、日本国内の生産として計算されてしまう。その一方で、海外の企業が日本に進出してきて、日本でいろいろなものを生産する。そこで日本人が雇用される。海外の企業で働いても、日本jんの生産です。だから国内で生産されているものをけいさんしようということになりました。こうして現在はGDPが国の経済の豊かさを示すものとして使われています。


よくわかりました。すぐわ忘れるだろうけど(^_^;)

お金というのは共同幻想なんです

これはわかりやすい。

「生産物が最大の価値を持つように産業を運営するのは自分自身の利得のためなのである。そうすることによって彼は他の多くの場合と同じく、見えざる手に導かれ、自分では意図していなかった一目的を促進することになる」(アダム・スミス)
市場=マーケットも個々人が利益を求めて利己的に行動しても、見えざる手によって導かれ、結果として経済がうまく回っていくということです。需要と供給のバランスはおのずと調整される。これを見えざる手に導かれるごとくうまくいくんだよと表現したのです。


「見えざる手」というと、神の意志みたいなイメージを持ちやすいが、予定調和みたいなものか。

経済学は時代の処方箋である。
経済学は試行錯誤の繰り返しです。

流動性の罠 利子率を下げても企業投資が増えず、中央銀行の金融緩和政策が効かなくなる状態のこと。2008年にノーベル賞を受賞したポール・クルーグマンがバブル後の日本経済について「流動性の罠に陥っている」と分析した。
いまのままでは先行きが不安で将来に展望がないから、みんなお金を使おうとしないのです。いくら金利が低くても、お金を借りて新しく何かをしようとは考えません。ケインズの時代にはそのようなことはなかったので、「理論的にその可能性がある」とだけ指摘していました。
バブルのとき、日本の企業は金儲けのために大量の土地を買った。バブルがはじけ、土地の値段がおおあ幅に下がって企業は大損をし、企業自体が存続することに汲々として新しい事業を始めることができないような深刻な状態がずっと続いていました。その間、日本の経済はすっかり元気がなくなり、新しい産業や技術が生まれなくなったのです。


バブルの解説を読むと、なるほどと思うのだが、バブルの中にいるときは全く見えてなかった。

ミルトン・フリードマン(1912-2006)「新自由主義の旗手」の「こんなものいらない」14項目
1.農産物の買い取り保証価格制度
2.輸入関税または輸出制限
3.家賃統制、物価・賃金統制
4.最低賃金制度や価格上限統制
5.現行の社会保障制度
6.事業や職業に関する免許制度
7.営利目的の郵便事業の禁止
8.公営の有料道路
9.商品やサービスの産出規制
10.産業や銀行に対する詳細な規制
11.通信や放送に関する規制
12.公営住宅および住宅建設の補助金
13.平時の徴兵制
14.国立公園

フリードマンの新自由主義を高く評価する声があり一方で、これは強い立場、有能な人の論理であって、弱者には成り立たない理屈ではないのかおいう批判があることも事実だということです。


やっぱりMorris.はアンチ新自由主義である。

比較優位 自国で生産性の高いものの生産に特化し、ほかのものは他国から輸入することで、より多くのものを得ることができるという考え方。この考えによって、19世紀以降、国際貿易が活発となった。

GATT(General Agreement on Tariffs and Trade) 関税及び貿易に関する一般協定。1948年発足。輸入品にかかる関税や輸出入規制などの貿易障壁を多国間の交渉によって取り除き、自由貿易を堅持することを目的とする。日本は1955年に加盟。

ウルグアイ・ラウンド 1986年、南米ウルグアイで始まったGATTによる8回目の多角的貿易交渉のこと。金融や投資、情報や通信、知的所有権、サービスなど、新しい分野にもGATTの原則が適用されることになった。

2007年に日本とチリがEPA(経済連携協定)結んだ結果、日本でチリのワインが安く入るようになった。チリは銅の産出が世界一位です。日本はチリとEPAを結ぶことによって、重要な鉱物資源である銅を安定して輸入できるという大きなメリットを得ています。一方チリにとってもまた、特産品のサーモンやワインの日本への輸出に関税がかからなくなり、輸出量が大幅に増加しました。


本書で一番納得した箇所(^_^;)

【池上彰のやさしい経済学 2.ニュースがわかる】池上彰★★★ 2012/04/13 日本経済出版社

デフレとは持続的な物価下落。
デフレ・スパイラル 物価の下落と景気の悪化が同時進行する状態のこと。


デフレは螺旋状なのか。

合成の誤謬 個人が合理的な行動をとっても多くの人が同じ行動をとることによって、全体としては悪い事態になること。

インフレには二種類ある。需要が増えて、ものの値段が上がっていくことを「ディマンド・ブル・インフレ」、一方、コストが上がることによってものの値段が「コスト・プッシュ・インフレ」と言います。

デノミ デノミネーションの略称。通貨の呼称単位を切り下げること。インフレによって商品の金額表示の桁数が増えすぎた場合に実施される


世界のバブルの例では、1630年代のオランダのチューリップバブルというのが有名です。当時オランダで、きれいな花を咲かせるチューリップが大変人気になり、球根の値段が高騰しました。球根にそれだけの価値があるとみんなが思っているから買うわけですが、結局きれいな花を見るだけのことです。ある日突然、なんでこんなに高いんだろうとみんなが思うんですね。そしてチューリップの球根は大暴落。借金をしてたくさん買い集めていた人たちは破産してしまったのです。

こんなネタ部分だけはよくわかる。

バブルはほぼ何処の国でも約30年ごとに起きています。ということは、日本は1990年にバブルがはじけていますから、あと、7,8年もするとまたバブルが起きるかもしれません。
バブルで大損をした人たちはもう二度と手をだしません。しかし人間というのは、痛い目に遭った経験をした人がいなくなると、また同じようなことを繰り返してしまうものなのです。


ブレトンウッズ体制(1945~1971.8) IMF、世界銀行、GATTを中心とした国際経済体制。1ドル=360円の固定相場制が続いた。
スミソニアン体制(1971.12~1973) ニクソンショック後、ワシントンのスミソニアン博物館で先進10カ国蔵相会議で合意された新通貨体制。このとき1ドル=308円に引き上げられた。
そして1973年に変動相場制に移行。


1ドル360円というのはMorris.の中には染み付いているようだ。
やさしい経済学2冊読んでも、結局ほとんど歯が立たなかった(>_<)

2016/11/11(金)●百歳人生
8時起床。
今朝の血圧は155/877。
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ警句」トランプ勝利を受けてほとんど「敗北宣言」みたいな記事だった。小田島は3月にもトランプの記事書いてて、こちらがかなり今回の番狂わせの理由を先取りして正鵠を射る形になってた。皮肉である。
珍しく、韓国向け数枚写真絵葉書作る。近所の郵便局不足分の切手買う。以前は普通葉書50円+20円切手だったが、今でも葉書は世界一律70円らしい。不足分は18円でそのためカイガイグリーティング(差額用)18円切手もあり、海外向けを意識してか和食デザインになってた。今日買ったのはそばデザインで、余白に山葵やそばつゆ容器などの小さなカットがおまけに付いてるのも可愛い。
そのまま王子動物園に寄り、ハンター邸前庭のベンチでミニギター&読書。途中冷えてきたので、資料館の図書室で、くつろぐ。
4時半帰宅。自転車で水道筋に買い物に出る。
最近ちょっと気になってる韓国歌謡にイエランの「ペクセインセン 百歳人生」というのがある。

백세인생 노래: 이애란

육십세에 저 세상에서 날 데리러 오거든 아직은 젊어서 못 간다고 전해라
六十歳のときにお迎えが来たら、まだまだ若輩者で逝くわけにはいかんと伝えおけ
칠십세에 저 세상에서 날 데리러 오거든  할 일이 아직 남아 못간다고 전해라.
七十歳のときにお迎えが来たら 仕事がまだ残っているので逝くわけにはいかんと伝えおけ
팔십세에 저세상에서 날 데리러 오거든  아직은 쓸만해서 못간다고 전해라
八十歳のときにお迎えが来たら、まだ使えるから逝くわけにはいかんと伝えおけ
구십세에 저세상에서 날 데리러 오거든   알아서 갈테니 재촉 말라고 전해라.
九十歳のときにお迎えが来たら わかったから催促せずに待ってろと伝えおけ
백세에 저 세상에서 날 데리러 오거든  좋은 날 좋은 시에 간다고 전해라
百歳のときお迎えがきたら 大安吉日に出かけると伝えおけ
아리랑 아리랑 아라리오  아리랑 고개로 넘어간다.
アリランアリランアラリヨ アリラン峠を越えて行く

팔십세에 저세상에서 또 데리러 오거든  자존심 상해서 못간다고 전해라
八十歳のときにまたお迎えが来たら自尊心が傷ついたから逝くわけにはいかんと伝えろ
구십세에 저 세상에서 또 데리러 오거든  알아서 갈텐데 또 왔냐고 전해라.
九十歳のときにまたお迎えがきたら わかったから逝くからまた来るように伝えろ
 백세에 저세상에서 또 데리러 오거든  극락왕생 할 날을 찾고 있다 전해라
百歳のときにまたお迎えがきたら わしは極楽往生すると伝えおけ
백오십에 저세상에서 또 데리러 오거든   나는 이미 극락세계 와 있다고 전해라
百五十のときにお迎えがきたら、わしはもう極楽世界に発ったとつたえおけ
아리랑 아리랑 아라리요   우리 모두 건강하게 살아가요
アリランアリランアラリヨ わしらは皆健康第一で行きてきたよ


歌詞の終わりにアリランが出てくることからもわかるが、つまりはアリランの一変奏である。朝鮮民族の心のなかにアリランという歌の魂がいかに深く染み込んでいるかを改めて思い知らされた。
この歌詞、以前湯のみ茶碗とか手ぬぐいにそっくりの「長生き歌」として印刷されてたように思う。
今日の歩数は5128歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  꽝이야(クァンギヤ 最低) 꽝(クァン)は外れくじ。꽝だけでも使われる。クイズの
正解の時のピンボーンは딩동댕(ディンドンデン)または딩동(ディンドン)、不正解のブーは(テン)だが、(クァン)も使われる。


海外向け葉書料金は70円 

今日のまぬう 

今日のボブキャット 

ぶんちゃん 

団扇楓紅葉 

桜紅葉 

【チャンキ】森達也 ★★★☆☆
2015/10/30 新潮社 初出「小説新潮」2013-2015
2033年の日本を舞台にした近未来小説。
人口減少問題を、寓意的に描いたもので、主人公は18歳の高校生。

そもそもこの国における自殺の人口比は、先進国では例外的なほどに高かった。ところが20年ほど前に何かのスイッチが入ったかのように、さらに急激に増加し始めた。世をはかなんだりおいつめられたりしたうえでの自殺ではない。死ぬ理由などまったくないはずの人が、唐突に自らの命を絶ってしまう事例が急増した。遺書はない。直前まで大笑いしていた。結婚が決まったばかりだった。
その後も自殺する人は増えつづけて、5年ほど前には一日当たり八千人を超える人が、自ら命を絶っていた。年間でおよそ三百万人。この時期における広島県の人口とほぼ同じ数字だ。あるいはモンゴルの総人口。21世紀初頭におけるこの国のガンによる死亡者数のほぼ十倍であり、交通事故者の六百倍だ。最近は一日あたり六千人前後が平均だ。ピーク時に比べれば少し減った。その理由は明らかだ。分母である人口が減少したからだ。タナトスの確率はほとんど変わっていない。


この現象が「タナトス」と呼ばれているというところで、つい笑ってしまった。

『タナトス前夜』は、タナトスが蔓延する直前の日本について書かれたノンフィクションだ。東北地方で大きな地震が起きて津波に襲われて福島の原発がメルトダウンし、このときの政権を担っていた民主党は次の選挙で惨敗して自民党が圧勝した。記者時代に著者は被災地を何度も取材し、原発にも足を運んでいる。この年のレコード大賞はAKB48。ポール・マッカートニーが来日して東京ドームでコンサートを行った。やがて辞退することになるけれど、2020年の東京オリンピック開催が決まったのもこの時期だ。

2020東京オリンピックがご破算になるという設定には嬉しくなった。

とても不思議な国です。日本史の矢部は口癖のようにこれを言う。鎖国をして男は丁髷を結って女は歯を黒く染めていた時代が終わってからまだ200年も過ぎていないのに、開国後にはあっというまに自他共に認めるアジアの盟主となり、アメリカやヨーロッパを相手に戦争を起こし、同盟国のドイツやイタリアが降伏しても戦いをやめず、結局は東京が焼け野原となって、さらには世界で初めて、そして今のところは最後に、核兵器を投下された国となりました。ところが戦後から数年で経済は驚異的な復興を示し、遂にはドイツを抜いてGDP世界二位を達成します。ところが同時期に発覚した水俣病が世界的な問題になります。食物連鎖によって拡大した環境汚染が原因となった人類史上最初の病気であり、公害の原点と言われています。世界で唯一の核兵器被爆国でありながら、原子力発電所を一時は54基も保有して、結局は致命的な事故を起こし、世界のエネルギー政策に大きな影響を与えたこともあります。54基ですよ。世界第三位。こんなに小さくて地震が多い国なのに。どう考えても普通じゃない。極端すぎます。要するにこの国はいつも、一斉傾斜して一つの方向に突き進み、そして大きな失敗を犯すことをくりかえしてきました。しかも必ず少しだけ先にいる。だから他国にとってこの国の失敗は、意味ある反面教師となる。それがこの国に与えられた役割かもしれないと時おり思います。

早口日本近現代史(^_^;)

「人間原理については以前に本で読んだ記憶があります」
梨恵子が言った。「ドーキンスだったと思います。」
「リチャード・ドーキンスですか。それはすばらしい。ただし彼はこれこそが一種の信仰ではないかとおもいたくなるほどに徹底した無神論者です。人間原理についても否定的な記述しかしていない。なぜなら人間原理は、この宇宙はある意図を持って形成されたとの仮説に繋がります。これをインテリジェント・デザインといいます。つまり知性がこの世界を創造したとのかんがえです」
「……つまり神ということですね」
梨恵子が言った。いえいえというようにヨシモトは首を横に振る。
「神とはいいません。意図です。あるいは意思。こうしたいとの方向付けです」


人間原理。聞いたことはあるが中身は知らずにいた。Wikipedia見た限りでは胡散臭そう。

かつてテレビは斜陽産業と言われていた。特にネットが広まり始めた21世紀初頭、若年層を中心にテレビ離れが急激に進行した。でもその後にタナトスが現れて蔓延する過程と並行して、テレビはその地位を取り戻した。受像機の主流はパソコンに移ったけれど、人々はテレビなしではいられなくなった。ただし娯楽番組がほとんどだ。いわゆるスタジオバラエティやグルメ番組。ただ笑うだけ。ただ消費するだけ。後にはなにも残らない。なにも深まらない。スポーツや芸能を別にして、報道と教養番組は、地上波テレビからほぼ消えた。

ややステレオタイプの現在のメディアへの批判。

「歴史家だとなぜ気づくことができたのですか」
梨恵子が訊いた。「ポル・ポトは原始共産制を理想にしていました」とソニーは言う。
「差別のない完全に平等な社会です。そのために学校や会社を閉鎖しました。貧富の差をなくすために貨幣経済も否定しました。そして都市に住む多くの人を地方へと強制的に移住させて農業に従事させました。ポル・ポトは毛沢東を尊敬していました。でもこの少し前に中国で文化大革命があって、やっぱり多くの人が殺されました。その犠牲者の数は何千万人とも言われています。父はそれを知っていました。だから気づいたのだと思います。文化大革命だけではありません。ナチスドイツのホロコーストもあります。その少し前にはアルメニアの虐殺もありました。クメール・ルージュの時代の少し前には、インドネシアで共産党員が百万人以上殺害されたと言われています。これはクメール・ルージュ時代のあとですが、ルワンダでもたった三ヶ月のあいだに百万人近い国民が同じ国民に殺されています。ボスニアヘルツェゴビナで紛争が起きたときは、スレプレニツァで虐殺が起きました。歴史をしっかりと知れば、そんんな状況が特に珍しくないことはすぐにわかります。時として人は人を殺します。理不尽に。大量に。意味もなく。」
「虐殺はカンボジアやドイツだけで起きたわけではありません。世界中で起きています。カンボジア人もドイツ人も中国人もインドネシア人もルワンダ人も、その端的な例を示しただけなのです。だからこそ過ちを検証して展示する。すべてが終わってから百万人が虐殺されたと言ったり書いたりすることは簡単だけど、一人ひとりの命がどのように蹂躙され、迫害され、消去されたかを、私たちは知らなければならない。その苦しみや痛みを、想像しなくてはならない。虐殺の被害者だけではなく、加害者についても同様です。なぜこんなことが起きたのか。なぜこれほど残虐な行為に耽ることができたのか。そのときに何を思っていたのか。あるいは思っていなかったのか。加害者の気持ちはなかなかわからない。わかりたくない。でも被害者も加害者もわたしたちの隣人です。私たち自身です。そのときの気持ちが明確にわからなくても、知ることは大切です。知って考える。見て思う。答えは出ないかもしれない。でも考えることが重要です。人は変わります。どのような存在にもなります。アメリカ人も日本人もカンボジア人もドイツ人も中国人も同じです」


歴史から学ぶためにもこれらの悲惨な事実を広く知ることが必要である。しかしほとんど知らされてこなかった。Morris.もその状況に甘んじていた。

日本人は礼儀正しいのよ。マドンナが授業中に言っていたことを思い出した。本当ならもっとパニックになっていいはずの状況になっても、決して冷静さを失わない。それは確かに美徳。今だって世界は賞賛しているわ。国と民族が消える瀬戸際なのに、とても倫理的で礼節を失わない。でもそれは倫理や道徳とは違うのよね。集団に馴染みやすいのよ。その結果としてかどうかわからないけれど、私たちはとても忘れっぽい。適応する力がとても強いとの見方もできるけれど、現実から目をそむける傾向が強いのだと指摘する人もいるわ。

これは実に的確な自己批判だと思う。現実逃避はMorris.の得意技でもあった。

「アポトーシスはギリシャ語で枯葉が落ちるという意味です」
「枯葉が落ちる。それは樹木のために葉の細胞が自死するわけですな。つまり全体のために個が死ぬわけです」
「老化のメカニズムは、特にアポトーシスの意味は生体にとって大きい。私たち多細胞生物の身体の細胞は、ほぼ日常的に癌化するリスクを抱えています。しかし日常的に発生する癌化した細胞の多くは、アポトーシスによって除去されています。ところが時おり癌細胞をとりこぼす。つまりアポトーシスが追いつかない場合がある。癌化した細胞は條件さえ整えば無限に増殖する。こうして生体がダメージを受ける。あるいは存続できなくなる。わかりますか。発生の段階だけではなく、日々の営みを維持するうえでも、アポトーシスはとても重要な機能です」
「その癌細胞は私たちのことですか」
「いえいえ。これはアポトーシスの話です」
「喩えに聞こえます。癌化しかけたからこそ、あわてて大規模なアポトーシスが発動したと解釈したくなる」


かなりのブラックジョークである。

「死なない人はいない。みんな死ぬ。自分がいつ死ぬかは誰にもわからない。それはタナトスが始まる前から同じ」
「楽しいことばかりに反応しないでね。積み重ねるのよ。たしなみを持つこと。人を愛して愛されること。誰かを恨まないこと。感謝の気持ちを忘れないこと」
「当たり前のことばかりだ」
チャンキは言った。標語にしてトイレの壁に貼りたいくらいだ。そうつづけようとしたとき、
「そうよ。当たり前のことばかり」と梨恵子は言った。「それを持続すること。そしてこの先に何が起きても……」
梨恵子は黙り込む。何かを考えている。言葉を探しているのだろうか。その表情を見たい。キスをしたい。ひとつになりたい。
でも抱きしめる梨恵子の身体は氷のように冷たい。すぐ近くでカラスが啼いた。あのカラスだろうか。やがて梨恵子は静かに言った。
「世界を否定しないこと」

やや唐突な結論であり、実効性に欠けるのではないかと思ってしまった。
しかし、この小説は、昨日紹介した、伊藤計劃の「ハーモニー」にかなり影響を受けているのではないかと思う。

2016/11/10(木)●産経スタイル?
8時起床。
今朝の血圧は201/79/74。
昼前JRで神戸駅に出て中央図書館へ。もちろんその前に猫場宇治川小公園でくつろぐ。もう猫おばさんの食事タイムは終わってて、5匹の猫が金網裏や茂みの中でくつろいでいた。
図書館で雑誌新聞閲覧。トランプ関連ニュースを見たかったのだが、産経新聞しか残ってなかったので、しかたなくこれを見る。
一面は当然トランプ関連ニュースだが、東京本社編集局長乾正人署名入りのコラムにはちょっと呆れてしまった。「トランプでいいじゃないか」と開き直り、

いよいよ米軍が撤退する、なれば、自衛隊の装備を大増強すればいい。その際は自前の空母保有も選択肢となり、内需拡大も期待できる。……トランプ氏が"容認"する日本の核兵器保持は、唯一の被爆国という国民感情が強く、現実的ではないが、中国をにらんだ外交カードとしては有効だ。
TPPも米穀抜きで発効させる方策を真剣に検討していい。
日本も米国に軍事でも経済でも過度に依存しない「偉大な国」を目指せばいいだけの話である。


産経新聞まともに見るのは本当に久しぶりだったが、何じゃこれは(@_@)である。文章もかなりひどいが、その主張はさらにひどい。産流新聞だから何を言ってもいいというもんではなかろう。噂はかねがね聞いてはいたが、ここまで来てるとはね。
色々書架散策して、立ち読みもして、7時前に図書館出て8時過ぎ帰宅。
何でか野球やってる。3月の世界野球のための親善試合らしい。相手はメキシコ。4回まで日本は無安打で、四球押しだしで1-0でリードというなんか情けない試合。その後も見どころのない試合で代打に出た大谷も三振。中継も途中で中断。結果的には3-7かで負けてしまったらしい。どうも小久保監督というのは、韓国戦で大谷を降板させて負けたイメージがまとわりつく。交代したほうがいいと思う。まあ、世界野球自体、大して意味ないと思うので、どうでもいいか。
今日の歩数は2988歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  억울하다(オグラダ 悔しい)억울(オグル 抑鬱=無念)。
韓国ドラマでよく使われてた。自分の罪や過ちではないのに責められたときなどに使う。理不尽な仕打ちへの怒りみたいなものかな。
억울한 건 못 참아(オグラハンゴンモッチャマ  悔しくてたまらない )


隣の螺旋階段補修工事 

犬鬼灯 

JR灘駅ホームから 

宇治川小公園猫 #1 

#2、#3 

#4 

#5 

市営住宅猫白黒 

小蜉蝣 

【ハーモニー】伊藤計劃 ★★★★
2010/12/15 ハヤカワ文庫 2008年12月単行本発行
34歳で早世した伊藤計劃の二つ目の、そして最後の長編である。デビュー長編「虐殺器官」が印象的だったので、是非読みたいと思っていた。

『ハーモニー』の舞台は、一言でいうならば「誰も病気で死ぬことがない世界」である。ひとびとはある年齢になると自分の体にWatchMeというソフトウェアを入れ、体内の恒常性を常時監視する。WatchMeはメディケア=ネーション、その個々の「政府(ガバメント)」の代わりに、この時代には世界は「生府(ヴァイガメント)」によって統治されている。「生府」が唯一最大の是とするのは「生命主義(生命至上主義)」、すなわち社会の成員全員が、自分の/他人の健康を最大限に尊重することである。「生府」は、WatchMeとメディケアによって、この地球に一種のユートピアを実現しつつある……。三人の少女が登場する。霧慧トァン、御冷ミァハ、零下堂キアン。物語の始まりにおいて、まだWatchMeをカラダに入れる前の年齢である彼女たちは、怜悧な頭脳を持ちながら現今の社会のありように強固な疑念を抱くミァハの主導により、自死を試みる……少女たちのもくろみはミァハ以外の2人はあえなく失敗する。それから更に13年後、霧慧トァンは、WHOの螺旋観察事務局の上級監察官となっている。ある日世界中で同日同時刻に6582人もの人が同時に自殺するという大事件が起こる。零下堂キアンもトァンの目の前で自殺する。事件の背後に、すでにこの世にはいない筈の御冷ミァハの影が見え隠れし始める……。(佐々木敦の「解説」から一部リライト(^_^;))

<大災禍(ザ・メイルストロム)>の真っ最中、アメリカのならず者から核を買い入れ、ここに景気よく落とした北アフリカ諸国共同体も、いまは多くの国家と同様、学ぶべき歴史の一幕でしかない。すべての独立戦争が「テロリズム」という語でひとくくりにされていた時代の、ほんの一幕だ。

独立のための運動は、支配者側、体制側から見れば反乱、紊乱、戦闘行為は「テロリズム」とレッテルを貼られる。その逆の攻撃、空爆は鎮圧行為として正当化される。

わたしたちは皆、世界に自分を人質として晒しているんだね。
そんな風に答えたらミァハがにっこりと笑う。そうだよトァン、そのとおり。わたしはミァハの期待に応えられたような気がして、少しばかり心が宙に浮き上がった。そうなんだよ。トァンの言うとおり。わたしたちは互いに互いのこと、自分自身の詳細な情報を知らせることで、下手なことができなくなるようにしてるんだ。この社会はね、自分自身を自分以外の全員に人質として差し出すことで、安定と平和と慎み深さを保っているんだよ。


「抑止力」という言葉の気持ち悪さを思い出した。

人間は成長する。人間は老いる。人間は病気にかかる。人間は死ぬ。自然には本来、善も悪もないんだ。すべてが変化するから。すべてがいつかは滅び去るから。それがいままで「善」がこの世界を覆い尽くすのを食い止めてきた。善の力で人間が傲慢になるのをぎりぎりのところで防いできた。けれど、いまやWatchMeと医療分子のおかげで、病気や通常の老いは駆逐されつつある。「健康」って価値観がすべてを蹂躙しようとしている。それってどういうことだと思う? この世界が「善」に覆い尽くされることなんだよ。
これほど、人間が生きるということそのものを人質に取った善は、これまでにはひとつだってなかった。
民主主義以降、人々を律するものは、王様みたいに上から抑えつけるんじゃなくて、人々のなかに移っていった。みんなが自分で自分を律することになっていったんだよ。
みんなひとりひとりのなかにあるものが敵だった場合、わたしたちはどうすればいいの。
いまの生命主義っていうのは、その極限で、同時に成れの果てでもあるんだ。


健康至上主義。健康のためなら死んでもいい、ってか(^_^;)

これほど人が、自らの内にある規則にがんじがらめになった時代ははじめてです。これほど明文化されていない決まりが増えたのは人類史上初めてです。
誰も本音を言うことができません。わたしたちはひとりひとりが社会にとって重要なリソースだという教育を、子供の頃から受けています。この身体は自分ひとりのものでなく、社会みんなの財産なのだ、公共的身体なのだ、と言われます。


ここらあたりはオーウエルの系譜。

「ひとりは皆のために、皆はひとりのために」(アレクサンドル・デュマ「三銃士」)

生協のキャッチフレーズのルーツが「三銃士」にあったとは(@_@)

「人間の意志というのは、様々な報酬系が競うまさにその状態全部を指す。それは双曲線割引という一種不合理な指向性に基づいて生成される。しかし重要なのは、これら報酬系の相互干渉が、フィードバックを伴う再帰的構造を取るということだ。選択の結果によって、報酬系は絶えざる変化と修正に晒されている。結果が報酬系に影響を与え、報酬系が結果をもたらすループを描いているんだ。だから、選択時における少しのずれがどんどん増幅され、そのカオスは周期的に倍加していく。人間の意志が安定せず、合理的でなく、予測がつきにくいこともある理由はそれだ。わかるかね」

わかりかねる(^_^;) のだが、こういったいかにも学術論文的ペダントリーは嫌いじゃない。

「我々は調和のとれた意志を人間の脳に設定することを目的とし、その技術とシステムを『ハーモニー・プログラム』と呼んだ。我々がミァハのような子供に施した一連の実験は、ハーモニーの限界検証試験だったんだ」

これがタイトルの因って来たるところだろう。ちなみにハルモニは韓国語で「婆さん」。

「権力が掌握してるのは、いまや生きることそのもの。そして生きることが引き起こすその展開全部。死っていうのはその権力の限界で、そんな権力から逃れることができる瞬間。死は存在のもっとも秘密の点。もっともプライベートな点」
「誰かの言葉、それ」
「ミシェル・フーコー」


いいね、ペダントリ-止め。

進化は継ぎ接ぎだ。
ある状況下において必要だった形質も、喉元過ぎれば不要になる。その場その場で必要になった遺伝子の集合。人間のゲノムは場当たりの継ぎ接ぎで出来ている。進化なんて前向きな語は間違ったイメージを人々に与えやすい。人間は、いやすべての生き物は膨大なその場しのぎの集合体なのだ。
だとしたら。我々人類が獲得した意識なるこの奇妙な形質を、とりたてて有り難がり、神棚に祀る必要がどこにあろう。倫理は、神聖さは、すべて状況への適応として脳が獲得したに過ぎない継ぎ接ぎの一部だ。悲しみも、喜びも、すべて「ある環境で」においてのみ、生きるために必要だったから、生存に寄与したから存在しているだけだ。喜びという感情がどういう環境で必要だったのかは判らない。悲しみという、そうしたそれぞれの想いがいかなる環境で必要だったのかはわからない。


原理主義的進化論。

かつて人類には、わたしがわたしであるという思い込みが必要だった。
かつては宗教が、わたしがわたしであることを保証していたのだろう。すべては神が用意されたものなのだから、人間がそれに口を差し挟む必要はない。けれど、宗教のそのような機能は今日では完全に失われてしまった。喜怒哀楽、脳で起こるすべての現象が、その時々で人類が置かれた環境において、生存上有利になる特性だったから付加されてきた「だけだ」ということになれば、多くの倫理はその絶対的な根拠を失う。絶対的であることを止めた倫理-相対的な倫理-は脆い。歴史がそれを証明している。

そこで汎神論≒無神論(宗教的アナーキズム)の復活というのはどうだろう?

「幾つかの生府のWatchMe制御系には、バックドアが開けてある。わたしたちのためにね。それを使ってたくさんの人々の死への欲動(タナトス)に対し、双曲線的に高い価値評価を生成してやるのは簡単だった」

ヴァーチャル・リアリズム的天国ツアーへの招待である。

「あなたは思ったのね。この世界に人々がなじめず死んでいくのなら--」
「そ、人間であることをやめたほうがいい。というより、意識であることをやめたほうがいい。自然が生み出した継ぎ接ぎの機能に過ぎない意識であることを、この身体の隅々まで徹底して駆逐して、骨の髄まで社会的な存在に変化したほうがいい。わたしがわたしであることを捨てたほうがいい。『わたし』とか意識とか環境がその場しのぎで人類に与えた機能は削除したほうがいい。そうすれば、ハーモニーを目指したこの社会に、本物のハーモニーが訪れる」


この作品が著者の最晩年のものと思うと、やはり何か暗合めいたものを感じてしまう。


2016/11/09(水)●まさかのトランプ勝利
8時起床。
今朝の血圧は169/74/92。
宿酔い気味。
佐賀県の玄海原発の安全基準合格のニュースなどあって、やや気分わるくなる。その後のニュース番組はほとんどがアメリカ大統領選挙中継。まあ、クリントンで決まりだろうとおもってたのに、昼くらい(日本時間)から、だんだんトランプ優勢になり、何とトランプが次期大統領の座を獲得してしまった(>_<) たしかにヒラリーもかなり嫌味なキャラだったけど、トランプはそれ以前のレベルに思えた。この結果を受けて、日本の政権筋からは「意外と安倍首相とトランプさんは気が合うかも」などとの声が(@_@)
宿酔いでも、ずっと他所の国の選挙中継見てたわけではなくて、いちおう、韓国日記後編の編集やってたのだ。とりあえず後編アップできた。帰国してからほぼ一ヶ月かかってしまったことになる。Facebookやブログでリアルタイムでアップするのが普通になった今日このごろでは、時代遅れだろうし、今さら読み直したいと思う人が何人居るかわからないが、結局はMorris.自身が旅の思いでを反芻するための作業だったのだと思う。ある意味、これで旅が終わったことになるのかもしれない。
今日の歩数は0歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  설마가 사람을 잡는다(ソルマガサラムルチャムヌンダ 油断大敵) 설마(ソルマ まさか)(ガ が) 사람을(サラムル 人を) 잡는다(チャムヌンダ 殺す)。ことわざとしてなかなか良くできている。
今回のアメリカ大統領選の結果を見るに、설마가 나라를 잡는다(ソルマガナラルルチャムヌンダ まさかが国を滅ぼす)ことにならない事を祈りたい。

【読書は格闘技】瀧本哲史 ★★★☆ 2016/04/30 集英社 初出「小説すばる」2014-2016
瀧本哲史 京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルティング業に従事したのち独立。著書に「武器としての決断思考」「僕は君たちに武器を配りたい」「戦略がすべて」など

「読書は、他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく」ショーペンハウエル
あるテーマについて、全く異なるアプローチの本を二冊紹介し、それを批判的に比較検討するという形態で話を進めていこうというものだ。(イントロダクション)


初めて読む著者だが著書のタイトルに「武器」や「戦略」、「格闘技」などという単語を使うのは良い趣味とは思えないが、本書はけっこう刺激的だった。

人生の中で、ただ一つ殆どどのような時にでも役に立つ最強の武器があるとしたら、それは何だろうか。私は、それは「他者を味方につける方法」だと思う。

この一文見ただけで著者の立ち位置がわかる。

「天国へ行くのに最もう有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」マキアヴェリ

本書のあちこちにとりあげた本からの引用があり、つい孫引きしたくなるものも多かった。

書店には、成功した人物が書いた、多くの読者を対象にしたやや自慢話風の「天国のような話」が今日も並んでいる。しかし、本当に天国に行く方法を知りたいのであれば、地獄を見た人達の明日の生活をかけた、いわば、血と汗で書かれた書籍を読むべきなのではないだろうか。

それをこういったふうにアレンジするというのが著者のやりかたのようだ。

「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン )の主張はきわめてシンプルである。「インターネットを通じて、世界中の市場が一つに繋がり、先進国も新興国も同じ土俵で競争するようになると、社会の運営の仕方、個人の生き方を見直す必要があるだろう」というものである。
もちろん、「フラット化する世界」が成り立つ前提には、「英語」という共通基盤の存在が無視できない。そうすると逆に、日本語コミュニティ内の「フラット化する日本」という問題の立て方もできるだろう。


グローバリゼーションにおける「英語」の不可欠さを逆手に取るという発想は面白い。

雑誌には鉄板のテーマというものがある。雑誌の特集テーマを決めるのは編集長の最も重要な仕事だが、これならある程度の反響が期待できるというテーマがある。例えばそれは、女性誌における恋愛特集であったり、ボーナス時期前のマネー特集などである。そして、ビジネス誌の鉄板テーマとなると「時間管理術」ということになる。

こういった筆法も特徴的だが、そこで他人の言葉を引用するあたり。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」アラン・ケイ

オーウエルの「1984」をとりあげた章(ラウンド)では、ストーリー紹介があり、このまとめ方などはなかなか手慣れたものである。

1950年代に核戦争が勃発したこの世界は1984年現在、オセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの大国に分割統治されている。
主人公のウィンストン・スミスはオセアニア国ロンドンの「真理省」という政府機関で働いている。この「真理省」の仕事は、いわゆる真理を追求するものではなく、過去の歴史を政府の都合の良いように改ざんするという何ともひにくなものだ。オセアニア国では、完全な管理国家が完成しており、日常生活は「テレスクリーン」という双方向テレビで監視され、思想、言語、食料から結婚にいたるまで全てが国家によって管理されている。三ヶ国の間では常に小競り合い的な戦争が続いているので、この戦争に打ち勝つために、こうした国家統制は正当化されている。そもそも、三ヶ国の争いのなかで、オセアニア国はミサイル攻撃を受けているが、何とか生き残っているという「事実」すらテレスクリーン経由の情報であるから、どこまで本当なのかは究極的にはわからない……(「1984年」オーウェルの要約の一部)


フランシス・ベーコンというと、一番有名な格言は、「知は力なり」であり、また、観察から一般論を見いだす方法論である。経験主義、帰納法の元祖としても知られている。

「知は力なり」の出所がベーコンというのは知らずにいた。何となくギリシャ哲学あたりからきたものと思ってたのだ。

科学の究極の姿というのはどのようなものであろうか。それは突き詰めていけば、神が行ったとされることを人間ができるようになるということなのではないかと私は考えている。

考えるのは勝手だが、Morris.はそうでないと思う。

現代は、「正義」にとって、受難の時代と言えるだろう。というのも、全ての人が受け入れ、その実現のために皆がまとまるといった正義は見いだしがたいからだ。むしろ「正義」は考え方が違う人々が自らの信じる「正義」を振りかざし合った結果、争いが生じ、それが行き着く先はテロ、戦争であるという文脈で語られる。価値観が多様化している現代において、「正義」を積極的に口にする者は他の価値観を認めない原理主義者のなかに多くみられるため、結果的に「正義」は「風評被害」にあっている。

「正義」とか「真理」とかは使う人によって全く違ったものになる。「正義が風評被害にあっている」というのもどこか違うのではなかろうか。福島原発事故に関連してよく使われる「風評被害」ということばには、何か胡散臭さを感じている。

そもそも、所得再分配を行うのは現代的な国家の役割であると説明されるが、これ自体「現代的国家」の定義に結論が含まれているある種の同義反復である。なぜなら、突き詰めると国家の存在自体あまり理由はなく、ただ、憲法がそこにあるから国家があるに過ぎないのである。国家の存在理由の説明として、社会契約論というものがある。これは国民がある時点で国家建設を行う契約をしたという理論だが、歴史的事実として、そうした契約を行ったと言える国家はきわめて少ない。結局我々が空気のように受け入れている国家、そして、それが実現しているはずの正義、所得再分配といったものは、ただ存在しているだけで、その理論的根拠は曖昧なものだ。

著者はディベートに関心があり、実践もしているらしい。上のような曖昧理論で人を煙に巻いたり、揚げ足とったりするのが得意なのだろう。

ゲーム理論では、完全に状況が不確実なときにとるべき最も合理的な行動は、最悪のシナリオになったときでも自分の取り分がその中では最大になるという意思決定を行うべきだと教える。これを「マキシミン原理」と呼ぶ。

「最小国家」以外、国家として存在を正当化できず、また、この「最小国家」は各人が自己の選択に従って自由に生きることができるという点で、究極の「ユートピア」だと主張する。一般にこうした自由意志を最優先させる思想をリバタリアニズム(リベラルと混同しかねないがむしろ相容れない思想である)といい、ノージックはその草分けと考えられている。無政府状態(アナーキー)から出発して国家が生まれ、それがユートピアであるということから、「アナーキー・国家・ユートピア」というタイトルになっているのだ。

ゲーム理論とかオバタリアンをこうやってわかりやすく定義してあるのはありがたい。

「思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」魯迅「故郷」


これって高村光太郎の「道程」と同工異曲ではないか。「道程」は1914年2月9日の日付があり、魯迅の「故郷」は1921年雑誌「新青年」(中華民国の)に発表されたもの。「故郷」は日本の中学三年生の教科書(5社すべて)に採用(竹内好訳)されているらしい。著者は魯迅のこの文章が好きでたまらないと書いてあるが、陳腐にしか思えないMorris.は鈍感なのだろうか。
読書を格闘技的に読むというやり方は、Morris.向きではないということがわかった一冊だった。


2016/11/08(火)●サランバン会
7時起床。
今朝の血圧は178/77/80。
未明に博多駅前の道路がかなり大規模に陥没したというニュース。地下鉄工事に伴うものらしい。直前に通行止めしたため、怪我人は出ていないというのが不幸中の幸いである。
昼前から雨降りだした。
4時前に部屋を出て鶴橋へ。雨が小降りになったので、公園でミニギター、と思ったところで、歌麿会長から電話があり、「宮廷」へ。会長とギョンヒさん、あとから榎本さんも。チョギ(石首魚)とコムタン(テールスープ)いただく。
会長の話によると洪ママは数日前一時意識が朦朧となり、食事もできない状態になり、その後意識はもどったものの、昨日から今里の病院に入院しているらしい。
サランバン会会場「ジュン)に向かう途中、「チャジヒョン猪飼野写真展」のポスター。2003年に出された彼の写真集は実に貴重なもので、一度オリジナルプリントを見たいと思っていただけに、嬉しいと思ったのだが、実はチャジヒョン氏は今年の4月に亡くなっていて、追悼写真展ということになるらしい。なおさら、これは足を運ばねば。
11月22日(火)-27日(日) 10:00-20:00 市立御幸森小学校多目的教室。である。
ジュンには高森さんしかきていなかった。丸本夫婦はソウルに行ってるとのこと。後から大宮さんと加納さん、増田さんらが参加したものの、みんな早めに帰っていったので、9時過ぎに残ったのは3人だけ。これだけ少ないのは初めてかもしれない。このさいチャンユンジョンナンバーを10曲ほど連続して入れる。こんな時しかできない暴挙である(^_^;)
10時半店を出て11時半帰宅。
今日の歩数は3590歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  날개 돋친 듯이 팔린다(ナルゲトチンドゥシパルリンダ 飛ぶように売れる)날개(ナルゲ 羽) 돋친 듯이(トチンドゥシ 生えたように) 팔린다(パルリンダ 売れる)。
불티나게 팔리다(プルティナゲパルリダ 火の粉が飛び散るように売れる)ともいう。


博多駅前で道路陥没!! 

ご自由にお持ち帰りください 

「クンジョン 宮廷」のコリコムタン 

チョジヒョン写真展 

サランバン会 

榎本&みさと 

高森さんと 

歌麿会長 

記録的少人数開催(^_^;) 

2016/11/07(月)●立冬
8時起床。
今朝の血圧は133/62/79。
今日は立冬である。
昨日はデジカメ画像が多すぎて、整理に時間がかかった。それもあって、今日はなかなか外に出る機会を失って、やっと4時過ぎに自転車で大安亭まで買い物に行っただけ。
それにしても野菜の高値は続いている。
安売りのはずの青物店で、キャベツ一個500円というのを見ると、ため息が出る。
お好み焼き屋なども大変だろうな。
今日は猫も二匹だけしかいなかった。
5時帰宅。歌麿会長から電話で、洪ママが数日前から容態が悪くなって病院に行くことになるかもしれないから、明日の見舞いはパスということになった。先月は韓国旅行のため見舞いに行けなかったから明日は、2ヶ月ぶりのお見舞いと思ってたのだが、ちょっと心配である。
韓国大統領の民間人との癒着問題は収まるどころか退陣要求の声が高まるばかり。アメリカの大統領選挙も明後日に迫って接戦を繰り広げているが、どちらが勝っても喜べない候補者同士という、よそ事ながら大丈夫か?と思ってしまう。
昨夜のNHKの福島原発廃炉の費用の増大と税金負担の特集は珍しくまっとうなものだった。担当者の発言場面で個人名を出さないとか不満もあったが、オリンピック誘致の際の安倍首相の大嘘発言場面のビデオを放映するなど、ちょっとだけNHKを見直したりもした。廃炉の予定年数は最低でも40年、費用も2兆円、3兆円というのが今や10兆円でも危ういというとんでもない額になりそうだし、その負担は結局税金になるという、政府と東電の馴れ合いが一目瞭然だった。こういった事実を知りながら(知ってるからこそ??)、原発再稼働を推し進めるというのは、常軌を逸している。
今夜のKBS歌謡舞台1489回は- 원곡의 발견 原曲の発見-The 3rd storyというちょっとわかりにくい特集企画。プログラム見ただけではいまいち理解しがたい(^_^;)

1) 진정 몰랐네ほんとに知らなかった(김상희キムサンヒ)/임희숙イムヒスク <진정 난 몰랐네>의 원곡 김상희キムサンヒ
2) 순자의 가을スンジャの秋(심수봉シムスボン)/방미パンミ <올 가을엔 사랑할거야今度の秋には恋しよう>의 원곡 안다미アンダミ
3) 왕십리往十里(김남화キムナムファ/김재희キムジェヒ)/김흥국 <59년 왕십리59年往十里>의 원곡 김재희キムジェヒ
4) 살랑살랑サルランサルラン(김란영キムランヨン)/서주경ソジュギョン <쓰러집니다倒れます>의 원곡 김란영キムランヨン
5) 자옥이チャオギ(이태호イテホ)/박상철パクサンチョル <자옥아チャオガ>의 원곡 박구윤パククユン
6) 당신의 눈 속에あなたの目の中に(애플시스터즈アップルシスターズ)/조용필チョ・ヨンピル <돌아오지 않는 강帰らざる河>의 원곡 문희옥ムンヒオク 안다미アンダミ
7) 왔다가 그냥 갑니다来てまた行く(윤중식ユンジュンシク)/최병걸チェビョンコル <왔다가 그냥 갑니다来てまた行く>의 원곡 윤중식ユンジュンシク
8) 미워도 내 사랑은憎けれど我が愛は(노두옥ノドゥオク)/ 최진희チェジニ <여정余情>의 원곡 노두옥ノドゥオク
9) 미움인지 그리움인지恨みか懐かしみか(나미ナミ)/최유나チェユナ <미움인지 그리움인지>의 원곡 박혜신パクヘジン
10) 찻집의 고독茶店の孤独(유지나ユジナ)/나훈아ナフナ <찻집의 고독>의 원곡 김연자キムヨンジャ
11) 줄리아ジュリア(이용복イヨンボク)/강태웅カンテウン <줄리아>의 리메이크곡 이용복イヨンボク
12) 어부의 노래漁師の歌(박양숙パクヤンスク)/남석훈ナムソクフン <황혼빛 오막살이>의 리메이크곡 류원정リュウォンジョン
13) 찬비冷たい雨(윤정하ユンジョンハ)/하수영ハスヨン <찬비>의 리메이크곡 김희진キムフィジン
14) 사랑의 거리愛の街(문희옥ムンヒオク)/정재은チョンジェウン <사랑의 거리>의 리메이크곡 문희옥ムンヒオク
15) 감나무골柿の木街(나훈아ナフナ)/황금심ファンクムシム <행화촌 금실이ヘンファ村の金絲>의 리메이크곡 이환호イファンホ
16) 십오야シボヤ(들고양이들野良猫)/김상희キムサンヒ <삼오야 밝은 달サモヤ明るい月>의 리메이크곡 김연자キムヨンジャ


2.パンミの「オヌカウレサランハルコヤ」はMorris.の愛唱曲でもあるのだが、これの原曲がシムスボン(作詞作曲も)というのは、驚きだった。今日の番組聴いた限りでは、歌詞も曲もそのままだった。シムスボンは朴正煕大統領暗殺現場に同席していたことから、一時活動停止状態に追い込まれていたから、それに関連してるのかもしれない。
企画タイトルのあとにThe 3rd storyとあるのは、原曲を主題にした企画dの第3回目ということだった。第4回目があるなら、是非チャンユンジョンの「初恋」の原曲であるキムヘヨンの「分からないあなた」を取り上げてもらいたい。
今日の歩数は1013歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  한 입 가지고 두말하다(ハンニプカジゴトゥマラダ 二枚舌を使う) (ハン 一つ) (イプ 口) 가지고(カジゴ 持って) 두말하다(二つの言葉を言う)。
となると、第2次大戦時のアラブに対するイギリス外交などは、한 입 가지고 말하다(ハンイプカジゴセマラダ 三枚舌)ということになるだろう。


? 

大安亭のフワ 

大安亭の白雉 

【新潮文庫 20世紀の百冊】関川夏央 ★★★ 2009/04/20 新潮新書
20世紀最後の年に新潮社が1年1冊を割り当てて「20世紀の100冊」の文庫を選定してセールスを行い、関川がその全てに書いた読書案内文をまとめたもの。各年の出来事一覧と、作品内容解説を合わせて見開きに収めてある。Morris.は枕頭の書である「情報の歴史」年表を参照しながら、2000年から後ろ向きに読んで行った。

1980年代まで、「自主・自立・自衛」という標語とともに北朝鮮の人気は、日本であr程度高かった。それが90年代からは不可解で不気味な国と印象され、やがて異常な国、狂暴な国、理由不分明な飢餓に苦しむ国とみなされるに至った。
しかし、北朝鮮は建国以来何もかわらないのである。かわったのは日本社会なのである。「よく知りもしない外国に日本の理想を託す」という「戦後的感性」の悪癖は、北朝鮮の原理と実情の解明を長く怠ったからこそ維持された。いかにもうかつ、いかにも不用意な時代の空気であった。(「「よど号」亡命者たちの秘密工作」高沢皓司 1998)


北朝鮮に関する名著「退屈な迷宮」の著者らしい一刀両断ぶりである(^^;) 帰国事業当時の日本の新聞の論調を思い出す。わからないものをわかったふり(それこそ誤解の典型)する悪癖は日本人の宿痾かもしれない。

国家とは何か、独立とは何か、その実証の緻密さだけでも法学部のテキストに使われて妥当な『吉里吉里人』だが、実はそれにとどまらず、農政と農業の懸隔、東北地方と吉里吉里語(日本語東北方言)の歴史的地位、エネルギー政策からエコロジーまで、現代日本のありとあらゆる課題そのものを主人公とした「全体小説」だった。(「吉里吉里人」井上ひさし1981)

確かに吉里吉里人はパワーがあった。井上ひさしの饒舌が懐かしい。

ヘミングウェイは世界の最強国となったアメリカを嫌ってパリに移り住み、「哲学的意味がある放蕩」に日を送ったが、それは結局アメリカ式消費主義の実践にすぎなかった。彼はあくまでもアメリカ人であり、アメリカ人の作家であった。(「日はまた昇る」ヘミングウェイ1926)

ヘミングウェイの文体がハードボイルドの先達であるという説があるが、関川は本書の別の箇所(「精神分析入門」フロイド1916)で、精神分析の流行がハードボイルドを生み出したのではと言ってる。Morris.は心理学は敬遠したい。

先般、文庫解説を集めたハードか-2冊を出した関川。それらはなかなかに読み甲斐があったが、本書の案内文はあまりに短かく、物足りなかった。ただ、20世紀の百年間を短期間に遡行することが出来たのは良かったと思う。

2016/11/06(日)●大阪瓦斯ビル見学
7時起床。
今朝の血圧は168/71/74。
10時過ぎに部屋を出て、昨日、今日と二日間開催中の「生きた建築ミュージアムフェスティバル大坂016」を見るため大阪へ。
この催しは去年も出かけたので、大まかなところはだいたい見てるので今日は軽くながすことにして、去年見損なった大阪瓦斯ビルのガイドツアーをメインにすることにした。
とりあえず中之島図書館へ。ここは日曜休館だが、この催しのため一部開館。三階ではこの建物の設計者野口孫市の企画展が開かれていた。
公会堂、日銀大阪支店など流して、川ぞいでちょこっとミニギター。途中3弦が切れて、張り替え。この作業もだんだん慣れてきた(^_^;)
1時半に大阪瓦斯ビルに行ったら、2時からの分はもう定員オーバーで4時からのツアーの整理券もらう列に並ぶ。これも希望者が多くて、Morris.は4時からの二班目の整理券を貰う。
1時間半くらい待ち時間あるので、ランダムに伏見ビル、青山ビル、新井ビル、高麗橋野村ビルなど見学。4時前にガスビルに戻り、30人ほどでガイドツアーに。ガスビルは昭和8年竣工だが、これは今の南館で、昭和8年に竣工の北館に連結する形で現在の形になったことも初めて知った。普段は非公開の南館屋上見ることが出来たのが嬉しかった。ガイドツアー終了後に2004年刊行の「ガスビル食堂物語」という小冊子をお土産に貰う。これは10回にわたって発行されたリーフレットの集大成で実に興味深い一冊である。ラッキー(^_^)
そのあと大阪倶楽部、三井住友銀行大阪本店など見て、川べりのベンチでミニギター。もう暗いので久しぶりに譜面台ライト使用。雰囲気は良かったが流石に寒かった(>_<)ので、適当に切り上げる。
8時帰宅。
今日の歩数は9943歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  和製韓国語。日本も韓国も漢字を使うので、共通する漢字熟語は無数にあり、漢字の発音が共通するものはほとんどがそのままで通じる。ここでは、日本の固有語が韓国で使われている例を挙げる。ほんの一部だけど(^_^;)
가라오케 (カラオケ)
가방(カバン)
가타카나(カタカナ
노가다 (ノガダ 土方)
다꽝(タクァン たくわん)
단도리(タンドリ 段取り)
덴프라(テンプラ)
돈까스 ( トンカス トンカツ)
만땅(マンッタン 満タン)
무대포(ムデポ無鉄砲)
바리캉(パリカン)
쇼부(ショブ 勝負)
아나고(アナゴ)
에모지(エモジ 絵文字)
엔꼬 (エンッコ エンジン故障 )
오덕후(オドク オタク)
오뎅 (オデン)
와사비 (ワサビ)
요지(ヨジ 爪楊枝)
우동(ウドン)
이빠이(イッパイ いっぱい、たくさん)
짬뽕 (チャムポン チャンポン)
찌라시(チラシ チラシ(噂レベルの情報))
츤데레 (チュンデレ ツンデレ)
히라가나(ヒラガナ)


大江ビルヂング 

地下の理髪店 

赤い蘇鉄の実 

中之島 

中之島図書館 #1 

#2 中央階段 

#3 天井ドーム真下から 

#4 設計者野口孫市の建築術展 

#5 設計図 

日銀大阪 

中之島公会堂 

ブザー電球など 

「ヘクトルとアンドロマケ」キリコ 

「大空に」桑原巨守 

武田科学振興財団「杏雨書屋」 

伏見ビル#1 

#2 エントランス 

#3 階段 

#4 屋上から向いビル窓に映ったMorris. 

青山ビル #1 ステンドグラス

元理髪店 

#2 ステンドグラス 

#3 ステンドグラス 

#4 ステンドグラス 

#5 階段 

#6  

伏見ビル(手前)と青山ビル(奥) 

三井住友銀行大阪中央支店 

高麗橋野村ビルディング 

同じく 

取り壊し中 

タナカビル 

新井ビル屋上 


大阪証券取引所 

日本圧着端子製造株式会社 

三井住友銀行 

OPERA DOMAINE

浪速教会 

大阪ガスビル #1

#2 竣工当時の写真 

#3 おしゃれなベランダ 

#4 社員宮腰さんの案内で 

#5 エレベータ 

#6ガス ビル意匠の丸窓 

#7 レストラン 

#8 東郷青児 

#9 元バー 

#10 戦時中コールタールの痕 

#11 南館屋上 

#12 北館屋上 

#13 お土産に「ガスビル食堂物語」 

#14 ガス灯 

#15 ガス釜  

大阪ガスマンホール蓋 

北野家住宅 

大阪倶楽部 #1 

#2 ステンドグラス 

#3 

#4通用門 

三井住友銀行大阪本店 

銀行ライトアップ 

譜面台もライトアップ 

土佐堀川ライトアップ 


2016/11/05(土)●Morris.部屋18年
8時起床。
今朝の血圧は158/74/88。
朝の三点セット。
今日は「世界つなみの日」だと朝のニュースで盛んに言ってる。え? そんなの初めて聞いたぞ、と思ったら、去年国連で決められたもので、正式名称はWorld Tsunami Awareness Dayとか。「つなみ」はそのまま英語圏でも通用することは知ってたが、もともとは1854(安政元)年の安政南海地震の際、和歌山県広村の庄屋が収穫されたばかりの稲藁に火を付けて、暗闇の中で逃げ遅れていた人たちを高台に避難させた「稲むらの火」の逸話にちなむものらしい。
このMorris.部屋(Morris.in Wordland)は1998年11月5日開設だから、今日は開設18年の記念日ということになる。この日にしたのも、いちおうMorris.の誕生日ということにちなんでいる。したがって今日はMorris.の67回目の誕生日でもある(^_^;)
恒例の山田風太郎『人間臨終図巻』から67歳で死んだ人々を

・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)
・松永弾正(1510-1577)
・徳川吉宗(1684-1751)
・蕪村(1716-1783)
・アダム・スミス(1723-1790)
・ジョージ・ワシントン(1732-1799)
・川路聖謨(1801-1868)
・アレクサンドル・デュマ(1803-1870)
・福沢諭吉(1834-1901)
・ポール・セザンヌ(1839-1906)
・キュリー夫人(1867-1934)
・岡本綺堂(1872-1939)
・河上肇(1879-1946)
・寺内寿一(1878-1946)
・永野修身(1880-1947)
・安井曾太郎(1888-1955)
・橋本欣五郎(1890-1957)
・河野一郎(1898-1965)
・壺井栄(1900-1967)
・平林たい子(1905-1972)
・花森安治(1911-1978)
・イングリッド・バーグマン(1915-1982)
・インディラ・ガンジー(1917-1984)


この歳で死んだ人の章には次の言葉が掲げられていた。

死んで不倖せになった人を、ひとりでも見たことがあるかね? モンテーニュ

昼から南下してハーバーウォークなぎさ公園で、読書&ミニギター。以前も話しかけてきたおじさんが、今日も隣りに座って、しばらく聴いてた。日本の歌をやってほしそうだったが、今日は楽譜持ってきてなかったのでパス。
ダイエーで買い物して5時帰宅。
鹿嶋さんから盛岡上ノ橋イラストの絵葉書が来てて、唐草文様をあしらったおしゃれな切手が貼ってあった。ネットで調べたら今年8月に発行された「グリーティング切手(ライフ・伝統色)」の一枚らしい。10種類ワンセットで蛸唐草切手は「濃藍色」になっている。このシリーズは青系統らしく他に杜若色、藤色、瑠璃色、空色、露草色、茄子紺色、桔梗色、藍色、水色があって、それぞれの名前にちなんだデザインになっている。なかなか粋なシリーズだと思う。最近の記念切手はシール(そのまま貼れる)形式になっていて、便利だけど、Morris.は切手のミシン目がないと違和感があるので、シール切手は買わずにいたのだが、何とこのシリーズはちゃんとギザギザが付いてる。Morris.と同意見があったため、シールでもこのミシン目付きデザイン(疑似ミシン目)にしたようだ。これは大賛成。
今日の歩数は2150歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]  그네(クネ ぶらんこ)韓国のブランコはけっこう長い紐のものが多い。それだけ振れる時間もゆったりしているし、大きく振ればかなりの高さまで達する。朝鮮時代の説話(パンソリでも)「春香伝 チュニャンジョン」では、ヒロインが庭でブランコ遊びしてて、外を通るヒーローに見初められるエピソードが有名である。ブランコ乗りは그네뛰기(クネトゥィギ)。
ついでに、伝統遊びをいくつか。
널뛰기(ノルティギ 板跳び)シーソーに似ているが、中央支点部分が固定されていない板の両端に人が立ち、かわりばんこにジャンプする。相手の体重でジャンプが大きくなるのでかなり危険でもある。
팽이치기(ペンイチギ 独楽回し)これは日本のものと大差ない。
연날리기(ヨンナルリギ 凧揚げ)韓国の凧は中央に穴が開いている。旧暦1月15日や末日に厄払いのため、糸を切って遠くに飛ばす習慣もある。連凧や凧合わせも。


地面にとまった褄黒豹紋 

飛行船と月 

蛸唐草文様切手 


2016/11/04(金)●小公子コンプレックス(^_^;)
7時起床。
今朝の血圧は175/87/65。
ここのところやや低調だった小田嶋隆の「ア・ピース・オブ警句」今回も「レコ大の"どうでもいい"話」というタイトルからしてしょうもないものだったが、「報道の萎縮は、社会そのものが萎縮する前兆であり、報道が腐敗していることは、社会が腐敗しつつあることの現れ」という一文には、大いに共感を覚えた。萎縮して批判しにくい対象におもねるのではなく、他の無難な分野の報道で済ますという態度が鼻につく。Morris.が最近野球を始め、スポーツ応援に身が入らないのもこれが関係しているのだと思う。
昨日の夜から、講談社版の子供向け世界名作全集「小公子」(昭和25 千葉省三訳)を読む。最初に読んだのは小学4年の頃、やはり講談社の少年少女世界文学全集だったと思う。その後若松賤子訳も、原文でも読んだはず(^_^;)だ。いかにも作り物めいた、突っ込みどころ満載のこの作品をそれでも100回近く読んでしまうというのは、どこかMorris.の琴線に触れるものがあるのだろう。
昼から歩いて六甲道へ。灘区役所に寄って、灘図書館で新聞と漫画(「ふらり」谷口次郎)閲覧。やまやでカティサーク買うつもりだったが、ホワイトホース買ってしまう。こちらが100円安かったのだ。ホワイトホースはもともと好きだったのだが、安いものはずんぐりむっくりのボトルになっててこれが嫌だったのだ。今日買ったのはやすものなのに普通のボトルだった。六甲マーケットで山崎ビスケットのクラッカーまた買ってしまう。
照光寺のクロ猫、鼻先を怪我してて心配したが、今日見たかぎりではだいぶ良くなっていた。
水道筋で人参玉葱キャベツなど買って6時帰宅。それにしても野菜の異常な高騰がこれだけ長期間続くというのはこたえる。
引き出しの中から東京五輪の記念千円硬貨が出てきた。かなり汚れて傷んでもいる。漂白剤に浸してしばらく置いたら真っ黒になってしまった(>_<)。
朴槿恵の支持率5%まで落ち込んだとか(^_^;) 安倍首相の支持率ももう少し落ちますように。
今日の歩数は5349歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]   헛고생(ホッコセン、無駄骨) (空疎な、無駄な、中身の無い)、고생(コセン 苦労 ) 。헛고생을 하다(ホッコセングルハダ 骨折り損)
この「ホッ」はよく使われる接頭語である。
헛소문 (ホッソムン 根も葉もない噂、デマ ) 헛+소문(噂)
헛기침 (ホッキチム  空咳、咳払い) 헛+기침( 咳)
헛스윙(ホッスウィング 空振り) 헛+스윙(swing)
헛걸음(ホッコルム  無駄足) 헛+걸음(歩み)
헛웃음 (ホドゥスム 作り笑い、空笑い) 헛+웃음(笑み)


講談社版世界文学全集「小公子」 

浮草と目高 

? 

照光寺のクロ 

東京五輪銀貨 

今宵の月 

【外骨みたいに生きてみたい-反骨にして楽天なり-】砂古口早苗 ★★★☆☆
2007/03/15 現代書館
先日読んだ笠置シヅ子伝が面白かったので、これも読むことにした。笠置シヅ子も宮武外骨もMorris.が畏敬の念を抱いている存在である。

「人心騒乱の時には、一種の変態心理者があって、何等の根拠なき妄誕無稽の事を言い触らせて喜んだり、又何かの為めにする所があって、捏造虚構の事を吹聴したりするものであるが、今回の大変事に際しては、それが最も多く行われた、後の訓戒となるべき奇言珍説を続載する」とし、第一冊にはすでに
「井戸へ毒薬を投げ入れる 朝鮮人が井に毒薬を投げ込むというウソも盛んに行われ、市内各所へ注意すべしと貼紙した者もあり、浅草寺境内の井へ頗る美貌の朝鮮女が毒を投げ入れようとして捕われたなどのウソもあった」とある。
第六冊では「自警団員、在郷軍人等を誤らしめて置きながら、其罪のみを問わねばならぬ事に成ったのは、官僚軍閥の大失態であったと断言する」「此朝鮮人の狂暴という事は神奈川県警察部が本元らしいとの説がある、また陸軍大尉某の談として或人から著者への報告に『当時流言飛語盛んに行われ、これが取締をなすべき当局さえ狼狽した滑稽談がある、それは船橋の無線電信所が発した救護信号に「只朝鮮人の一団五六百名隊を為して当所を襲撃すべく進発しつつあり宜しく救護を頼む」とあったなどは、今に物笑いの種に成って居る云々」との事、後世までの話料であろう」(外骨「震災画報」)
大正期のさまざまな大衆運動の高揚は、当然ながら政府に危機感を与えた。労働運動、部落解放運動、婦人運動、また朝鮮民族独立運動もその一つだろう。そんな時に発生した大震災は、無法者の暴動鎮圧という名目で、当局による運動への弾圧にすり替わった。外骨のジャーナリストとしての直感は正しかった。この混乱で、亀戸所管内では軍隊によって10名の労働運動指導者が殺された。また無政府主義者の大杉栄と伊藤野枝ら3名が憲兵の手で虐殺され、古井戸に投げ込まれた。幸徳秋水ら社会主義者弾圧の大逆事件では曲がりなりにも裁判が開かれたが、大震災の混乱に便乗して"戒厳令"が布かれると実質的に軍が実験を握り、裁判など必要とせずに彼らを抹殺できたのである。
やがて震災二年後の1925年には、悪法と名高い治安維持法が成立した。

関東大震災時の朝鮮人虐殺は日本歴史の汚点であるが、リアルタイムでこのような批判(事実を報道)できた外骨のジャーナリスト精神は、凄いと思う。

私が初めて手に入れた『滑稽新聞』は第116号(1906年)で、そのキュートな鯉幟の表紙絵を書いたのは墨池亭黒坊だった。中身よりもまず表紙絵に惹かれたの。大胆にして繊細、且つポップ。
黒坊の入社について外骨は、第115号(1906年5月)にこう記している。
「(略)次に今一休氏は遊ぶ事に多忙な人であるから、今般同氏の補助として墨池亭黒坊という人に入社して貰った、此人も中々画才がある、等号の『蟹と穴』の蟹にハートの草を挟ましてあるなどは、チョット凡人には出来ない意匠だ、などとアマリ塩の辛い手前味噌をこね過ぎてもイケナイから止めて置こう」
その黒坊を、いとも簡単に「前野春亭しか考えられない」と言った人がいた。尊那骨茶さんである。彼が黒坊が上方の歌川派浮世絵師・前野春亭(本名、一廣)であると私に教えてくれた。


確かに「滑稽新聞」はヴィジュアル面でも突出してた。中でも黒坊のイラストは飛んでた。

外骨は「自尊私言 昭和期の六無斎」(19369)と題してこう書き遺した。
我に財産なし(国家の蔵品を私有物と見るのみ)
我に子孫なし(愛撫の新聞雑誌を世に存せしむ)
我に学識なし(幾万の刊行物を以て永久教授す)
我に余年なし(さりながら生命は無窮のツモリ)
我に墳墓なし(明治文庫を精神的埋葬所と見よ)
我に頭髪なし(神経チャビンと罵る者あり)
いいなあ。何も持たないことが、なんと豊かであることか(実は何もないと言いつつ、全部持っていると自慢しているのだ、頭髪以外は)。ここで明記しているように外骨の精神的埋葬所は東大明治新聞雑誌文庫であり、魂はここに眠っている。
外骨を知る旅は、私にとって近現代史を学ぶ旅でもあった。明治なんてつい昨日のことのように感じられ、過去が現在を鮮明にし、未来をも予感させた。歴史の連続性・普遍性に気づかされ、人は皆時代の個であることも教えられた。時代を見据えて独自の価値観やエスプリ表現の面白さを伝え、既存のイデオロギーや組織に納まらない稀有な自由人・ジャーナリストとして生き抜いた外骨。いつの世も"優しいタカ派 "という新手のナショナリズム・情緒的な国家主義が人々の不安んにつけ込むチャンスを狙っている。だからこそ自分の頭で考えろというメッセージを送り続けた"怒るハト派"外骨。頭はクールで心はホット、シリアスな時代の陥穽に何度も直面しながら、その生涯に悲惨さがない。野暮なコドモに粋な大人の文化が理解できないように、わからん人にはわからんが、分かる人にはわかる。
私には外骨と同じ遺伝子を持つ血が流れていることになるが、"骨"はない。一日中ボケーッとして、ひねもすのたりのたり瀬戸内海に一匹だけ浮かんでいる海月みたいな軟骨楽天人生を、これからも生きるのだろう。そんな私でも、せめて物事の本質を見る目は磨きたいと思う。今度生まれ変わったら、好奇心と想像力を武器にして、外骨みたいに生きてみたい。


これが本書の締めくくりの言葉である。外骨評伝としては、吉野孝雄と赤瀬川原平の二冊を先に読んでいて、内容の充実では吉野、面白さでは赤瀬川の方が勝っていると思ったのだが、本文のあとにある「あとがき」には著者の現代日本の状況に対する悲憤慷慨と叱咤激励が横溢して、Morris.は非常に参考になった。

今、私たちは日々、洪水のような情報を得ることができる。メディア産業は百花繚乱・多種多様のような錯覚に陥っているが、メディアそのものはむしろ衰退しているのではないか。

これが書かれたのが10年近く前であることに注意。事態はどんどんどんどん悪くなっていってる。

外骨は生涯おびただしい書物を出版して活字の世界に生きながら、言葉として文学的ではなかった。外骨は言文一致を生み出した近代文学の流行には飛びついていないのである。外骨の文章は死ぬまで男性的な漢文調の文語体だった。
一生和服で通したように表面では日本的でありながら、実はスコブル日本人離れしている。
外骨の言葉は時代という鏡を反映し、表現者としての頼もしい唯一の武器となって鍛えられていく。
だから外骨の言葉は告発・罵倒型ジャーナリストとして、いつも過激で露骨でストレートで素直で正直で根源的だ。多くの日本人が大好きな、情緒的で抽象的で比喩的な物言いではない。外骨にとって言葉は、絵や活字やパフォーマンスと同じ、表現の重要な武器だ。差別用語や罵倒用語をあえて使ったのも、差別の実態を隠したくなかったことと、言葉の力を殺したくなかったからだ。あたりさわりのない言葉に言い換えると、言葉の魂は死んでしまう。


筆が立つのではなく、筆が疾走(暴走?)する。外骨のスピード感がたまらない。

時代の振り子は変革という名目でいつも一方へと大きく偏りながら動く。今や世界はテロや暴力を対処療法的に閉じ込めようとする排他的な厳罰化・グローバル化の力に押され、寛容でリベラルな意見はどうも旗色が悪い。気がつけばいつのまにかみんな骨抜きにされて、そう簡単には外骨や熊楠みたいに生きられなくなってしまった。

今の私たちには敵の正体さえよくわからない。平和という言葉が色褪せ、反体制、批判精神なんていう言葉も、ほとんど死語だ。「人権」なんて口にすると「人権屋」と攻撃されかねないし、自由や解放や平等なんて、まるで誰もそれを望んでさいえいないかのようだ。もはや闘うべき敵は外にあるのではなく、私たち自身なのだろう。
「今こそ日本は核保有国になってアジアの覇権国になるべきだ」
などと口にするヒステリックな政治家はいつの時代にもいる。それはまるで、外に仮想敵国を想定してことさら糾弾し、国内問題を隠蔽するナショナリズムに似ている。そんな誤った民族的矜持に多くの国民が同調するとは思われないが、たしかに日本は強力な"自衛軍"を持ち、処分に困っている余剰のプルトニウムをいつでも利用できる原発大国であり、まぎれもなく軍事大国なのだ。だから、今さら核論議を封じるのも時間の問題かもしれない。タブーの嫌いな外骨なら、きっぱりとこう言うだろう。
日本が自分で核を持つことも、アメリカの傘の下で非核三原則の「持ち込ませず」を黙認することも、どちらも容認できない。米ソ冷戦時代に日本が平和ボケと揶揄されたのは、「戦争は最大の福祉、最大の経済行為」というアメリカの戦争中毒と表裏一体だったのだ。「目的は手段を正当化する」というような戦争の大儀など、この外骨には通用しない。もはや核に抑止力はない。日本の安全を保証するものは日本国憲法と非核三原則を名実共に厳守することだ。集団的自衛権を認めるという選択もありえない。日本は非戦・非核主義を理念として掲げ、アジアとの経済的・文化的共生構想を積極的に打ち出すこと。それが必ず国益、いあy国民益につながる。非軍事と民主主義の追求、それ以外に核軍縮に向かう日本と世界の平和に通じる道はない、と。


外骨に名を借りて自論を披瀝してるのだが、それが10年後にどうなったか?現況を見るに 暗澹たる思いである。

もしも近い将来、日本がなんらかの大儀を掲げながら実態としては非人道的で環境破壊につながりかねない"国家権力"を行使しようとするとき、リアルタイムで反対するメディアはあるだろうか。権力の不正・横暴・専横・堕落・放恣・怠慢に一矢を報い、私たちの無知・無関心・偏見を覚醒させてくれる快傑黒頭巾や鞍馬天狗や月光仮面みたいなジャーナリストはもうどこにもいないのか……なんて考えるのは、悲しきかなそこは凡人の弱さ。絶対的に強いヒーロ-を求めるのはもうやめよう。もはや一人では無理、「みんなで外骨」すれば怖くないのだ。個人であれ組織であれ、個として独立したジャーナリスト集団、もしくはネットワーク。むしろ今はこのほうが、一人のカリスマ的な外骨よりいいかもしれない。

「他力本願」では駄目だってことだな。

私自身はかつて吹き荒れていた全共闘運動に身を投じたことはないが(逃げ足の早い野次馬見学連だった)、外骨の楽天性はかつての学生運動用語(?)の「連帯を求めて孤立を恐れず」「一点突破、全面展開」に、ちょっと似ている。情熱的だが頭でっかちと言われる団塊世代の私の背中で、ジャーナリズムの廃頽をこのまま黙って眺めているつもりか! と外骨が怒っているような気がする。

これはそのままMorris.にも当てはまる(著者とMorris.は同い年)。著者がMorris.の気持ちを代弁してくれてるように思えたのだが、こういう考え方こそ「他力本願」なのかもしれない(^_^;)

2016/11/03(木)●文過の日
7時起床。
今朝の血圧は187/87/84。
今日文化の日は70年前に日本国憲法が公布された日である。(ちなみに5月3日の憲法記念日は日本国憲法が施行された日) しかし、もともとこの11月3日は明治天皇の誕生日で、明治時代は「天長節」大正、昭和戦前、戦中には「明治節」として「大日本帝国」の最も重要な祝日だった。戦後日本政府がこの日を「憲法記念日」にしようと画策した疑いがある。GHQは初め完全否定したが、あとになって「別の名前の祝日とするなら認める」と軟化したようだ。かなりきな臭い。
昭和41年にかつての「紀元節」2月11日が「建国記念日」として新しい祝日に制定されたことを改めて思い出してもらいたい。
昼から三宮方面に歩く。途中生田川公園グランドのベンチで軽くミニギターやってたら、ゲートボールが数組で始まる。サービス?で、日本の曲も混ぜてやってたら、えらく喜ばれて、リクエストまであった(^_^;) 結局2時半まで居座ってしまった。
島村楽器とイシバシ楽器を冷やかして、安いカポタスト買う。先日無くしてしまったのだ。Morris.はカポタストはジムダンロップの布ベルト式のものを使い続けてきた。何しろ小さくて場所を取らないし、慣れてることもあった。でも、今回はカイザーというメーカーのネジ式のもの。ダンロップより安くて、わりと小さめだった。
三宮図書館で新聞と週刊金曜日閲覧。気がついたら5時半。大安亭で買い物して帰ろうと思ったが、途中、リサイクルショップで中古のガス台が安くで出てたのでこれを買うことにした3年前やはり中古屋で買ったガス台がボロボロになり、片方のコンロが着火はしてもすぐ消えてしまう状態になってたのだ。20秒くらいつまみを回したまま固定しておけば使えることもある(^_^;)なのだが、これはもう買い換え、と思いながら、けっこう高いので逡巡してたのだ。店から2kmくらいあるのだが、抱き抱えて持ち帰った。独居老人としては使用頻度高いMorris.だが、これで2,3年は持つだろう。
しかし買い換えるといえば、スマートフォンである。いまだに手をこまぬいたままである(>_<) iPhone使い続けたいMorris.としては、少しでも安い白ロムを、と思うのだが、これがなかなか出物が見つからない、というか、たまにあっても、これでいいのかわからなくなってしまうのだ。しかしいい加減に決めないと、ずるずる無駄な出費が嵩んでいくばかりだから何とかしなくては、わかっちゃいるけどやりきれない(>_<)だ。
今日の歩数は5261歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]   삼각 김밥(サムガク キンパプ おにぎり)삼각(samugaku三角)、 김밥(キンパプ 海苔巻き)。日本風の三角形のおにぎりは韓国では見られなかった。日本資本のコンビニが進出してから普及したものと思われる。もっとも、三角おにぎりでも海苔は胡麻油と塩で味付けした韓国海苔が使われている。
삼각대(サムガクテ 三角台)は三脚、삼각팬티(サムガクペンティ)はビキニ。三角関係はそのまま삼각꽌계(サムガククァンゲ)である。


薔薇色の薔薇 

春日野道スキヤ猫A&B 

スキヤ猫A 

生田川公園ゲートボール前で 

日暮通りの黒白 

旭通の白茶 

旭通の灰色猫 

一番安いカポ 

ガス台新調(中古だけど(^_^;)) 


2016/11/02(水)●青谷方面
7時起床。
今朝の血圧は174/83/71。
午前中は韓国日記2日分。
昼からふらりと出かける。動物園前の通り神戸文学館の西側に「くまねこ書房」という古本と駄菓子の店が昨日開店したというので冷やかしに行く。こじんまりとした店内に、新刊と見紛うような綺麗な本が多く、平台には杉浦日奈子の本が並んでいた。店長の山田さんと話する。40歳で10数年間本屋関係の仕事してて、初めて独立したとのこと。フォントやデザイン、絵本など、Morris.と共通するところも多そうだ。ブログも紹介してもらい、名刺交換。また覗いてみよう。
体育館裏の広場でしばらくミニギター。その後青谷川遡行して、青谷公園の四阿で読書とミニギター。遊びに来てた小学生とそれ以下の子どもたちが面白がってた。中にはギターやiPhoneを触りまくる子も(>_<) ギターはかまわないが、iPhoneは危険なのでポケットに避難。それでも関心持ってくれるだけで楽しい。母親が遠くで心配そうに見てたのも(^_^;)4時過ぎに切り上げて、神戸高校からちょこっと青谷道を登る。暗くなってきたので引き返す。水道筋マルハチで買い物して6時半帰宅。
山本農水大臣の「冗談発言」で国会混乱(>_<) 韓国の大揺れに比べればあまりにちっぽけな話。とりあえず辞めてもらわねば。
今日の歩数は3313歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]   롤러코스터(ロルロコスト ジェットコースター)英語roller coasterそのままである。ちなみにジェットコースターは和製英語らしい(^_^;)
メリーゴーラウンドは
회전몽마(フェジョンモンマ 廻転木馬)、観覧車はそのまま관람차(クァンラムチャ)


山茶花 

古書と駄菓子「くまねこ書房」 

休園日のカンガルー 

神戸高校 

鴉(右の尖塔の避雷針の上) 

神戸高校の時計塔? 

六甲夕景

山雀(やまがら) 

薔薇 

植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない」】戸井十月 ★★★
2007/12/25 小学館 初出「週刊ポスト」2007年1月-11月

植木等 1926年三重県伊勢出身。57年にクレージーキャッツに参加。2007年3月27日呼吸不全のため永眠。享年八十。
戸井十月 1948年東京都生まれ
著者が最晩年の植木等にインタビューして構成したもの。

「横浜の、モカンボってジャズクラブで毎晩演っていた時、時々くるGIで、いつもぐでんぐでんに酔っ払って寝ているんだけど、時々起きてピアノ弾く奴がいたのね。このピアノが、なんともビックリするくらいうまいわけ。
そしたら秋吉敏子が、"植木さん、あれ、ハンプトン・ホースよ"って。"誰? それ?"って訊いたら、"アメリカで凄く有名なピアニストじゃない!"って呆れられたよ」
「ハンプトン・ホースってのは、話にならないくらいピアノがうまいのね。で、一緒にやりましたよ。彼が演る曲はこっちも知っていたし、こっちが演る曲は彼が合わせてくれる。むこうは凄いミュージシャンなんだけど、自分勝手に、いきなり知らない曲を弾くとか、難しい曲を弾くとか、そういう失礼なことは一度もなかった。酔っぱらいだけど、きちんとルールを守る紳士的な男でね。だから、楽しかったな。店全体がスウィングしてね。あー、ジャズやっててよかったって思った夜だったね」


秋吉敏子の名前が突然出てくるあたり、当時の植木は、しっかりミュージシャンやってたんだ。

植木等が「クレージーキャッツ」に参加したのが、昭和32年(1957年)の3月。さらに同年9月には、「ハッピーフリーナンス」から安田伸が移ってきて、6人のクレージーな猫たちが顔を揃えた。担当とメンバーは以下の通り。
リーダー、ドラム担当 ハナ肇(本名 野々山定夫)
ギター、ヴォーカル担当 植木等(本名 同じ)
トロンボーン担当 谷啓(本名 渡部泰雄)
ベース担当 犬塚弘(本名 犬塚弘(ひろむ))
ピアノ担当 石橋エータロー(本名 石橋瑛市)
テナーサックス、クラリネット担当 安田伸(本名 安田秀峰)
この頃、三波春夫が「チャンチキおけさ」を、浜村美智子が「バナナボート」を、丸山明宏が「メケメケ」を歌い、浅草では、破壊的で時にシュールなギャグをマシンガンのようにぶっ放す「脱線トリオ」が爆発的な人気を博していた。「お笑い界のジェームゥ・ディーン」と呼ばれた八波むと志、「オシャマンベ!」の由利徹、「ハヤシもあるでよ」の南利明の三人である。

クレージーキャッツの全盛期、Morris.は小中学生だったから、彼らの面白さの本質は理解できずにいたのだと思う。それでも植木のヒット曲の歌詞の一部(わかっちゃいるけどやめられない、そのうちなんとかなるだろう、はいそれまでよ等々)はMorris.の経典みたいになってる。

「六方拝」とは何か?
「六方というのは、東西南北天地のことね。この六方を拝み、感謝する気持ちをもって生きなさいってことなわけ。
東を向いて拝む時は自分の両親に対してね、自分の両親にも両親がいて、その両親にもまた両親がいるわけだから、つまりご先祖様を敬い、拝みなさいってこと。西は、自分の家族。自分に働く意欲をもたらしてくれた女房や子供に感謝する。南は、自分にとって"師匠""先生"というべき人に向かって感謝する。読み書きそろばんから始まって、博打から女の道までね。人生のあれこれを教えてくれた先生やら先輩やらに感謝して拝む。北は自分の友ね。友人、知己、すべてに感謝する。そして天地は自然。太陽が当たるのも風が吹くのも、雨が降るのも種から芽が出るのも、これ全て大自然の恵み。だから、天地に向かって感謝する。
お釈迦様のというよりは親父の教えという感じがしてね。いい加減な親父だったけど、これだけはちゃんと教えてくれたなー、と」

植木の父は破天荒な仏僧だったらしい。この六方拝は、仏教というより民間信仰っぽい。両親、家族、師、友、自然への感謝。Morris.には欠けてるものが多いが、感謝の念だけは忘れてはならないと思う。

2016/11/01(火)●HomeWorkの日(^_^;)
7時起床。
今朝の血圧は175/81/45。
今日から11月、ということで、扇風機を仕舞い、掛け布団を厚手のものに変えた。夏布団はこたつ布団に変身(^_^;)
韓国旅行日記は9月分だけアップして、その後はまるで手を付けてなかったので、今日はこれに集中することにした。
BGMは当然韓国歌謡、と思ったが、これやるとついついそちらに気が行ってしまうので、Morris.には珍しく歌無しの楽曲、アート・テイタムのピアノなどを流す。しかしこれはこれで久しぶりに聴くので聴き入ってしまった。夜までかかって、3日分しか書けなかった。まあ食事や息抜きやしてたけどね。
韓国の情報流出事件はどんどん泥沼化しているが、突然民間人が建設機器(ショベルカー)で向かいの検察庁に侵入、実際に外壁の一部を破壊する事件なんてことが起きてしまったらしい。いかにも韓国という気もするのだが……(>_<)
NHK「うたコン」に、奥村チヨ、浜圭介夫妻が出演。浜圭介芸能生活50周年の祝いらしいが、浜圭介がもともと歌手だったということは知らなかった。
今日の歩数は0歩。

[今日の韓国語単語from Kpeda]   범에 날개(ポメナルゲ 鬼に金棒)直訳すると(ポム 虎)(エ に) 날개(ナルゲ 翼)「虎に翼」。そのままでも強い虎に羽があれば、怖いものはないということだろう。しかし、あの体重を空に浮かばせるほどの翼となると、めちゃくちゃ巨大なものが必要になり、闘うにも実戦的ではないのではなかろうか。
虎は호랑이(ホランギ)ともいう。と、いうかMorris.は虎といえばこちらしか知らずにいた。고양이(コヤンギ 猫)と似てるしね。
今となっては遠い過去の話だが1988のソウルオリンピックのマスコットキャラクタは虎をアニメ化したもので「ホドリ」という愛称だった。そして現在韓国の警察のマスコットキャラクタはやはり、虎で「ポドリ」」という。これは「ポリス」と「ホドリ」の合成語と思われる。

【日本ジャズの誕生】瀬川昌久+大谷能生 ★★★
2009/01/08 青土社
1924生まれの瀬川と1972年生まれの大谷の対談、というより、瀬川へのインタビューみたいな一冊。

瀬川 野川香文さんの『軽音楽とそのレコード』というのが三省堂から出たんです(昭和13年)。これは不朽の名著。野川さんの偉いところは、ハワイアンからスイート・バンドから、ぜんぶ聴いているのね。その本にはエリントンからキャブ・キャロウェイからガイ・ロンバードまで入っているし、イギリスのダンスバンドのこともじつに詳しく書いてある。全部聴いて、で「アメリカの黒人音楽が本物だ」かれ彼は言っていたわけ

戦前の日本のジャズ畑はかなり裾野が広かったようだ。

瀬川 ディック・ミネが出てくる、昭和9年ですけど、あのころは、湘南に夏泳ぎに行くと、スピーカーから流れるのがディック・ミネの歌ばっかり(笑)。銀座のスピーカーでは川畑文子の「三日月娘」が、いやというほど流れたそうです。その点で、日本の歌謡曲文化と西欧のダンス音楽文化は大衆の耳に抵抗なく入ってきた。


ディック・ミネと川畑文子。この二人には凄く惹かれるものがある。

大谷 コロムビアでアレンジがすごいのは、服部良一さんと並んで仁木他喜雄さんですね。
瀬川 仁木さんんはすごいですよ。仁木さんは戦後、越路吹雪の初期の専属アレンジャーだったんですが、残念ながら早くなくなっちゃったの。

☆仁木他喜雄 1901-58。作/編曲。横浜のバンド屋「睦先」でドラムを学び、ハタノ・オーケストラ、日本交響学協会を経て、大正15年、新響創設時にティンパニー奏者として参加。コロムビアの作・編曲家として活躍。


仁木他喜雄というのは、初めて知った。服部良一と並ぶというだけで興味津々である。

大谷 アメリカのポピュラーソングのスタイルを、日本でも昭和15年ぐらいには完全に取り込み終わってますね。しかも幅があって、ポール・ホワイトマン流のオーケストレーションから、そのちょっと前のディキシー調、シカゴ・ジャズ調、それにフレッチャー・ヘンダーソンのセクションとか、アメリカの「ジャズ」の、もうどこからでもアレンジが引き出せるような域に達していますね。
瀬川 日本のスイング・エイジは昭和16年が最高峰だったんですよ。その年の12月8日の日米開戦でだめになるんだけど、昭和16年の1年間はすごんですよ。アメリカの曲がまだ自由にできたから、コロムビア・オーケストラなんかでもどんどん演奏した。アメリカと戦争に入る直前の軽音楽大会では、「イン・ザ・ムード」とか「タキシード・ジャンクション」--グレン・ミラーもやってるんです。それから「ワン・オ・クロック・ジャンプ」「ジャンピング・アット・ウッドサイド」。カウント・ベイシー、グレン・ミラー、ベニー・グッドマン。
大谷 当時の最先端ですね。もちろんエリントンなんかも……
瀬川 もうやってますね。昭和10年頃から、「ソリチュード」とかやってますね。でも、「テイク・ジ・Aトレイン」は入ってないな。あれは1941年だから。


日米開戦がなければ、せめてもう少し遅れてたら、日本のジャズ界は最先端まで行けたかもしれなかった?

瀬川 古賀政男さんとか、万城目正さんのものは、今日の演歌に通ずるものがあると思います。ただ戦前の歌謡曲は、もっとポピュラーな感じがありました。

ド演歌は戦前にはなかったのかな?

瀬川 ジャズに対する弾圧が昭和19年の初めに起こります。サックスを2本以上使っちゃいえkないと、楽器にミュートをはめちゃいけないとか……その意味で、けしからんのは堀内敬三ですよ。堀内敬三が戦争中に、音楽の大政翼賛会みたいなのをつくって、その長になって禁止令を出した。彼はどうやれば音楽がジャズになるかをわかっているんで、何しろ昭和3年にジャズソングを初めてラジオで放送し、レコードを出したパイオニアですからね。

これは面白かった。堀内敬三は「音楽之友社」の創設者であるが、Morris.はフォスターの歌曲や「青空」「アラビアの歌」の訳詞者として親しみを感じていたが、こんな一面があったとはね。

瀬川 中村とうようさんんは、小畑実の「星影の小径」はビング・クロスビー以来のクルーナーの日本最高だと、つねに言っておられるんだけど、そういう意見をわかる人が少なくなっちゃった。戦前までは、モダンなポピュラー音楽そのものがジャズだったんだけど、戦後、タンゴが好きな者、シャンソンが好きな音、ハワイアンが好きな者、ジャズでもスイングが好きな者、モダンジャズが好きな者、ディキシーが好きな者というふうに分かれてきちゃう。私はそれが残念で。

「星影の小径」はちあきなおみによるカバーが素晴らしかったので、改めて見直したが、中村とうようがそんなことを言ってたことは知らずにいた。

大谷 戦後、芸能の主体が「歌手」に移ったとき、というか、美空ひばりがビッグバンド・サウンドのアレンジを採用しなかったことが、後続に大きな影響を与えたのかな、とも思います。笠置シヅ子の「買い物ブギー」を訊くと、いまでもすごく新鮮なアレンジだと思うんですが、美空ひばりの歌はすばらしいのにアレンジ的には戦前に戻っている。


美空ひばりのジャズ・スタンダードナンバーのアルバムはMorris.も大好きである。たしかにひばりのシングルヒット曲には、ビッグバンドサウンドは見当たらない。

大谷 歌とダンスは、音楽文化の大事な両輪だと思うんですが、今の日本では、歌とダンスがばらばらになってますよね。歌手はみんな踊りますけど、ダンス・ステップっていうものが今は歌から生まれることはないし、ダンス・フロアも、二極分化している。
瀬川 戦後のバラード、平野愛子さんの「港が見える丘」は、ほんとにチークダンスには絶好なんです。江利チエミが総和27年に歌った「チャタヌギ・シューシャインボーイ」はジルバ。そういうものがいまはない。


韓国では今でも、歌と踊りは一体化してるところがありそうに見えるのだが、二人の「ダンス」とはかなり違うな(^_^;)

大谷 ジャズはジャズ喫茶で真面目に、修行のように聴くものだ、という意見ばかりが目立つようになり、基本的に、それは今でも変わっていないように思います。もう少し広い視野で「ジャズ」を捉える、そういっ
たきっかけに、この本が役立てばと思っています。

これには共感を覚えた。

本書の大谷氏との対談を通じて、共通の認識に達したもう一つの点は、戦前日本のジャズないし軽音楽が欧米の技術水準に比肩する粋に達していただけでなく、日本独自の魅力的な特性を有するポピュラー・ミュージックを生み出していた、という事実である。
昭和16年(1941)のジャズ・バンドは、すでにアメリカのスイング時代のヒット曲の楽譜を入手して、その大半を演奏していた。
コロムビア・オーケストラや谷口又士楽団、笠置シヅ子と中沢寿士楽団などは、軽音楽大会で演奏していた。ただこれらのアメリカの曲は、日本のバンドがレコーディングする機会はなかったので、その音源を聴くことは出来ない。
今回の対談で私が一番嬉しく感じたのは、今まで私が最高のサウンドと思ってきたレコードを、大谷氏も高く評価してくれたことである。特に仁木他喜雄と杉井幸一のアレンジを賞賛されたのは、我が意を得た思いである。(瀬川昌久あとがき)



 

 

 

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