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Morris.日乘2005年10月 
ここは、Morris.の日記です。読書記録、夢のメモ、宴会の報告、友人知人の動向など、気まぐれに書き付けるつもりです。新着/更新ページの告知もここでやります。下線引いてある部分はリンクしているので、クリックすれば、直行できます。  
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渋月

Morris. personal calender

【2005年】 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月
2005/10/31(月)●韓国懐メロの日●

昨日生で聴いたアンチファンの声がどうしても印象強すぎて、今日は朝から、彼のCD3枚を聴きなおしてしまった。たしかにCDも悪くはないのだが、やはり、彼の場合、生で聴くのとはかなりの違いがある。ライブに向いてるというか、あの声質は、CD、特にMorris.亭の貧弱なマイクロコンポでは再現できないのだろうな。音質+ボリュームの問題もあるだろう。そのまま、ずっと韓国懐メロシリーズの世界にはまってしまった。
安上がりスパゲティキムヒョンシク、チョヨンナム、ユンボキ、イスンチョル、イウンミ、キムワンソン、チャンドク、キムスヒ、ソンチャンシク、パンミ----
今もBGMはイジヨンの3,4枚目のアルバムをテープからMDにダビングしたものを流している。これはこれでまた良い。
昼過ぎ銀行にキャッシュカードで引き出しに言ったら、ATM前に50人以上列をなしている。月末だからだろうが、たっぷり20分くらい待たされてしまった。
最近業務スーパーで廉価で購入してるスパゲティを良く食べるようになった。もともとあまりパスタ系は好みではなかったのだが、これまた業務スーパーの安いレトルトミートソースを買って、これに野菜や挽肉など炒めたものを混ぜ合わせてちょっとボリュームあるメニューにしている。
今日は「和風きのこソース」にブロッコリーやらイカのゲソやらをニンニク油で炒めた奴を作ってみる。滅茶苦茶美味いというわけではないが、確かに安上がりで満腹できる(^^;)

【生きかた名人】池内紀 ★★★☆☆☆
 「たのしい読書術」という副題がある。著者の愛読作家20人の読書コラムという感じの短文を集めたもので、そのセレクションとタイトルのつけ方からして、洒落ている。

・借金/内田百閨E飲み助/吉田健一・心中/太宰治・病気/堀辰雄・妬み/芥川龍之介・退屈/坂口安吾・借用/井伏鱒二・貧乏/林芙美子・反復/小川未明・気まぐれ/州之内徹・おかし男/長谷川四郎・雑学/植草甚一・小言/三田村鳶魚・かたり/柴田錬三郎・腹話術/ 堀口大學・子沢山/与謝野晶子・メランコリー/若山牧水・偏屈/正岡容・ホラ/寺山修司・生きのびる/田中小実昌

Morris.の好みとそうでない作家半々くらいだが、著者にとっては、どこか通じ合うところのある作家ばかりらしい。

・借金はヘンなものだ。金がないので人に借りる。それで借金ができた----ここまではいい。つぎがヘンなのだ。借金を返せ、となる。もともと金がないから借りたわけで、金のない人に、どうして金が返せるだろう?
つねに手にとどまらないとは時間における現在と同じで、一瞬の間に過去になっていく。タイム・イズ・マネーとはよく言った。金は時の現在のごときものであり、そもそも世の中に存在しない。「……さらに考えて行くと、金は単なる観念である。決して実在するものでなく、従って吾人がこれを所有すると云う事は、一種の空想であり、観念上の錯誤である」(「百鬼苑新装」)
これを書いたのは、昭和十年代に至ってからである。借金の手習いより数えて二十数年の歳月が流れていた。(内田百)

・ついでながら退屈とは、ひとことにしていうと、この世、またわが身というもの、自分がもっとも愛しているはずのそれが、かくべつおもしろくもおかしくもないと気がつくことである。とりたてて何一つ言うべきことがない。だからこそ退屈者は、ことのほか大胆な説を立てる。目をむくような主張をして、地の果てまでへも突進する。(坂口安吾)

・貧乏は貧しいとかぎらない。貧乏であって豊かな人もいれば、金持でも貧しい人がいる。貧乏と貧しさとは、べつのものだ。
林芙美子は貧乏の豊かさを、この上なくたのしく描いた。そしてベストセラー作家になった。そして今日、おそろしく物量豊かな時代、かぎりなく豊かで、そしてこの上なく貧しい時代の到来とともに、この作家はおおかたの書棚から捨てられた。(林芙美子)

・この種の趣味的大食漢は、たいてい早かれ遅かれ知的糖尿病になるものだ。しかし、植草甚一は、そんなふうにならなかった。頑迷にも固陋にもならうず、またひからびたり、枯渇したりもしなかった。いつも永遠の青年のような好奇心をもち、軽い足どりで街を歩き、一人で、一人の存在でもって、二度とくり返されない人生を、あざやかに生きた。だからこそ、誰もがひそかに思ったわけだ。
「トシをとったら植草甚一になろう!」(植草甚一)

・意地悪じいさんの小言集のようだが、これは西洋の用語でいうと、注解文学というのにあたる。「舌」をあらわすギリシア語から生れた言い方で、舌の味分けによってたのしく文学を俎上にのせる。さらに吟味の過程そのものが、主題を煮つめ、多様に変化させていく。
当人は西洋のジャンルなど夢にも思わなかっただろうが、三田村鳶魚の『大衆文芸評判記』は、わが国の注解文学にあって、唯一といっていいほどの名作だ。その小言を通してフクイクと花のお江戸がよみがえる。たのしく、おもしろく、ためになる幸兵衛さんの小言である。(三田村鳶魚)

・ショーペンハウアーによると「夢は短い狂気、狂気は長い夢」だというが、柴田錬三郎が代表作の主人公を「眠狂四郎」と命名したのが意味深いのだ。いわば「長い夢」をつむぐための入れもの。錬三郎の名前からもわかるように、これは三男坊であって長兄は剣太郎といった。次兄は大史郎、そして錬三郎、これは父がつけた名前。三男は自分で四男をつくり、「狂四郎」と名づけた。長い夢を語るための短い狂気の役まわり。(柴田錬三郎)

最近は温泉好きが嵩じて、ふやけたような雑文書きになってる感の強かった著者だが、こうやってちゃんとした素材を用いればそれなりの、いや、彼にしか書けないこういった当意即妙、自由闊達、変幻自在な工芸品みたいな文章をものにできるのだから、もう少し風呂は控えて、こちらの世界での遊興に精を出していただきたいものである。

2005/10/30(日)●ワンコリアフェスティバル●

8時起床。ちょっと宿酔かも(^^;)
それでも9時過ぎに部屋を出て、JRで大阪城公園に出る。今日は第21回ワンコリアフェスティバルである。
今回は光復60年ということもあって、先に「韓日友情のチャンチ」があって、引き続きワンコリアフェスティバルということだったが、見物のMorris.にとっては同じようなものである。ステージだって一緒だしね。
11時開会だが席取りのために10時過ぎに到着、首尾良く一番前(右隅だけど)を確保して、天幕屋台を冷かす。例によって食券制になっていて、千円単位でしか買えない。これはけっこう面倒くさいし、端数が出ると馬鹿らしい。まあ、現金でもいけるらしかったけど。チヂミやキンパサムギョプサルなどで軽く腹ごしらえする。
吉美ちゃん、巻田さん、ぶんたさん、443さんなどが来ていた。また東京からビギンさんも遠路はるばる駆けつけてた。彼女は新井英一ファンで、彼が出演するということで来たのに、プログラムには彼の名前が無かった(>_<)どうやらドタキャンになったらしい。わしらに責任はないものの、何かえらく申し訳なかった。
11時開会で、農楽の後のコンサート、初っ端がチョンテチュン、パクウノク夫妻だった。91年の大阪でのライブ以来だから、15年ぶりということになるが、ほとんど印象はあのときのままだった。パクウノクの「鳳仙花」からチョンテチュンの「トナガヌンペ」まで5曲ほど演奏したが、Morris.としては「チョップル」と「北漢江」を聞きたかったな。
その後、エレキバイオリンのユージンパク登場。彼TVでは何度も見ていたが、本物を見るのは初めてだったが、なかなかにパフォーマンスも見事で、楽しめた。
そしてお目当てのアンチファン。今日はバックバンドなしで、カラオケとギター一本だったが、それでもあの声は圧倒的だった。名曲「荒野にて」「サラミコッポダアルムダウォ--人は花より美しい」の二曲を歌ってくれたのでMorris.は大大大満足(^o^)おまけにアンコールにもこたえてくれた。
そのまま、ワンコリアフェスティバルに移ったのだが、この時点で、約30分の進行遅れだった。それが、KJミュージカルスクールの子供中心の「大長今」をテーマにした出し物が矢鱈長々と演じられ、進行遅延は1時間以上になってしまった。前からこの催しの進行はいいかげんだったが、今回は特にKJ…の長丁場の責任が大きいと思う。バンドの演奏なら、観客のノリなどで長引くこともあるが、きっちりプログラムされた演目でのこの遅延は、確信犯というしかない。自分とこの団員の出番を少しでも多くしたいのは人情かもしれないが、多くの出演者がいる催しでこういうのはいただけないな。
韓国ドラマ「大長今」のイムホ、「冬のソナタ」のクォンヘヒョ、パクヒョンスクのトークショーが始まったのが4時近くで、それでも今日の観客の1/3くらいはこれが目当てだったらしく、これが終わった時点でどっと客は減ってしまった(^^;)
そのあと民族学級の子供たちのプンムルがあったが、これは、時間調整のためかなり短縮させられたような気がする。可哀想である。
つづいて舞踏団ナルセ、パンソリ、サルプリなどあって、Morris.一押しのSANTA(散打)登場。なかなか見に行く機会がなくて結局去年の4月の民族学博物館の催し以来のお目見えだった。ちょっと構成も変わって、一段とパワーアップした感じだ。リーダーミンヨンチのりズム感とパワーは健在だし、メンバーの技術も更に向上してる。でも何といってもMorris.お目当てはダンスの優姫ちゃん(^o^)見るたびに素敵になってく気がする。やっぱり、散打のライブ見に行かなくては。
黒田征太郎と近藤等則のライブペインティングは、これだけ時間押してると、ちょっと困り者という気さえした。どちらも一生懸命なのは解るのだが、夕方になってかなり冷え込んできたし、待っている後の出演者や観客のことも少しは考慮して欲しい。たっぷり30分以上かかるのも、催しの性格上仕方ないというのは解らないでもないけどね(^^;)
その後、朴保バンドの賑やかな韓系ロックで盛り上がり、在日4人娘のセフィン。そして、「大長今」主題歌「オナラ」を歌ってるイアンのステージ。Morris.は彼女の名前すら知らなかったが、巻田さんが強く推してたので、ちょっと気になっていた。これが、本当に大当たりで、見目麗しく歌も上手い。何でもソウル大学国楽科出身でパンソリもこなすとのこと、そりゃ民謡系の歌も上手いはずである。それにちっともブッてなくて感じが良い。ちょっとファンになりそうかも(^^;)
続いてのダンスバンドDUKEの演奏の頃から雨が降り出し、途中激しくなってMorris.はテントに避難。日中は快晴だったのにまさかの天候の気まぐれに焦ったが、これも進行がちゃんといってれば、とっくに終了してたはず。
それでも雨は小ぶりになり、今日のトリ、テイのステージ。若手人気男性歌手で、けっこう彼の追っかけ軍団が来ていたようだ。Morris.は、まあ、どうでも良かった。そして、フィナーレで出演者全員登場。結局終了は8時半。ざっと10時間居つづけたことになる。まあ、楽しかったから良いけど、本当に次回からは進行をきっちりやって欲しいと思った。これだけのメンバーを無料で見られるんだから、文句云う筋合いはないかもしれないが、気持ち良く進行するにこしたことはないだろう。
ビギンさんとぶんたさんは途中で抜けて、くんぱどさんの店「牛太」に行き、Morris.と巻田さんは時間が遅くなったので、お馴染みの羊串焼「延辺香」で軽く飲って帰ることにした。
ワンコリアの画像は多過ぎるので、例によってアルバム頁作ったので、そちらを見てください。


JR大阪城公園駅ホーム窓から

アンチファン

ワンコリアフィナーレ
2005/10/29(土)●一番星食堂●

朝から雨模様。矢谷君と、大阪方面3軒の現場。雨は午後から上がった。
starting over's Album夜は新開地ミナエンビル2Fの一番星食堂で、ムックさんらのライブがあるというので見に行く。
食堂といっても、カウンターバーとライブ会場二つがくっついたような店造りである。
京都のBtricksというビートルズのコピーバンドと、ムックさんのスターティングオーバーという二つのバンドと、幕間にムックさんとジャズギター、キューピー林さんのセッションをはさむ構成。Morris.はビートルズ、リアルタイム経験世代だけにたいていの曲は聞き覚えあるし、あの頃のナンバーは1曲が短いので、テンポ良く進むので気持ちがいい。途中からつかき姫を始め、観客勝手にダンスタイムになって、Morris.も踊りまくった、ような気がする(^^;)
林さんの奥さんのスーミーさんとも初めて会うことができた。ときどき彼女のHPで猫を中心にしたイラストを見てたりしてたので、初対面という感じはしない。
スターティングオーバーは、女性ドラムの4人組で、ムックさんと凪さんのオリジナル中心で、ちょっと懐かし目のフォークロックみたいな感じ。ちょうどCD「僕らの旅は果てしなく」が出たばかりということで、今回はアルバム発売記念ライブという意味合いもあったらしい。もちろんMorris.も一枚入手して、ジャケットにメンバー(+つかき姫)のサインもらった。こちらも後半はのりのりで、みんなで踊りまくり。ライブの後で、出演メンバーらと飲む。ムックさんは、明後日から釜山に行くそうで、Btricksの二人も後で合流するらしい。何やかやでいい気分になりほぼ最終で帰宅。


ムック(左)&キューピー林

ムックさん

Starting Over
2005/10/28(金)●鉄人歌会●

ちょこちょことMorris.部屋の整理してて、矢谷部屋で、今夜王子公園の鉄人マーケットで「鉄人歌会」というのやってることを知ったので、出かけることにする。Morris.亭からならJR灘駅が最寄駅なのだが、ぷらぷらと歩いて、水道筋商店街冷かしながら8時前に到着。歩いて30分強くらいである。
この店は山田ほおぼうさんの骨董店で、阪急高架下を借りて、自分で3階に仕切った店舗兼倉庫みたいなものである。狭い上に売り物の骨董(ガラクタ)が、戸頃狭しと置いてあって、こんなとこでライブできるんかい?といった感じなのだが、そこはそれ、アコースティック弾き語り中心で、何とかやってるらしい。\300のカンパ制で、誰でも歌えるという、参加型ライブで、半年ほど前から始めたとのこと。今日は矢谷君のT&Tと風来が演奏するので、それを見に来たのだが、出演順も籤で決め、出演者の数によって演奏曲数も決めるというざっくばらんなやり方である。
ほとんど素人が中心で、古い関西フォークや70年代フォークのカバーやら、歌謡曲、童謡まで交えて3時間弱のふしぎな時間を楽しませてもらった。生憎Morris.はちょっと腹の調子が悪くてトイレ往復という辛い状況だったが、毎月最終金曜日8:00P.M.から定期的に開かれてるらしいので、時々覗いてみようかと思う。


鉄人マーケット看板

鉄人マーケット内部

T&T
2005/10/27(木)●「数えてゆけば会えます」●

昨日までの日本シリーズのことを思い出しては、だんだん腹が立ってきた。何気なく見てたパリーグプレイオフがえらく面白かっただけに「本番」であるはずの日本シリーズが面白いどころか、どんよりと嫌な気分だけを残して終わってしまったことには、落胆と失望と怒りを禁じえない。
今日はしっかり朝寝して、昼前に風呂使い、ごろごろしてた。今夜の朝鮮語講座のシャドウイング教材のニュースを練習する。今回の主題は、果実酒発酵用に新しく開発された二重醗酵容器のニュースだった。
家庭で果実酒を作るとき果実と砂糖と焼酎を使うのだが、密閉が不充分なため、雑菌が混じって不完全醗酵を起こして頭痛の元になったり、醗酵過程で発生する炭酸ガスが爆発する危険もある。今回開発された新しい醗酵容器は炭酸ガスを外に逃がし、外部空気を醗酵酒内に入れないよう、二重構造になっている。これのために、完全発酵が出来て、炭酸ガス爆発も防げて味も良いとのこと。果実酒だけでなく、穀物酒にも利用でき、家庭で簡単にマッコリを造ることもできるらしい。韓国農林省では、この容器によって、果実の消費を促進し、果樹農家の所得増大につながるのではと期待している。
といった内容だが、いやいや、Morris.もこの二重醗酵容器には魅力を覚えてしまった。今度韓国行ったら買ってくるか?でも荷物になりそうだな(^^;)
有田の和子さんからメールで、息子がネット歌壇の新人賞を受賞したと知らせてきた。息子とは何度か会ったこともあるし、メールのやり取りをしたこともあるが、最近はとんとご無沙汰だった.あわてて件のページをネット検索で覗いてみる。
「歌葉」http://www.bookpark.ne.jp/utanoha/index.asp
というサイトで、Morris.は知らなかったが、結構盛んに活動してるらしく、今回の新人賞も4回目とある。新人賞作品もここで見ることができる。受賞作は笹井宏之「数えてゆけば会えます」という作品で、30首が掲載されている。応募が30首単位だったのだろう。印象にのこったものをいくつか引いておく。

「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません
隣ではベートーベンに似た人が五の段からを暗記している
「足元はやっぱり道で、どこかへと通じている道で、どこですかここ?」
あやとりの東京タワーてっぺんをくちびるたちが離しはじめる
栄光の元禄箸を命とか未来のために割りましょう、いま
家を描く水彩画家に囲まれて私は家になってゆきます
滝までの獣の道を走り抜けあの子は歌手になるのでしょうね
この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい
それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした


おお、以前に、ちょっと見せてもらった歌からすると、かなり進化してるようだ。完全な口語短歌で57577の区切りにはそれほどとらわれず、自由に歌っていながら、トータル音数31はほぼ正確に守っている。内容も写生や実感描写ではなく、イメージを膨らませたりぶつけたりしての遊びが感じられる。そして、なかなかに言葉の選び方と持っていき方が巧みで、上手いと思う。感情過多になることを避け、やや理屈っぽくみえるくらいに言葉を積み重ねる傾向など、結構Morris.好みかもしれない。ことば遣いからも、若さゆえのみずみずしさが感じられるね。モダニズムという言葉がふっと浮かんで消えた。「歌を忘れた歌人」になって長いMorris.がどうのこうのいうことではないだろうが、満更縁が無くもない若い知人が、ネットという異次元の世界でこういった作品を発表して、それが多くの人に認められているようだ、ということに、ある種の感慨を覚えてしまった。ともかく、おめでとう\(^o^)/
今夜の授業、鹿嶋さんを入れて生徒6名。そらさんは多忙のため断念するとのこと、残念、今期はこの6名±1くらいで講座が進むことになりそうだ。受ける側からするとちょうど良い人数かもしれないが、センターからするともう少し受講者ほしいところだろう。ところで今日のニュースのシャドウイング。Morris.はMP3導入で我ながらよく練習して行ったつもりだったのに、結果はボロボロ。まるで日本シリーズの阪神タイガーズみたいだった。次回は練習のやりかたを変える必要があるな。

【火車】宮部みゆき ★★★☆☆ 彼女の名前はよく目にしてたし、知人のなかでも彼女のファンは少なくないので、何度か読もうとしては見送ってきた。本書は92年の作品だからデビュー4年目くらいの作品で、まあ、初期の作品ということになるのだろう。
事件で負傷して休職中の中年刑事が、親しくない親類から持ち込まれた恋人失踪を追いながら、自己破産した女性の複雑な人生を少しずつ掘り起こしていくといった、一般推理小説とは一味違ったストーリーになっている。確かに描写もそつがなく、展開も読者を飽きさせないし、文章も下手ではない。そして途中で弁護士の口を借りて20p近くを費やしてのサラ金や信用カード、自己破産などの現代の「消費者信用」の解説、分析、矛盾、恐ろしさなどは、たしかに正論で、特にMorris.のようにその方面に弱い人間は、ほほおっなるほど、と、感心させられるくらいに、念のいった内容だった。また、通信販売会社での個人情報漏洩に関する、やりとりも、発表年代を思うとびっくりするくらい、時代を先取りした内容だし、本当にこの作家の、時代や社会即応の豊かな知識に驚かされた。

斜め前の通路ぎわのシートにもたれている若者が、携帯電話を耳にあて、さかんに何かしゃべっている。わざとらしく大声をあげて、ぞんざいな命令口調でものを言っているところをみると、いっぱし、人を使う立場にいるのだろう。しかし、公共の場所で携帯電話を使ってしゃべり散らしている人間というのは、どうしてそろいもそろって声が大きく、また馬鹿面に見えるのか。

この時期はまだ、爆発普及以前の携帯電話への言及などは、Morris.と全く同感だった。
また、本筋とは無縁だが、東京という都市への言及。

買い替えのきくものに、人は根をおろさない。買い替えのきくものを、故郷とは呼ばない。
だから、今の東京にいる人間はみな一様に根無し草で、大部分は、親や、そのまた親が持っていた根っこの記憶をたよりに生きているのである。
だが、その根の多くはとっくに弱り果て、その呼ぶ声は、とうの昔に嗄れてしまった。だから、根無し草の人間が増える。本間は、俺もその一人だと思う。
だからだろう。仕事でこの大都会を歩き回り、大勢の人間に話を聞いているとき、相手の話のなかに、語尾に、イントネーションに、ことばの選び方のなかに、明らかにその人物の「故郷」を思わせるものを感じとったとき、ちょっと淋しいような気になる。


といったところに、この作家が好まれる理由があるのかもしれない。
本書のラストはちょっと意外な終わり方である。これこそ作者の眼目かもしれないし、発明というのかもしれないが、Morris.はもっとオーソドックスに、始末をつけてほしかったような気がする。

【分岐点】古処誠二 ★★★★ このところ、すっかり肩入れしてる古処作品、それもMorris.が一番注目している戦争ものである。2002年に雑誌に連載されたもので、敗戦直前の内地、動員中学生と彼らを指導する軍人との話である。心身、頭脳体力ともに抜きん出た模範的少年と、やや体力的に劣り、家庭環境にも恵まれなかった少年の対象的二人の主人公を軸としながら、戦争中の日本軍、政府の矛盾を、当時の中学生の視点から徐々に解きほぐしていく手法で描いている。もちろん、当時の劣悪な生活状況、さらに空襲の悲惨、飢餓に近い食料事情、軍人の暴力、横暴、神国日本への信頼と不信、動員中学生同士の軋轢、勤労女学生との淡い交流と悲劇、そして、戦争そのものの不気味さが、例によっての筆致で緻密、懇切に書き込まれてるわけで、やっぱりMorris.はシビれてしまった。

人が理不尽を前にしても懸命になれるのは、帰る家を持っているからだ。そこに親しい人間がいる以上、自分が羞恥の存在になるわけにはいかない。人は、羞恥を予測するからこそ犯罪の欲求を抑える.刑罰の意味はそれが大きい。羞恥心を捨てたものだけが刑罰そのものを恐れる。幸いにして、おおかたの日本人は極限におかれながらも日本人であろうとしている。非国民と呼ばれたくがないために、筋の通らない事実を見ながらも秩序を放棄しない。

皇軍が蝗軍と呼ばれていた現実は密かに囁かれていた。服部もそれを口にしていた。補給の前に前進の命令を受け続ける軍隊は、現地での調達を推し進める他ない。
認識の溝を埋める役目を果たすはずの報道は、逆に溝を覆い隠してきた。
皇軍は蝗軍。
すべてを食い尽くす蝗の群れ。
現にここでもそうだった。
農家を接収し、食料を調達する。すでに物々交換もままならなくなった以上、現地の部隊が機能を維持するためには、供出要請という名の強制的な徴発を行わなければならなくなる。
いや、それはすでに行われている。軍隊の駐屯など迷惑でしかない。もう嫌悪感を隠さなくなっている。自国を守るための軍隊を国民が疎んじている。
大東亜共栄圏の建設という大義があったからこそ日本人は熱狂した。支邦事変では抱けなかったその目的意識が欧米と直接ぶつかることになって一気に形を伴った。
だからこそ誰もが苦痛を耐えた。
自分たちの行動に意義があるからこそ耐えた。
しかし現実には、皇軍は蝗軍だった。
別称や、蔑称は常に本質を突く。
報道はそれを隠し続けてきた。
戦争の意義に反することは隠さねば国民を操ることはできない。
疑問を抱かせてはならない。
信じることができなくなったとき人は離れる。
今がそうだ。
緩み始めた軍紀と乱れ始めた治安。その原因の最たるものは頭上を飛ぶ敵機だった。
誰にも隠しようのない現実を目の当たりにした国民は、疑問を抱き、報道を疑い、動揺した。
騙し続けてきたツケは大きすぎる。
聖戦に両親を失った少年。
歴戦の下士官にも気に入られる少年。
戦争の意義を疑っていない少年。
彼を襲う反動の大きさを意識したとき、片桐は脚に絡みつく雑草を蹴散らしながら叫んでいた。
「成瀬!」


今のところ彼の作品で読んでないのはデビュー作の「Unknown」だけではなかろうか、とりあえず、これは読んどかねばならんな。

2005/10/26(水)●祝ロッテ日本一(^^;)●

Morris.部屋の更新は今朝、できるようになっていた。
矢谷、秋本君らと西宮のデリバリ。お昼は大好きな喫茶店「みんなのお店」で、かりかりじゃこ丼ポテト大盛り頼む。やっぱり美味しいっ(^o^)
開梱も早めに終わり、倉庫でちょこちょこと作業して5時過ぎには帰宅。今夜はセンター朝鮮史セミナーで、「韓流」関連の面白そうな講義があったのだが、やっぱり日本シリーズには勝てない。でもやっぱり阪神今日も勝てなかった(>_<) 2-3の接戦とはいうものの、相変わらずちぐはぐな攻撃で、いいところなし。31年ぶりに日本一になったロッテに「おめでとう!!」と言うしかない。8連続ヒットの今江というのは、実にいい顔してるし、すっかりファンになってしまったぞ。
でも、口惜しいというか、情けない気にもなってしまった。

2005/10/25(火)●3ゲームで2対30(>_<)●

昨日から、Morris.部屋更新できずにいる。orcalandサーバーのメンテなのかもしれないが、Morris.部屋自体は見ることができるので、サーバーのダウンではないと思う。ちょっと気がかりである。
矢谷君浅海君清水君と昨日の現場。昼食も同じ新福菜館。今日は餃子セット頼む。ここの餃子は合格点(^o^)
昼休みも同じく、山科川畔でのんびり。今日は紋黄蝶がいた。紋白蝶にしろ紋黄蝶にしろ、この白蝶というのは、蝶の中でも一番可憐で好ましい。スプリング・エフェメラ「褄黄蝶」をはじめ、雲間褄黄蝶、筋黒蝶、姫白蝶、褄紅蝶など、それほどの派手さはないが、飛翔スタイルや雰囲気がいかにも「茎の無い花---ネルヴァル」を髣髴させる。
夜は、甲子園に帰ってきての阪神-ロッテの日本シリーズ第3戦。下柳先発で、今日こそは、と思ったのに、終わってみれば、1:10の完敗で何と3日連続の10点献上ゲーム。トータル30:2というのは、記録的なワンサイデッド・シリーズである。2点差つけられて藤川投入というのも辛いながら、理解は出来たのだが、結果的には、火に油を注いだ形になってしまった。とにかく打撃不振と攻撃のちぐはぐさに尽きる。まあ、いっそこれだけボロボロの3連敗だから、奇跡を起こすには絶好のお膳立てと言えなくも無い。窮虎ロッテを噛むというのを期待するしかないな(^^;)

2005/10/24(月)●鯛のお頭\150●

矢谷君浅海君と、伏見の現場。昼食は新福の黒いスープのラーメンで、Morris.はいまいち好みでないが、矢谷君らはえらく好きみたいである。現場のすぐ近くを山科川が流れていて、大元橋の脇から川べりに降りて芝生の土手で昼休み。溝蕎麦が茂ってて、鶺鴒や白鷺がいて、立翅蝶、蜆蝶などの蝶が飛び回っている。季節はずれの紋白蝶もいて、いやあ、やっぱり紋白蝶ってとんでもなく美しい蝶であることを再認識させられてしまったよ。
倉庫に戻ったのが5時半過ぎで、荷物ちゃかちゃかと降ろして、明日の用意する前に、Morris.は先に失礼する。今日は歯医者の日だった。何とか7時に間に合って、奥歯の治療。今日はえらく早く終わる。パニエでリプトンの紅茶ティーバッグ買う。鯛のアラがあったので、これも買って帰り、アラ煮に。しかも生姜切れてたので、ニンニクのスライスたっぷりまぶして、蒸し器でしっかり過熱。いや、これがもう、めちゃ美味。とても\150とは思えないうまさだった(^^;)
KBSアーカイブで昨日のクンサンからの韓国ノレジャラン見る。これがなかなか見応えがあった。4年前に4歳で出場した天才少年が8歳で再出場したり、妊娠6ヶ月の主婦が「ジニ」歌ったり、最優秀賞者の歌ったチェユナの「エジョンエジョッコン--愛情の条件」がえらくかっこよかったりである。しかし何といってもMorris.の目を釘付けにしたのがLPG(^^;)という女性4人組で、「カンカン」という歌を歌ったのだが、題名そのままのカンカン踊りで、思い切り脚を上げる踊りに悩殺されたのも事実だが、一番右の女性の顔が、チャンユンジョンちゃんにそっくりだったので、気になって3回も見直してしまった。もちろん別人なんだろうし、アーカイブの画像はかなりひどいから、そのせいとは思うのだが、嬉しかった。


百五拾圓也の鯛のお頭

美女4人組LPG(^^;)

ユンジョンちゃんに似てる?
2005/10/23(日)●10月マダン●

7時半起床。雨模様だが、洗濯しながら、朝風呂つかう。
神戸市長選挙投票済まして、灘図書館に寄ってから、元町へ。今日は兵庫韓国民団本部会館6Fホールで、10月マダンの催しがあり、そらさんもチャングで出演するというので前から行くことにしていたのだ。午前中は韓国語スピーチコンテストで、プログラムには、韓国語と日本語で原稿掲載されてたので、聞き取りの勉強にもなった、と思う。
お昼は5Fでトックッとチヂミなどが振る舞われた。ものすごい混雑だったが、トックッなんて久し振りに食べるので、何か嬉しかった。
午後からは民俗芸能こ公演ということで、合唱、サムルノリ、寸劇、舞踏など、老いも若きも取り混ぜて賑やかに繰り広げられたが、これは画像見てもらうことにする(^^;)
そらさんはチャング4人で熱演してたし、むくげの会の深田さんも尼崎の合唱に出演していた。たつのの丸尾さんと横浜の元気さん、Akahoさんも見物に来ていた。そらさんは受付で、新著「韓国へ行こう!」の販売もやってて、見事完売したらしい。
本当は、今夜はくんばどさんの店の1周年記念+そらさんの新著発売記念オフがあったし、元町の上屋劇場でKOBE OLD SCHOOL DAYSライブがあって、どちらに行くか迷ってたのだが、結局どちらにも行かず部屋に戻る。やっぱり日本シリーズ阪神が気になってたのだった(^^;) で、結果は、昨日につづいて連敗。それも0-10というあまりに情けない完封負けである。甲子園で阪神胴上げの目は消滅、逆にロッテが甲子園で胴上げする可能性が高くなってしまった(>_<) ロッテの今江なんか、昨日から8打席連続ヒットで新記録である。それにひきかえ阪神は、主力が全く駄目。


振る舞われたトックッとチヂミ

阪神韓国学園合唱 拡大画像

尼崎婦人会サムルノリ

チャング熱演

神戸韓国学園風物チーム

やっぱりヨンさまが(^^;)

「オモナ」は大人気

宝塚韓国学園合唱

プチェチュムは舞台の花

尼崎オリニプンムル

婦人会本部合唱

太鼓曲打ち

三鼓舞

トリの金剛学園フィニッシュ

帰り道の紫式部
2005/10/22(土)●阪神キリキリ舞(>_<)●

千葉マリン球場濃霧のためコールドゲーム10時起床。完全に宿酔である(>_<)
いちにち死んでた(^^;)
夜は、張り切ってTVで日本シリーズ見たのだけど、またまた井川が不甲斐なしで、1-5、交代した橋本も打たれて1-10になったところで、球場濃霧のため試合中断。30分待って、結局コールド負けである。まあ、9点差だから怒る気にもならなかったけど、接戦でこんなことになったら大変である。今日のタイトルは明日のスポーツ新聞の見出しに使えるかも(^^;)

【萌え萌えジャパン】堀田純司 ★★★
 最近ちょっとおたくの間でブームになってる「萌え」現象のルポみたいな本である。
メイドカフェ、抱き枕、フィギュア、アイドル、美少女ゲーム、声優などのテーマ別に、当事者へのインタビューや、催し参加記録なども交えて紹介、解説、分析してあるのだが、Morris.としては、小倉優子のインタビューがあったので、借りてみた。ミーハー傾向強いMorris.だけに、「萌え」という現象わからなくもないが、さすがにちょっと違うな、ということがわかっただけでも、良かったとしよう。
ロリコンというのがあって、「萌え」とかなりかぶるところがあるようだが、いちおう「萌え」の方が新しい分だけ、洗練?されているような、どちらにしても、深入りする気も必要もなさそうだ。
あ、小倉優子のインタビューも、全く面白くなかった(^^;)

【少年たちの密室】古処誠二 ★★★☆☆ 彼のデビュー第二作らしい。東海地震でマンション地下の駐車場に閉じ込められた男女6人の高校生と担任教師。そこで二人の少年が殺害される。その謎解き推理小説というわけで、彼の作品で、戦記もの以外は初めて読むことになったのだが、ここでも一種の極限状況の中での生と死のやりとりという意味では彼のテーマが、何となくうかがえる気がする。
作品の真の主人公は、すでに死んでいて、閉じ込められた7人は彼の葬式に向かう途中だったという設定、さらには、主人公の死の謎を暗闇の中で解きほぐしていく過程も重要な部分を占めているし、複雑な人間関係、いじめ、学校側の見て見ぬふりなどの社会的問題意識も生半可でなく、筆者の力量を改めて認識させられた。
地下から開放された後、もう一人の主人公の少年が、新聞記者と事件の真相を探っていくというのが、終盤の眼目なのだが、記者と少年のやりとりにも、含蓄があるし、なるほどと思わせる部分が頻出する。やっぱりこの作家はただものではないと思ってしまった。

【未完成】古処誠二 ★★★☆☆
 著者の3作目らしい(^^;) デビュー作「Unknown」の続編?というか、同じ自衛隊コンビが、内部犯罪の謎を解くというもので、先にデビュー作を読むべきなのだろうが、しかたがない。
東シナ海に面する沖縄の端の島の射撃場で、小銃が紛失するという、ありうべからざる事件を派遣されたコンビが調査するわけだが、事件の真相究明以上に、自衛隊の人間関係や、システムの詳細な描写、分析にまず圧倒されてしまう。もしかしたら著者は自衛隊体験者ではないかとさえ思わされる。それくらいに行き届いているのだ。うーーむ、古処恐るべしである。
コンビそれぞれの個性も際立っているし、適度にユーモアを交えた書きぶりには、余裕すら感じられる。
そして、おしまいあたりで、突然在日韓国人問題への深い洞察に満ちた展開になり、またまた驚かされてしまった。

朝鮮が嫌いだからと、すべての朝鮮人を嫌う理由などどこにあるだろう。
日本が嫌いだからと、すべての日本人を嫌う理由などありはしない。
だが、この国では、いまだに他民族を見下す意識から抜け出すことができない人たちが経済を動かし、行政を司り、政治を牛耳っている。だからこそ、高須のような、「溝」には関係のない人間までが障害を受け続ける。
高須に入社試験さえ受けさせなかった会社の長も、朝鮮人を嫌いながら、「もう、わたしたちは戦争を放棄しました。平和を愛してます」などとぬけぬけと主張していることだろう。
ボケているとしか思えない。
借金を踏み倒した過去も忘れて--踏み倒されたことで今も苦しむ人がいることを忘れて--「日本人は優秀だ」などと口にする羞恥心の欠片もないジジイをメディア上で見るに至っては----

在日の人たちの中には、日本に住まわされた上で帰れなくなった人が多い。それはつまり、家族を肉食獣の檻に入れられたようなものかも知れない。--俺はそんなふうに思ってしまった。
家族が食い殺されないようにするには、憎い肉食獣のためにエサを調達しなければならないし、もしかしたら自分の体をもってその空腹を満たしてやる必要もあるかも知れない。ときには家族に肉食獣の真似をさせて仲間だと思いこませるようなプライドを捨てる真似もしなければならない----。
「半島でミサイルが飛べば、チマ・チョゴリをカミソリで切る日本人がいる」
戦争を放棄した---などという立派な主張がちゃんちゃらおかしく感じられてしまった俺だった。なんとなく猫を被っているような……。
まずいことに、この国が未完に思えてきた。
工程を大幅にはしょった、実は未完成の船に乗り込んでしまっているような心地になってくる。今まで底の水漏れに気づかずにいたから安心しきっていただけで、本当はあちこちに不満があって……。

2005/10/21(金)●haus-玉一-レーヴ●

朝風呂使って、しばらく部屋でごろごろ。
つよしゆうこ展のDM昼から三宮図書館に出て、元町南京街南の「haus ハオス」という店にいく。今日から「道具たちのすむおうち つよしゆうこ展」が開かれてるからだ。この店は1階がファッションハウス、2階が「haus diningroom」という喫茶店になっていて、作品は階段から喫茶店の壁に展開されていた。初日ということもあって、ゆうこさん本人と仲間の画家、わっくんや太田朋さんなども集まっていた。
作品は銅版画とゴム版画中心で、彼女にとってゴム版画ははじめてのこころみらしいが、素朴で大胆なタッチのゴム版画は彼女の感性にマッチしているような気がした。葉書半分くらいの小さ目のサイズというのもいかにもどうぐたちの可愛らしさを現わしているようで、好感度大である。
紅茶(セイロン ウバ)飲みながら久し振りに色々話すことができた。斉藤造園も忙しそうだが、能斗也も今年から小学校に通うようになったので、ゆうこさんの方は、ちょっと時間が取れるようになり、作品制作も前よりは自由にできるみたいだ。ゴム版画は木版画より力がいらないし手軽で良いとのこと。それはそうだろう。今回のテーマの「どうぐ」を中心にした作品は、別口の料理本のカットに小さな道具をゴム版画で作ったのがきっかけで、こういったシリーズになったとのこと。版画や、手描きのドローイングで折り本仕立てにした、小さな冊子を見せてくれたが、これは、いかにも手作りの風合いがあってとても気に入った。手描きは無理だろうが、ゴム版画なら、数点から数十点くらいなら、手作り限定版として作るのも可能ではないかと思う。厚手の和紙を使ってるところがポイントだろう。展示は、今日から11月17日(木)までなので、近くに行く機会があれば覗いてみてください。
その後、JRで大阪に出て、ソフマップ冷かそうと思ったら、梅田のソフマップのあった場所は工事中だった。どうやら閉鎖したみたいだ。仕方ないのでヨドバシカメラ冷かしてから、天満に出る。
N子さんと「玉一」に行くことにしてたのだった。この前の取材のときの写真も手渡したいと思い、オモニのいる支店に入ったのだが、何とオモニはちょうど韓国に里帰りして不在だった(>_<) マッコリと、カルビチム、チヂミ、スンドゥブチゲ、ナクチポックムなど食べる。まあ、この店はいつ来ても、何食べても美味しいんだけで、オモニがいたら話も出来てもっとたのしかったのになあ、残念。
その後、いっしょに六甲道に戻りレーヴへ。N子さんは以前この近所に住んでたので、えらく懐かしがっていた。店にはさりーちゃんがいて、後から島田さんも来た。Morris.はマッコリからビールに切り替えてジョッキを重ねて結局酔いつぶれたみたいだ(^^;)
明日からの日本シリーズの前祝いということにしておこう。


haus diningroom 展示風景

三画家記念撮影

折本仕立のゴム版画と作家

Morris.はこれが一押し

背後霊Morris.

恒例の記念写真

【柳宗民の雑草ノオト】柳宗民著 三品隆司画 ★★★☆ 著者は名前からすぐ想像されるように、柳宗悦の息子(三男)である。京都生まれで、現在は武蔵野あたりで育種花園を経営しているらしい。
本書は、主に花の可愛い雑種60種ほどを季節別に、3ページくらいの短文にまとめた植物エッセイで、それぞれに附されたカラー挿画に惹かれて借りてきた。
内容は種名、科名、別名、生態、学名をきちんと表記してあり、それぞれの種の特徴、大まかな説明とエピソードで、Morris.部屋のbotanical gardenに通ずるところもあるようだが、商売柄、品種改良や、渡来地の情報などに触れている部分が多くて、そこが他の類書とちょっとちがってる特徴ということになるだろう。植物名の語源に関しての記述も少なくないが、いまいち恣意的に過ぎるきらいがあるのが気になった。

日本名クサノオウは、切ると黄汁を出すところから「草の黄」とする説が有力のようだが、その汁が腫れ物などに外用すると効くことから「瘡の王」だという説もあり、あまり定かではない。
語源説の一つに「草の王」の意とするのがあるらしいが、どうして草の王なのかがよく解らない。意外にしぶとい性質からとも思えなくもないが、もっとしぶとい雑草はいくらでもある。薬用に使えるということを加味してもなお理解しがたい。私は、その黄汁が強烈な印象を残すので、「草の黄」説を採りたい。(クサノオウ)

「大言海」は「瘡の王」か?とした上で、「胃癌ニ効アリトス。」と記してあるから、それからすると「草の王」としても良さそうだが、Morris.は普通の草にしては大輪の黄色い花から命名されたと単純に思っていた。

このタビラコも春の七草の一つであるが、七草の歌では「ほとけのざ」と呼ばれている。ところが、植物学上でのホトケノザという植物は、タビラコとは無関係のシソ科の植物で、よく混同されて始末が悪い。
以前、某社の大辞典で、春の七草の項を引いてみたら、本文の解説は間違いなく、「ほとけのざ」をタビラコとして解説してあったが、掲載されている写真を見たら、何とシソ科のホトケノザの写真が載っていたことがある。文句を云おうと思っているうちにそのままになってしまったが、その後修正したかどうか、どうなっているだろう。(タビラコ)

タネツケバナの名は、「種漬花」の意で……と云っても何のことか解らないかもしれない。ちょうどこの花時が、発芽をよくするために、稲の種籾を水に漬ける時期に合致するからだと云う。いかにも、稲作国のわが国らしい名の付けようだ。(タネツケバナ)

わが家の農園にも、ヒメジョオン、ハルジオン、ヒメムカシヨモギのエリゲロン三点セットが至る所に生えてくる。ハルジオンは花が咲くと、その花の優しさにどうも引き抜きがたく、心の中で「ごめんヨ」と念じながら抜くが、残った根からやたら芽生え出てくると始末に負えず、憎さ百倍となる。ヒメジョオンの方は咲き出すと、ちょっと可哀想かナ、という程度。ヒメムカシヨモギは放っておけば人がかくれるほど大きく茂り、そこまでおくと大骨が折れるし、その花はどうしても美しいとは云いがたい。この三点セットの中で取り除くのに最も抵抗感がない、などと云うと差別待遇だと怒られるかもしれないが、正直云ってこれが私の本音である。(ヒメジョオン)

最近はハーブばやりで、いろいろなハーブの苗が市販されているが、この中にウォームウッド Wormwoodというのがある。これもヨモギの仲間で、ヨーロッパ原産のニガヨモギのことで、わが国のヨモギとよく似ている。ハーブというと、何でも料理に使えると思われやすいが、これは大変な間違いで、ハーブとは本来薬草のことだから、有毒植物がかなりある。トリカブト、スズラン、クリスマス・ローズなどの猛毒植物もハーブの一種で、用い方によっては、この毒成分が薬用になる。(ヨモギ)

アサマリンドウというと、信州の浅間山産かと思いがちだが、この「アサマ」とは伊勢の朝熊山(あさまやま)に由来する。学問的には植物名は片仮名で記載することになっているが、地名を植物名に付けられた場合には、片仮名ではなく漢字で書いてもらわぬと誤解してしまいやすい。(リンドウ)


動植物名のカタカナ表記が「学問的」とは思えないが、今や一般化してしまったことは否めない事実である。しかしやっぱりMorris.は地名に限らず、全ての固有名詞はできるだけ漢字表記に固執したいと思うぞ。「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」なんて表記は絶対ナンセンスだろう。そもそもの命名のナンセンスさは愛すべしである。

2005/10/20(木)●421ch改善の兆し(^^;)●

7時半起床。いい天気である。
朝風呂入って、掃除しようと思ったが、南側の工事が早くも始まってうるさいので掃除は止める(関係ないじゃん(^^;))
このところ完全に見放し状態のSTARdigio 久し振りにネットでプログラム見たら、421ch、日本のフォーク、ニューミュージックチャンネルで、ミュージシャン特集が復活してることに気がついた。4時間枠のうち2時間はこれまでと同じく寄せ集めだが、1時間ずつのミュージシャン特集2枠である。先週は「garo」と「風」、今週は「泉谷しげる」と「加川良」だった。ひさしぶりにエアチェックしてみる。泉谷はともかく、加川良はメジャーかマイナーか良くわからないシンガーだが、Morris.は結構好きだった。今週の曲目は

教訓T/その朝/ゼニの効用力について/ポケットの中の明日/悲しい気持ちで/できることなら/こもりうた/鎮静剤/かかしのブルース/つれづれなるままに/あした天気になあれ/あの娘に乾杯/ジョーのバラッド/窓辺にもたれて/オレンジ・キャラバン

の15曲で、Morris.としては「下宿屋」が聞きたかったな、という不満がないでもないが、とりあえず、久し振りに彼の声を聞けて嬉しかった。「鎮静剤」は仏蘭西の女性画家でもあるマリー・ローランサン(堀口大學訳)、「ゼニの効用力について」は独逸のブレヒトの詩(野村修訳?)にメロディをつけたもので、たしか発表当時は、作詞作曲加川良になってたような気がする。今ならとても考えられないことだ。ともかく、こうやってミュージシャン特集が復活したことには、拍手を送ろう。次は、436chジャズヴォーカルチャンネルの個々のシンガー特集復活を祈りたい。
午後から三宮に出ようと思ったが、津吉ゆうこさんからのメールで、明日から元町の「ハオス」という店で展示会やるとの連絡があったので、明日にすることにした。
神戸市でも先月くらいから分別ゴミ収集が、本格化(6分別)して、荒ゴミや、ペットボトル回収の曜日が変わったので混乱している。
1.一般家庭ゴミ毎週(月)/(木)
2.缶・ビン・ペットボトル(月2回)第2、第4水曜日
3.・粗大ごみ/金属系ごみ(月1回)第3金曜日
4.燃えないごみ(月1回)+5.・カセットボンペ・スプレー缶(月1回) 第1金曜日
6.大型家具。自転車(電話申し込み)

明日は粗大ごみということになるな。小型の電化製品はこれに含まれるらしいから、インクジェットプリンタでも処分することにしよう。

【冬の女たち】久世光彦 ★★☆ 「死のある風景」という週刊新潮に連載したものをまとめたもので、単行本3冊目らしい。60歳から連載始めたとある。長さは一定していないが総じて短文で、エッセイでなく随筆だと本人は言い張っているが、ほとんどコラムに近い。テーマとしての「死」にむすびつけるために、いろいろ苦労もしてるようだし、とりあげる人物も作家や著名人、身近な友人知人と、多岐にわたっているが、とりあえず著者が死ぬまで書きつづけるつもりでいるみたいで、そこのところが面白いと言えなくもない。

ほんの四、五年前まで、毎朝の新聞の死亡記事からまず読む習慣があったのに、このごろそれがなくなった。つまり、死者の年齢が、いまの自分より上か下かが気になって仕方がなかったのが、さほどではなくなったのだ。別に、この世の命を悟ったわけではない。長生きの自信が生れたのでもない。六十半ばというのは、ある端境期というか、エア・ポケットというか---風の凪いだ束の間の<時間>なのではないかと思う。(場所)

こういった御託は、個人の好き勝手であるが、

こんどの事件で、アメリカは炯(ひか)る眼の狼になるだろう。それがアメリカの矜持である。それに引き比べ、私たちは、自分たちの国がどんなに辱められても、人の好い温和な眼をしばたく羊でありつづけなければならないのだろうか。(God Bless America)

などという、アメリカの「愛国主義」を曲解援用したようなモノローグには付き合いたくもない。更には、「炯(ひか)る」などという難しそうな漢字使う前に、「しばたく」などという舌足らずな誤用をしないよう願いたいものである。

【人生の特別な一瞬】長田弘 ★★★ 2005年3月発行だから、著者の最新作といえるだろう。しかし、読後、これは詩集じゃないよな、と思ってあとがきを見たが、特にことわりはない。表紙カバーの袖に「詩人の新しい詩文集。余韻あふれる32編」と書いてあった。これはたぶん編集子が書いたんだろうが、その苦労がしのばれる表現なんだろうな。
明記はしていないが、どうやら「旅行読売」に連載されたものみたいだ。いちおう散文詩みたいなものが、並んでいるが、Morris.には、これらはとても、詩とは思えない。あちこちに行ったり見たりしたことの感想めいたものが、乾燥した筆致で綴られているようにしか見えないのだ。
以前から愛読者とまでは言わないが、結構、関心もって読みつづけてきた著者だけに、いまさらこんなものを「詩文集」みたいなものとして出されてもなあ、という感想を覚えるしかない。
「メランコリックな怪物」「言葉殺人事件」そして、最高傑作「世界は一冊の本」を書いた長田弘だけに、Morris.のがっかり度が大きいことを理解してもらいたい。何も考えずに読めば、本書のあちこちにも、それなりに含蓄のある言葉や、美しい表現が無い訳ではないのだ。ただ、Morris.としては、彼の、もっともっと良いものを知ってる(と思い込んでる)だけに、物足りなさを感じることになるのだ。

紙は水なり 長田弘

しっかりとしてうつくしく、しっとりとして手に優しく、それでいておそろしく強靭で、あくまでも渋い。和紙というのは、まったく独特の、ふしぎに懐かしい紙だ。
紙は水によわい。紙の、水は天敵だ。けれども、和紙はちがう。水につよい。それもめっぽうつよい。紙は紙でも、和紙という紙は、もともと水の紙とされる紙なのだ。
「紙は水なり」。江戸時代には、和紙漉きは、そう言われたらしい。
「夫、紙は水を以て製す。古人曰く、紙水一斗を損すといへり。一紙の紙といへども、水一斗を損して、白紙となる」(山本和『紙の話』による)。
流れるという水の条理を、よく活かすことができるかどうか。水のつかい方で、水際だった仕上がりにも、水の泡にもなってしまうのが、和紙とされる。
旅の途中、和紙をつくる小さな町の小さな工房で、紙漉きの実際をみせてもらったことがある。
きれいな水をいくどもくぐってきて、水の滴るしなやかな紙ができてくる。かたちなき水のかたちとなって生成してくる、和紙という紙のたおやかさ。
目に見えるものが、もののすべてではないのだ。目に見えるもののなかには、かならず、目に見えない、本質的なものが隠されてあるのだ。
「紙は水なり」
ひとの記憶を確かにするものは、いつでも見えるものが隠している、目には見えないものにふと触れたと感じられるときの感触だ、と思う。しっとりとして優しい一枚の和紙が、そのときおしえてくれたことだ。

このタイトルには惹かれたのだが、それが古人の言葉だった(^^;) というのはまあ、それはそれでもかまわない。しかし、それならそれできちんと引用してくれよ。孫引きというのはあんまりだし、その後の、安っぽいギャグめいた比喩がさらに足を引っ張る。
結びの哲学公理めいたフィニッシュにも、いまいちキレがない。ぜったい、彼の力量はこんなもんじゃなかったはずだ。
長田弘は1939年生れで、Morris.のちょうど10歳年長で、「世界は一冊の本」が94年発行だから、今のMorris.くらいの年になってから、あの素敵な詩を書いたことになる。あの詩を書いたそのときこそ、長田弘の「人生の特別な一瞬」だったのではなかろうか?!

【サイバラ茸2】西原理恵子 ★★★ 他人の小説やエッセイなどに付随したサイバラマンガだけを切り取って一冊に、いや、2冊にした本の2巻目である。数年まえに本屋でこれを見たときにはちょっと鼻白んでしまったが、結局こうやって読まされてしまい、それなりに楽しまされてしまったのだから、手に負えない(^^;)
大部分が清水義範の「面白くても理科」「どうころんでも社会科」などのシリーズ5冊分で、他にロッキンオンの「渋松対談」や「怒涛の虫」などからの抜粋で、Morris.もそのうちの数冊は読んだはずだが、確かに記憶に残ってるのは、サイバラのマンガだけ(^^;)だったこと間違いなしということを、再確認させられた。サイバラ恐るべしである。
投げやり、開き直り、埋没、逃げ、能天気、居丈高、居直り、ばっくれ、ノンシャラン、破天荒、反則、裏ワザ、怒り心頭、ゲログロ、何でもありのサイバラ世界は「真物」であることが、読めば分かる仕組みになっているわけだ。
大出し小出しの恐ろしい過去のあれこれもすごいし、ラッセン(ヒロヤマガタ、ケンダン(Morris.は知らんが)含む)へのストレートな嫌悪表現だけでもMorris.は肩入れせざるを得ない。サイバラ、サイコーッ!!でも、お近づきにはなりたくないかも(^^;)

2005/10/19(水)●「韓国へ行きたい!」●

としろう、浅海君と大阪土佐橋の倉庫に保管荷物取りに行き、鷹取駅のコンテナセンターで5tコン詰め。午後は倉庫作業だったが、昼食は日之出屋食堂で、マグロのすき身と天麩羅食べることが出来て、大満足。矢谷君が日之出屋店閉めてるみたいだと言ってたのでがっくりしてたのが、今日偶然前を通ったら営業してたのだった。おっちゃんもおばちゃんも元気そうだったから、大丈夫なんだろう。良かった、良かった(^o^)
そらさんの2冊目の韓国本、中表紙数日前に買ったそらさんの「韓国へ行きたい!」(メイツ出版 あんそら著)を読み終えた。この本はそらさんの2冊目の韓国本で、先月校正刷りを見せてもらったときにも、感心したのだが、やっぱりちゃんとした本になると雰囲気が違う。1冊目の「イラスト徹底ガイド ソウル」はタイトル通り、ソウルのガイドブックというイメージが強く、記事は活字だったが、今回の本は文字はすべてそらさんの手書きそのままである。ワープロ全盛で、今や私家版でもほとんどがワープロ文字のいまどき、この手書き文字が実に新鮮な感じを与える。見出しやタイトル文字は色鉛筆を多用してこれまたいい味を出して、いっそ贅沢な感じがする。見開きのソウル地下鉄路線図などは、感激ものだった。
オールカラーで、小さいながら多数の写真もほとんどがそらさん自身の撮影によるもので、田中ひろこさんのイラストも控えめながら、ツボを押さえてるし、そらさんをモデルにしたお姉さんが韓国を目一杯楽しんでる姿が生き生きと描かれている。
内容は「ソウル釜山の市場めぐり」、「韓国料理総ざらい」、「仁川、水原、春川、束草、巨済島、安東などの地方巡り」、おしまいに「ダイエットクリニックや占いやのど自慢見物、テーマパークなどの体験記」と、盛りだくさんである。Morris.の行ったことのあるところが半分以上あるが、同じ場所でも視点や力点が違うところが面白い。
Morris.は、ガイドブックと言うより、リキの入った「そらさんの韓国旅行絵日記」として楽しんだのだが、ほんとうに良く食べ、良く歩き、良く見物してることに感心した。大きな書店の海外旅行コーナーには、たいてい置いてあると思うので、機会があれば一度手にとって見るように。もちろん気に入ったら買ってくださいね。(\1,575) 
Morris.亭のプリンタ、2台とも死に体ということは前に書いたが、カラーのインクジェットはもう処分するつもりである。白黒のレザーの方はいろいろ問題はあるというものの、目下の問題はトナー切れだったから、ネットで探したら、リサイクルトナー(詰め替え)通信販売があった。これだと新品の半額くらいで買える事がわかったので一昨日注文したら、今日届いた。代金は1週間以内に振り込めばいいとのこと。とりあえず、これで何とかプリンタ復活である(^o^)

2005/10/18(火)●東灘図書館●

先日のジャグバンド祭り参加者数名から、あの日のビデオ欲しいとのメールが来てたので、PCでまたDVD作成ソフト使っていろいろやってみた。とりあえず作ってはみたものの、一般DVDプレイヤーで見ることができるかどうかわからないし、作成途中に「キャンセル中です」の表示が出て、2枚続けて書き込みエラーになったりもした。現在Morris.亭のメインのデスクトップhigashi4号は、RAMメモリ512MBだが、映像扱うにはこれでは不足なんだろうか?
春待ちの社長が、数日前にVHS+DVDレコーダ買ったらしいので、テストも兼ねて、作成したDVD持って行く。3枚作ったうち2枚は再生できたが、1枚は×(>_<)。PCでは見られるのだから、全く駄目ではないのだが、どうも、ややこしい。巻田さんあたりにお願いして、いろいろ教えてもらえたらありがたいのだが。
今日は昼から、自転車で東灘図書館まで行った。阪急岡本とJR本山の間にあるこの図書館は、地震前には定期的に通ってたのだが、灘図書館が六甲道駅前に出来てからは、ほとんど利用しなくなってた。
自転車でもちんたら行けば30分くらいかかるので、それほど近いとも言い難いが、最近は、市内の図書館の本は、どこの図書館に返却しても構わないので、返却は灘図書館で済むのがありがたい。今回久し振りに出向く気になったのは、古処誠二の本がここにあることを神戸市図書館情報ネットワーク詳細検索OPACで知ったためだ。図書館のIT化で、この検索が自宅からでもできるようになったのは、これは本当にありがたい検索機能である。その割にMorris.はあまり活用してるとはいいがたいけどね(^^;)

2005/10/17(月)●阪神の相手はロッテ●

10月第一週「歌謡舞台」に、パンミが出演して、名曲「オルカウレンサランハルコヤ」と「ナルボロワヨ」を歌った。チュヒョンミも出たし、キムシスターズやイシスターズなどの古い女性コーラスグループの貴重なビデオも流れた。今回は清渓川路復元記念で、ソウルの歌が多かった。
煙草屋に葉書を買いに行ったら、例の看板猫がここ数日食欲を無くして何も食べないとおばあちゃんが心配してた。まだ6歳くらいらしいから老衰ではなさそうだし、何となく気がかりである。
ジャズストリート二日目に撮影に来てた嘉穂郡稲築町の林さんから春待ちのデジカメ画像データがCDROMで送付されてきた。当日ちょこっと話して、いいのがあれば、2,3点メールの添付ファイルで送ってもらえれば嬉しいと話してたのだが、こんなにどかんといただけるとは思わなかった。Morris.とはかなり違う角度から撮ったものもあるので、後日写真ページに追加しておこう。感謝。
夜はパリーグプレイオフ最終戦だったが、7時から歯医者予約だったので、携帯ラジオ持参で行く。治療は早めに終わったので、8時前からはTVで見ることが出来た。今日も接戦だったが、結局ロッテが粘り勝ちで、31年ぶりのリーグ優勝を決めた。22日の日本シリーズ第1戦は千葉で、阪神-ロッテの戦いということになる。まあどっちでもいいか(^^;)


パンミ

イシスターズ

今日の工事現場
2005/10/16(日)●あまりにお粗末な北京マラソン●

9時起床。いい天気だったので、洗濯しながら、朝風呂つかう。10時から「北京マラソン」というのをやってたので、見るともなくTVチャンネル合わせる。男子、女子時間をずらして同じ日に行うもので、日本からの参加は男子数名、女子は一人と、よくわからないものだった。男子はケニアの選手が、2位を大きく引き離して、ゆうゆう一着ゴールインしたのに、誘導ミスで失格となった。競技場に入る直前の折り返し位置を間違えたらしいが、あまりにお粗末な不始末である。後でニュース見たら、結局優勝は認められたが記録は無しということになったらしい。先導車がランナーから離れてしまい、ランナーが近道したTV中継車について行ったとのことだが、国際大会でそんなことがあるというのが信じられない。走行中もランナーのすぐ脇を多くの一般自転車が伴走してたし、2008年のオリンピックやる国の仕儀とはとても思えない。女子は中国選手同士のデッドヒートだったが、何となく面白みに欠けるレースだった。
午後から元町に出て、阪神理容で散髪して、歩いて中央図書館に行く。
今夜のパリーグプレイオフはTV大阪で中継してた。結果は3-2でソフトバンクが勝ってタイに持ち込み、明日阪神の相手が決定することになった。

【流れ星の冬】大沢在昌 ★★☆☆ 戦後の混乱期に盗賊団やってた初老の主人公(短大の教授)が、仲間とのごたごたもあって、過去の決着を付ける羽目になるという、よくわからないストーリーで、ゲイの甥やら、死んだ仲間の娘との情交やら、恋人の銀座のママやら、いろいろ小道具を使って賑やかにしたてたつもりだろうが、いかにも嘘っぽいままで終わってしまってる。10年以上前の作だし、いわゆる書き飛ばした作品なんだろうが、時間つぶしにはなった。

「じゃ電話をしなさい」
琴美は頷いた。葉山はサイドボードにのったコードレスホンを手渡した。琴美は受けとり、ボタンを押した。
電話機を耳にあて、葉山を見た。
「車に電話すると社長がでるかもしれないから、ポケットベルで呼びます」
「かまわない」
電話機を耳からはずし、再びボタンを押した。

こんなやり取りを見ると、いかにも古くさいと思わずにいられない。「ポケットベル」というのは、近いうちに解説無しではわからない謎の機器になってしまうんだろうな。

2005/10/15(土)●面白すぎるパリーグプレイオフ●

朝から雨。矢谷君と、午前中は西宮のアメリカ向け小口荷物のピックアップ。午後は魚崎にシンガポールからの引越し荷物配達。
予定より早く終わって4時前に帰宅。
夜はラジオで、パリーグプレイオフ。王手をかけたロッテが8回までで4点リードで、阪神の相手はロッテだなと思ってたら、9回裏にソフトバンクが、ヒット、敬遠、押し出しなどでなんと4-4に追いついてしまった。面白い(^^;) しかし、なんでこの試合TVで放映しないんだろう。ラジオもNHKだけだもんなあ。結果的にはソフトバンクが10回裏にサヨナラ勝ちで、明日に望みをつないだ。というより、ロッテのショックが大きすぎると思う。9回二死二、三塁の場面で、何でこのプレイオフ11打数無安打の松中を敬遠したのが敗因だが、魔がさしたとしか言いようがないだろう。こうなると、阪神の相手は、全くわからなくなったぞ。

【ソウルで新婚生活】たがみようこ ★★★☆ 95年に北京留学で知り合った韓国人男性と遠距離恋愛関係になり、2000年に結婚して、韓国暮らしを始めた著者が、インターネットの日本語学習サイトで連載した4コマ漫画とミニエッセーを本人が日本語に訳したものである。漫画には元の韓国語も付いているので、半分勉強の意味も兼ねて借りてきた。
漫画は趣味らしく、決して上手いとは言いがたいのだが、著者本人のキャラが変に可笑しい(服も髪もないシンプルスタイル)し、韓国へのスタンスが、気負わず自然で、しっかり見るところは見てるし、要するになかなか面白かった。
漫画の会話文も短いながら、実に自然な言葉遣いで、旦那が韓国人だけに信頼感ももてる。彼女に限らず、こういった素人なりに読ませる韓国関連本が出てきたというのも、韓流ブームの一余滴なのかもしれない。
型見本として、1篇まるまる引用しておく。

恐ろしいことに、韓国に住んでたった四年でもう日本語が怪しくなっている。日本にいたときからすでに怪しかったという声もあるが、とにかく何十年も使ってきた母国語能力がこんなにもろいものだったとは自分でもショックだった。
日本の情報にあまり触れていないから、携帯やインターネット関係の新しい言葉、時事問題、流行語、ギャグ、人名などになかなかついていけない。やっとギャグを覚えた頃にはすでに死語になっていたりする。
時には日本語の会話の中に、自分でも気づかずに韓国語の単語をまぜて話して日本人に変な顔をされることもある。
話し言葉でさえこれだから、書く機会の少ない漢字などはもうめちゃくちゃだ。小学校から漢字テストに費やした時間と労力は一体何だったのか…。
日本語から遠ざかっているからといって、代わりに韓国語がぐんぐん上達してるわけでは決してない。ある程度生活できると、それ以上勉強しないのが悲しい人間の性である。私だけか。
とにかく言葉とは、常に見聞きし使い続けないと、どんどん追いつけなくなるもののようだ。(「ショック」)


言葉に関する考察も、こういった風に、何気なくおしゃべり風に述べながら、要点はきっちり把握していると思う。これはMorris.のこれまでの韓国語学習傾向にとっても、ちょっと兎の逆立ち(耳が痛い)な文章だった。

2005/10/14(金)●初 映像アップ(^^;)●

4時に起きて、矢谷君とタクシーで、事務所へ、5人で、名古屋中区の独逸向け荷物のピックアップ。
昼食は近くの中華で唐揚げ定食。これが味はまずまずだったが、その量の多いこと(@ @)
8時に帰宅。
巻田さんから宅配メール便で、映像ファイルが送られてきた。東京ノレチャランのMorris.の出番だけを切り取ったものだが、これが「wmv」という拡張子のファイルで、これだと容量6MBちょっとしかない。ちなみに、Morris.がHDDに保存してる「mp2」ファイルだと100MB近い。これではとても、Morris.部屋にアップなんて考えられなかったのだが、6MBなら、これまでに使ったMP3の音声ファイルとそれほどサイズ変わらない。ということで、とりあえず。歌ってるMorris.の映像をアップすることにした。たしかに、コマ抜け感は否めないが、KBSのアーカイブより見やすいくらいだ。巻田さんありがとうm(__)m

2005/10/13(木)●朝鮮語講座再開●

9時起床。今日もピーカンに近い晴天で、また暑い(^^;)
昨日PCに保存したジャグバンド祭りの映像をディスクに保存しようと悪戦苦闘する。
とりあえず編集すんで保存始めたがこれが、延々と作業中の表示が出っぱなしである。ちゃんといけてるのかどうか不明状態で、3時間近くかかって、やっと保存できたみたいだが、メニュー見るとやたら汚い(>_<) 映像の方はまあ普通なのだろうが、まだまだソフトの扱い方がよくわかってないような気がする。
南側の工事はとんでもなくうるさい事になってるようだ。ほとんど喧騒の中で暮らしてるみたいだった。
夕方センターに行く。半年振りに朝鮮語講座聞き取りクラス再開。前回通ってた信長さん、朴幸子さん、藤井さん、鹿嶋さんのほかに久し振りに寺岡さんの顔も見えた.金水静先生とも久し振りだったが、思ったより元気そうだったので安心した。今回のニュース教材をテープからMP3プレイヤーのマイクで録音。まあ、充分語学学習には使えると思う。
途中からそらさんも見学に来る。
講座のあと5人で韓国食堂「トゥルミ」で軽くやって11時過ぎ帰宅。明日は早起きして名古屋である。


Morris.亭南の工事本格化

六甲道の夕暮れその1

六甲道の夕暮その2

【接近】古処誠二 ★★★★ またまた彼の戦記ものである。舞台は沖縄。ハワイ出身の語学兵が出てくるし、前に読んだ「七月七日」の続編みたいな感じだが、こちらの方が先に書かれたものだし、主人公は沖縄の小国民(国民学校生)である。
沖縄防衛ラインの崩れと、地元民との軋轢、逃亡兵の横暴、琉球を植民地のように思う内地から来た皇軍の意識、ここでもまた戦争の悲惨さといった図式的なものを超えた、著者一流の分析がなされているし、状況や人心の活写には目を見張るものがある。

北里中尉は、弥一の目をのぞき込んだ。
「安次嶺。人の行動というものは、第三者が簡単に推し量れるものではないということだ。逃げてきたという朝鮮人軍夫にしても同じだ。君の言う通り逃げてきたのだとしたら、それは確かに誉められたことではない。だが逃げる理由にしても怖かったからだとは言い切れはしない。むしろ、いつ砲弾が飛んでくるか分からない後方の方が、ここでは危険だとさえ言える。首里やその北方の住民が、前線が近くとも壕を出ることをためらうのはだからでもある。違うか? 少なくともわしは石兵団からの離隊者にとやかく言うつもりはない。君も少しは許容することだ。気にくわないことすべてに憤っていても君が損をするだけだ」
暗に、壕の住民たちとも折り合う努力をしろと言ってるのだと感じた。


そして、恐ろしいほど悲しく美しい結末。こういった小説を書ける人格とはどういったものなのだろうか。Morris.は、畏怖を覚えるしかなかった。

少年は標準語のままだった。それは、より日本に近づくために沖縄県民が習得した言語だった。標準語を話せることと標準語を発音することが根本的に違うのは、サカノ自身が体で知っている。日常をすべて同化に傾けなければ違和感のない言葉は身に付くものではあに。少年の完璧な発音の日本語は、琉球処分以降の沖縄を象徴していた。苦悩の結晶であり、方言撲滅運動というアイデンティティを否定するような苦痛の結果だった。

著者の視点には、いつも言語を通しての支配者の傲慢さへの批判が含まれている。だからこそフィクションがそれ以上の重みをもって迫ってくるのだろう。ふーっ、である。

2005/10/12(水)●もどり夏●

9時半起床。天気がいいので、洗濯、掃除済ます。
何となく蒸し暑い。やたら蚊が出ている。Morris.は、あまり血が美味しくないらしく、数人いたら、たいていの蚊は他人のところに行くのだが、一人だとそうもいかなくて、えらく刺されてしまった(^^;)
南がわの工事は本格化して、朝から地面掘り返しているようで、うるさいし、地震みたいに部屋が揺れまくっている。
午後灘図書館に行き、食料買い出して帰宅。夜はジャグバンド祭りのビデオ画像をPCに取り込む作業。結構これが時間を食う。ディスクに焼くのは明日にしよう。
島田和夫部屋スケジュール変更。

【ルール】古処誠二 ★★★★ 彼の本読むのは2冊目だが、うーーむ、大したもんである。これも戦記もので、フィリピンでの日本軍の敗走と飢餓の記録であるが、やはり細部の描写が凄いし、上手い。
食べるものも、鶏や水牛、味噌、米から、生の芋や野菜、そして、血を吸った蛭、果ては竹炭、虫にいたり、更には弱った仲間に自分の血を飲ませることまでやって、そうして、行き着く先は人肉食いである。
しかし、それを決して興味本位でなく、たんたんと写しながら、きちんと回りの状況や人間関係を見据えながら綴っていく力は、おそろしいくらいである。

はじめに言葉ありき。
クリスチャンの朋輩が言った言葉だ。
聖書にはそう書いてあるららしい。
鳴神の耳に届く三種類の言葉はしかし、言葉など大した問題ではないことを教えてくれている。むしろ、統一されすぎた言語は人を容易に欺く。対象の姿を自在に欺瞞してしまうそれは諸刃の剣だ。退却を転進にし、集団自殺を玉砕にし、敗北を勝利にする。そんな偽りの言葉を必要としてしまう人間の集団など、所詮老いを化粧で誤魔化しているだけだ。
気づくのが遅すぎただろうか。
バベルの塔を崩壊させたのは言語の混乱だったと聞いた。言語が混乱することで文明の進歩が止まるのだとするならば、人はそれぞれの土地と言葉とだけで生きていくのが分相応なのかも知れない。現に今、鳴神の耳に届く三種類の言葉は、人間生活の基本的な響きを持っている。渾然一体となったそれは思考や理解を必要とせず、直接体に染み込んでくる。イゴロットの老婆がどんな表情で、どんな身振りをしているかが手に取るように分かる。それで充分だ。


言葉の根源についても、これだけの考察が出来る著者ならではの、創作境なのだろう。
捕虜になったアメリカパイロットと日本兵の不思議な関係、そして、ラストで米軍の手に落ちた日本兵士の末期のパイロットへ願いの言葉の重さも、この著者だから書くことが許された、というべきだろう。

「お願いがあります。うちの中隊はみんな戦死したことにしてください。お願いですから」
ゲリラに襲われて消滅したと嘘を吐き通すから協力してくれ--脚を揃えて土下座するヤギサワは、オースティンにだけ聞こえる、しかし力のこもった声で言った。
「すべて忘れてください。私たちが飢えて死んだとか、何を食べていたとか、仲間同士で殺し合ったとか、そんなことは誰にも言わないでください。お願いですから」
遠巻きに集中する日本人の虚ろな目も、アメリカ兵の何事かといった好奇の目も構わず、ヤギサワは地面に頭をこすりつけた。
「もしあなたが、私たちのことをあちこちで話すようなことがあったら---」
全身の力を動員してしゃべる彼は、濁り澱んだ目を向けてきた。
「絶対に許しません。あなたが小隊長殿や軍曹殿の尊厳を踏みにじったとき、自分は、あなたを絶対に許さない。たとえ魂魄となってもラッセンに近い町までおいかけて---」
殺します。
そう告げる彼の目から涙が落ちた。


本当に、ひさしぶりに骨の有る作家に出会えた。しばらく彼の作品を追いかけてみよう。

2005/10/11(火)●ありさ鬼嫁●

8時起床。また雨だ(>_<)9時過ぎに事務所に寄り、所用を済ます。
帰りはぷらぷらと阪神沿いを歩いて、Joshinで生DVDなど買って昼前に帰宅。
鬼嫁日記の観月ありさ昨日一昨日のジャズストリートと、ジャグバンド祭りのビデオをダビング。ジャグバンドの楽屋は、照明の関係でどうしてもピントが合ったり合わなかったりする。次回からは固定焦点にしておいた方がいいかもしれない。
今日から観月ありさ主演のドラマ「鬼嫁物語」が始まった。これは稲田さんからの情報で知ったのだが、「ぼんくち」以来どうも彼女の活躍が目立たないのでちょっと心配だった。今回の作品は、ネットブログで連載された実録ものらしいが、ありさが、自己主張の強い恐い嫁を演じるというのは、Morris.としてはまさに「恐いものみたさ」だったが、どうも、彼女にはミスマッチな役みたいだ。旦那が夜半にこそこそとブログを打つ場面でエピソード完結するという、細切れパタンだし、どうもテレビドラマがネットに擦り寄ってるような感じもいただけない。
ところで、ジャズストリート初日(10月8日)の昼間のデジカメ画像、PCに保存する前に間違えて消してしまってたことに今日気がついた。小野さんの派手なフェイスペインティングや、女の子に囲まれた弦の画像など全て消滅である。すまんm(__)m

【イベリアの雷鳴】逢坂剛 ★★★☆☆☆ 彼のライフワークと銘打った連作の第一部で、先日その第三部を読んでから、この初篇を読んでなかったことに気付いて、あわてて借りてきた。
第二次大戦に日本が巻き込まれる時期のスペインを舞台に、日系ペルー人の宝石商北都昭平が主人公で、三部に出てくる人物の大部分がすでに登場している。本書はたしかに良質のエンターテインメントの佳作といえるだろう。
ヒトラー、フランコ、ウィンザー公など歴史上の有名人も出てくるし、北都が偽装結婚するスペイン女性ペネロペとのなれそめ、イギリス女性スパイとの出会いも描かれていて、やっぱり、こちらを先に読んでおけば、三部ももっと面白かったかもしれない。
内戦後のスペインの状況などは、さすがによく調べているようで、まるでノンフィクション、ルポを読んでるような気にさせられたりもした。
スパイ小説という趣はあまりなく、どちらかというと歴史小説みたいでもある。このくらいの作品ができると、ついつい続編を書きたくなるよな、と思わせるくらいに、よく出来ている。

2005/10/10(月)●珈琲香房●

10時起床。雨模様である。香介といっしょにとりあえず、昨日の道を眼鏡さがしがてら、ビール買いに出る。やっぱり眼鏡は見つからない。昼過ぎまでうだうだと飲んで、山神山人でラーメン食って、阪神で今津に出て、久し振りに三浦さんの店、珈琲香房に行く。途中ファピョンさんから電話が入り、退院できたので、久し振りに会おうとのこと。香介と別れて、近くの古本屋蝸牛を冷かしてから大阪に出る。疲れてたしちょっと早かったので、環状線2周する(^^;)
7時半に「恵子」でファピョンさんんと落ち合う。肝臓で入院してたとのことだったが、思ったよりは元気そうだった。店には、団体が二組来ていて、どちらもが、日本の歌謡曲専門でちょっとがっかり。10時くらいになってやっと彼らが帰ってからは韓国歌謡モードに切り替えて1時間ほど熱唱。ファピョンさんは禁酒状態なので、帰りは車で、森ノ宮まで送ってもらう。帰宅は1時前だった。


雨に濡れた朝顔

眼鏡無しの中江君と三浦さん

鶴橋の町工場?
2005/10/09(土)●ジャズストリート2日目●

11時に新神戸到着。今日はピーカンといっていいくらいの青空が広がっている。
今日は12時、2時、4時と1時間空きを入れての3回演奏。福岡県嘉穂郡の林さんが京都への研修旅行を抜け出して春待ちファミリーBAND撮影に来てくれてた。
メンバーの半分は、昨日楽屋から打ち上げに行ったらしく、ちょっとお疲れ気味。一回目、二回目は、昨日のジャグバンド祭りの参加者が一部混じって演奏。3回目ラストは、岡山デキシーの女性洗濯板と踊りのお姉さんが舞台に花を添えてくれた。
打ち上げは、新神戸アベニュー3階の「しゃぶ扇」。秋本一家、中江君、堀姉妹、さりーちゃん、谷尻さん、東京のするするさん、松尾の息子も参加、ゲストは仙台ハッチボッチのみほちゃんといくちゃんくらい。それでも、総勢20人近くで、なかなかの盛会だった。
おしまいには記念写真を撮って解散。Morris.と中江君は、いくちゃんを送りがてら元町のビアハウスで一杯傾ける。
その後、中江君と二人六甲道に戻り、レーヴへ。ここで、またMorris.はカウンタで寝てしまったらしい(^^;)
気がついたら零時過ぎて、中江君と一緒にMorris.亭に戻る。ところが途中で中江君が座り込んで眼鏡が無くなったと騒いでいる。とりあえず、部屋までつれて帰り、レーヴまで眼鏡探しに行く。店には無いし、お客さんが、中江君が店を出るときは眼鏡かけていたと、はっきり覚えていた。店を閉めるところだったママと客と3人で、また道を探しながら歩く。結局見つからず、ママがちょっとお茶でも飲んでいこうと言うので、3人でサンディズサンに入り、ビールおごって貰う(^^;)
部屋に戻り、ともかくも中江君布団に寝せてMorris.もベッドによじ登って寝る。


漏斗状の花に惹かれる

ちっちジュニアたち

岡山デキシーのひとみさん
2005/10/08(土)●ジャズ&ジャグ●

9時起床。やっぱりあまり天気は良くない。天気予報では、午後から本降りになるようなことを言ってたのでちょっと心配である。
バスで新神戸に出るつもりだったが、社長が、車で行くと連絡があったので、便乗する。新オリエンタルホテル11Fクリスタルルームが控え室で、何かいつもと違って豪華な控え室だ。
今日は1時、3時、4時からの3回演奏というちょっと変則な出番だった。1回目は雨は小降り。まあ、ステージも客席も屋根はあるので濡れるわけではないのだが、オープン部分は雨だとつらい。
今夜は北野T2楽屋で第6回ジャグバンド祭りがある。もちろん春待ちファミリーBANDも出るのだが、全国各地から12バンドも出演するので、大変なことになりそうである。すでに前乗りしてるバンドもあり、今日の新神戸のステージでも、春待ちのバックに次々と登場、いつもにまして賑やかなステージになった。
2回目からは、ますみちゃんや、NAMIさん、谷尻さん、ちっちなども見に来てくれてた。
6時過ぎに楽屋到着。すでに場内はミュージシャン右往左往状態。Morris.いち押しの東京おかわりボーイズも来ていて、何とこけしちゃんから、レアなペコちゃん人形を貰ってしまった。全長17cm位の色白の中型ペコちゃんだが、眉毛が吊上がり気味で、見る方向によっては、すごく怒ってるみたいだ。いや、こんなペコちゃんははじめて見たぞ。何となくこのところ落ち込み傾向のMorris.にはお誂え向きのカンフル剤になりそうだ。こけしちゃん、有難うm(__)m
ジャグバンド祭りは、小谷君が中心になって、6年前から、元町シャギーで始めた催しだが、シャギーが閉店したため去年からは楽屋を使わせてもらっている。
初っ端が春待ちファミリーBANDで、当然Morris.はビデオ撮影係りだが、これ以下のバンドを全て撮影するのは無理なので、1バンド1,2曲ずつくらい撮影することにした。参加バンドは、北海道のキッコリーズ、仙台のハッチポッチ、東京のおかわりボーイズ、西洋松坂のカウカウホットクラウズ、長野の飯山ガキデカストンパーズ、大阪の西洋洗濯団、岡山のレイジーボーンズ、そして日本ジャグバンドの総帥ムーニーさんなど、錚錚たる面々である。
遠来からのバンドも多く、メンバー一部しか来られないケースが多いので、他のバンドのメンバーが入れ替わり立ち代り、ヘルプに入る。最初から最後までジャムセッションみたいな感じでもあった。
トリのムーニー&Massyも、3曲目くらいからは、オールメンバー総出で、盛り上がって、盛り上がって、盛り上がってフィナーレとなった。演奏終了時点で午前零時過ぎてた。結局Morris.は、ビデオに気をとられて、酒は一滴も飲まずだった。明日のこともあるし、それなりに疲れてしまったので、松尾君と一緒に店を出て、JR最終で帰宅。
今日、明日のジャズストリートと、ジャグバンド祭りの画像は、また別ページ「2005ジャズ&ジャグ写真帳」を作ったので、そちらを見てくださいm(__)m


夜のモスク

怒ってるの?ペコちゃん

凛々しいとも言う(^^;)
2005/10/07(金)●被弾図書

朝から雨である。明日、明後日のジャズストリートの天候が気になるところだ。
雨の中、Morris.亭の東南側の割と広いほうの駐車場に作業員が入り、工事の準備を始めている。もしかしたらマンションが建つのかもしれない。真裏でないのがまだしもだが、それでも高層マンションだとかなり雰囲気が変わることだろう。
昼から中央図書館に行く。1階の展示コーナーでは「戦災と図書館」と題して、GHQ削除印のある図書や、昭和20年神戸空襲時に被弾した図書などが 展示されていた。終戦詔勅当日の来館者35人という記述が目を惹いた。いちおうあの日も、図書館は開館してたんだ。


工事始まりそうな駐車場

昭和20年被弾した図書

雨に濡れた撫子

【狐闇】北森鴻 ★★★☆ 旗師、冬狐堂こと宇佐見陶子シリーズで、彼女が謀略で飲酒運転事故と贋作造りの冤罪で骨董商免許を取り消されたところから始まる。明治の仁徳天皇陵盗掘から延々と続く旧家のお家騒動に巻き込まれる中で、別のシリーズの蓮杖那智も登場して、一緒になって事件の解明にあたるという、なかなか凝った展開だし、事件の発端が三種の神器の一つである三角縁神獣鏡だったり、堺県令で蒐集魔税所篤が出てきたり、征韓論と明治政府の目論見、蘇我氏、物部氏、弓削氏の古代の争いまで遡る仮説のオンパレードに、民俗学やら骨董の薀蓄も満載で、けっこう楽しませて貰ったのだが、いつものことながら物語の終息がほとんど滅茶苦茶で、肩透かしである。

【プロレタリア文学はものすごい】荒俣宏 ★★
 つい中西伊之助なんか読んでしまった勢いもあって、借りてきたのだが、なんだ、これは(>_<)の一冊であった。これは平凡社新書だが、最近の新書の氾濫は玉石混交というよりほとんどが滓ばかりではないかと思わされてしまう。
「読んでみれば予想外に楽しめる」というイントロの書き方からして、もうこれは駄目だろうな、と思ってしまった。無理やりに現代の視点でプロレタリアものを見直して、おもしろおかしく冷かしてみようという意図が見え透いているし、内容はそれを上回る(下回る)出来としか言いようが無かった.中西に関しては、平凡社に出入りしてた作家たちの中に含まれているくらいで、作品の名前さえ出てこなかった。
ホラーや、スプラッタや、エロ、グロ小説として読めるというのも、いかにも作り上げだし、引用や要約も杜撰に過ぎる。日本で一番広く読まれたプロレタリア文学は壷井栄の「二十四の瞳」ではないか、とか、江戸川乱歩の「芋虫」がプロレタリア文学として出色のものだ、といった逆説めいた言辞が面白かったくらいだ。
昭和3〜6年に平凡社から出された「新興文学全集」が内容的にはプロレタリア文学全集ということになるらしいが、その別冊月報解説のハチャメチャさも、当時の平凡社の異常さを知らせてくれると言う意味では貴重である。

本誌は全読者諸君に向つて開放し無産文壇の登竜門として提供する。奮って投稿してほしい。熱あり力あり自信ある作品を大に歓迎する。僕たちはもうだらけきつた商売雑誌の商品的作品には何程の期待もかけてゐないのだ

こんな全集がはじめから売れるはずもないと思う。

2005/10/06(木)●ららく(老楽)

今日も朝からStones流しっぱなしで、午前中は返却期限過ぎてる図書館の本読み終えて、昼から灘図書館に行き、JR甲南山手駅の北にある「ららく」という店をひやかしに行く。
この店は学生青年センタの鹿嶋さんのお姉さんが昨年7月にオープンした、オリジナルスカートの店で、一度紹介してくれと頼まれてたのだった。
あいにくお姉さんは不在だったが、店は開いてた。「ららく」という店名は漢字で書くと「老楽」で、つい「おいらく」と読んでしまいそうになる。もちろん、そういった意味合いも含ませた上での命名だと思う。若い子より、ちょっとアダルトから中高年女性層をターゲットにした店らしい。
ららくスカートは、一見巻きスカートみたいだが、上から見ると「6」の字形になっているフリーサイズのロングスカートで、輪っかの部分を紐で締めるようになっている。すべて尾っぽの部分を右巻き、左巻きに変えることで、裏表柄違いの生地が表になるリバーシブルスタイルになっている。これは店主のオリジナルデザインで、特許出願中とのこと。たしかに体型に関係なくて楽そうだし、昔ながらの藍染め風の綿生地と、華やかな色柄のレーヨンのもので、シックでお洒落な感じだし、年間通して着用できそうだ。値段は、綿生地が2万円ちょい、レーヨン地が3万円くらいらしい。くわしいことは「ららく」のホームページをごらんください。
http://www.laraku.com
店内には、陶器、押絵、和紙、古布利用のバッグやコースターなど小物も並べられて、ちょっとした和風ヴァラエティショップになっている。Morris.は店の奥に掛けてある豪華な花の絵に見惚れてしまった。これは店主自身の作品で、仏蘭西金唐皮を髣髴させる。アクリル絵の具に金箔を重ねているらしい。とりあえず、おひまな方はこの絵を冷やかしにでも立ち寄ってみてください。
先般、ABCTVの取材があって、かなり知名度もあがったらしい。
帰りに灘区役所により、市営住宅の申込書貰って帰る。何度も応募したが一向に当たる気配がないが、宝くじよりは可能性あるだろう(^^;)


「ららく」店の前景

店内は和風小物店風

綿生地のららくスカート(左)

こちらはレーヨン地スカート、一見着物の帯のようだ

Morris.はこういった可愛い小物に弱い(^^;)

店主作品の一部だが、この豪奢さはお値打ちであるな(^o^)

【燃える蜃気楼】逢坂剛 ★★★ 「イベリアの雷鳴」「遠ざかる祖国」に続く、彼のライフワークの第3弾ということになってるらしい。Morris.は「遠ざかる祖国」は読んでたが、最初の「イベリアの雷鳴」というのはどうも読んでないみたいだった(topページの自部屋検索による)(>_<) 図書館でよく見かけてたのだが、てっきり読んでるものと思い込んでたようだ。
第二次大戦時のスペインを舞台に、ペルー国籍の宝石商を装った日本人スパイ北都を主人公に、英独米西のスパイたち、そして米国籍の日系女性スパイ、北都に心を寄せる英スパイなどの謀略戦を、彼一流のお得意の筆致で描いた長編スパイ小説なのだが、いかんせん、Morris.はすでに「遠ざかる祖国」のストーリーの記憶総てが遠ざかってしまっていた。これは別にシリーズの前を知らなくてもそれなりに楽しめるストーリー作りにはなっていて、650pの長丁場を楽しませてくれたのだから、エンターテインメントとしては充分合格点をつけることができるものと思う。まあ、スパイ小説の常として、騙し騙されする登場人物の遥か頂上に作家が君臨してる印象が拭えないのは仕方ないとして、これが三部作ではなくまだまだ続いて行きそうな気配で、本書の結末がいかにも中途半端の尻切れとんぼ状態なのは物足りなかった。
スペイン通で、スペイン語にも堪能らしい著者のいつもの伝で、登場人物の台詞のあとに、いちいちそれぞれの語学の実力や特徴などを得意満面に解説するあたりは、はじめのうちはまだ我慢できるとして、あまりにしつこいと、嫌味に見えてくる。スペイン料理や、酒、音楽に関しても同様な部分が見えるのだが、一種のスペイン案内小説を兼ねての読者サービスと考えているのなら、サービス過剰だと思う。
真珠湾作戦直後は本書の舞台で、結果的に敵国となった英国の女スパイと主人公のやりとりも、あまりにつくりものめいた安っぽさを感じてしまった。どうも本書の650pは水増し傾向にあるような気がするぞ。

【七月七日】古処誠二 ★★★★
 全く未知の作家だが、これは、最近稀に見る掘り出し物だった。戦争小説である。それも太平洋戦争のサイパン攻撃の短期間の戦記もので、Morris.の趣味とは反する作品なのに、読後感の重さと満足感は、かなりのものだった。
主人公は米軍の語学兵、つまり日系米人の志願兵である。日本軍や民間人に投降を呼びかけ、捕虜の説得と情報収集などを行うのだが、当然、日米両方からの軋轢に悩まされる、複雑かつ微妙な存在であるということは読む前からわかることだが、筆者は、この問題に血肉を通わせ、さらに大きな戦争、人種、国家論までを、細密な戦闘の描写の中から描き出している。
もちろん、主人公とその家族の受けた収容所での迫害や、移民してからの歴史、日本の恥の文化や、皇軍の矛盾と戦略の誤謬、米軍と米人の人種差別、さまざまな問題をきちんと表現している筆力と態度に感心した。
無差別殺戮の中で、かすかな糸のような命の重みを忘れずにいる主人公の、それでいながら殺戮を繰り返す行為との軋轢、ぎりぎりの極限状態での心理描写、捕虜の写真を使った伝単(降伏宣伝ビラ)に込められたメッセージなど、どこを切り取っても、臨場感溢れ、説得力に富んでいる。いまどきこんな戦記小説が「戦争を知らない世代」(たぶんそうだと思う)世代の作家によって書かれたということに、驚嘆するしかない。

アメリカでそこそこの財を成し、あるいは日系人の指導的立場にあった者は、残らず連行された。実質的な逮捕であり監禁だった。アメリカは、ショーティの両親をブラックリストに入れていたのだった。日本人学校の設立に尽力し、子供たちに日本同様の修身教育を施すような日系人は不穏分子でしかない。少なくともアメリカという国はそう位置づけていた。日本人学校が陸軍情報部日本語学校の土台となったことも棚に上げて、西海岸の日系人を収容所に入れる。都合の良い部分だけを利用してババを押しつけるそのやり方に、受ける風当たりは一部の心ない人間の仕業だと信じようと努力していたショーティは、しょせんは肌の色なのだという単純な真実を認めた。国家に裏切られてまだ認めない人間がいるとしたら、それは聖人であり同時にただのバカでしかなかった。

本書には著者略歴などないが、「ルール」、「分岐点」「接近」などの作品名が挙げられているから、是非これから読んでみたい。

【擬態】北方謙三 ★★★☆ 肉体派でボクシングジムに通ってる中年男性が、仕事とのトラブルの中で、暴力団と関わり、とんでもないスーパーマンぶりを発揮、偶然手に入れた拳銃までマスターして、極道はだしで逃げ出すほどの、暴力と殺戮、そしてカーチェイスも繰り広げる、ヴァイオレンス小説だが、主人公の仕事のやりかた、ボクシングジムでのスパーリングなどの描写がえらくこまかくリアルだし、展開もたるみなく、意外性もありの、ちゃんと複数女性との絡みもしっかりありで、なかなかに読ませてくれた。もともと腕力も体力もないし、暴力とは縁遠いMorris.は、いわゆる無いものねだりで、このての小説を好む傾向無きにしも非ずだが、読むからには三流劇画みたいな小説は御免蒙りたいから、このくらいの筆力を見せ付けられると、つい誉めてしまいたくなる。
終盤の、やはり同類の刑事との、狂犬どうしの噛みあいめいた道行きや、やくざのアジトで痛めつけられたあとの、逆襲ぶりは、あんまりぢゃという感じもしたが、これだけの超人めいた異形のヒーローを描き出したと言うことだけでも評価しておきたい。
ストーリーとは外れるが、主人公の勤務会社のリストラを含んだ社員間のやりとりなどに、奇妙な既視感を覚えたのはどうしてだろう?

「会社をやめろ、と言われているわけですね」
「君は、そこそこ仕事をしてきた。須藤よりは上だった、と私は思っているがね。だから、解雇の理由はない。君がやめてくれるのを待つ、ということだな」
立原は、温くなったコーヒーを啜った。
「組織というのは、個人の能力を問うんじゃない。上にいる人間次第だな。須藤は、大場室長と近く、大場室長は吉岡専務の子飼いだから」
「私は、仕事はきちんとやったつもりです」
「しかし、上に対する関係を、きちんとやらなかった。私は、何度か誘ったはずだよ」
小平に、酒に誘われたことは何度かあった。なにか意味があると、立原は考えなかった。
「福田君は私についていたし、うまく私と連合してくれれば、大場、風間のラインをひっくり返せたんだがね」
「考えてもみませんでした」
「そこが、君の抜けたところだな」
「会社、やめますよ」
「君のように抜けた男は、思う壺に入るわけだな。ちょっと干せば、やめてくれる。期待した私も、人を見る眼がなかったということだ」


ね、なかなかリアルなやりとりでしょ(^^;) でも主人公は割と平気である。

立原は、コーヒーの残りを飲み干すと、パソコンにむかった。養わなければならない家族がいるわけではない。ローンは残っているが、マンションを売り払えば、手もとにはいくらか残るだろう。なにも残らなくても、明日から肉体労働ができる躰はある。

スーパーヒーローぶりを発揮する前から、このくらいの強者ではあったわけだ。そういうところは、Morris.としてはちょっとひがみたくもなるところだ。

2005/10/05(水)Stones Night●

としろう、オーガスタと河内長野、上海向け荷物のピックアップ。あいにくの雨模様で、積み込みに手間どった。現場は奥さんの実家らしく、古い農村の豪家といった趣の日本家屋で、平屋の素敵な蔵があったし、畑にはパガジの花が咲いていた。
それでも定時より早く帰宅できた。夜は歯医者。上下の型を取られたから、次回くらいに被せがあると思う。
STARdigio今週は460chは4時間ぶっ通しのRolling Stones特集である。前にも何度かあってるのだが、こればかりは何度あっても嬉しい。
夜8時から深夜零時まで、ぶっ通しで聴くことにした(^^;)
圧倒的に1時間目2時間目の60年代ナンバーがたまらん。なんたってデヴューからリアルタイムのファンだったMorris.だから(単に年寄りとも云う)どうしてもあの衝撃が忘れられないのだろう.。バンド歴40年になんなんとするStonesは、現在まで減速無しで走りつづけるところが値打ちだし、最近の曲だって好きなんだけど、どうしても初期の「短くも美しく燃えてた(^o^)頃」の作品への愛着は一入である。
とりあえず1時間目と2時間目の曲目を引いておこう。

[1時間目]COME ON/NOT FADE AWAY/TELL ME/TIME IS ON MY SIDE/IT'S ALL OVER NOW/HEART OF STONE/LITTLE RED ROOSTER/THE LAST TIME/(I CAN'T GET NO )SATISFACTION/GET OFF OF MY CLOUD/AS TEARS GO BY/19TH NERVOUSE BREAKDOWN/PAINT IT BLACK/MOTHER'S LITTLE HELPER/LADY JANE/HAVE YOU SEEN YOUR MOTHER BABY?/LET'S SPEND THE NIGHT TOGEATHER/RUBBY TUESDAY/DANDELION

[2時間目]SHE'S A RAINBOW/JUMPIN' JACK FLASH/SYMPATHY FOR THE DEVIL/STREET FIGHTING MAN/GIMME SHELTER/HONKY TONKY WOMEN/BROWN SUGAR/WILD HORSES/TUMBLING DICE/HAPPY/DOO DOO DOO DOO DOO(HEART BREAKER)/ANGIE/AIN'T TOO PROUD TO BEG/FOOL TO CRY


何たって1時間目19曲だもんね(^o^)、2時間目になると14曲、3時間目14曲、3時間目13曲で。いかに初期の曲が短かったかがよくわかる。2時間目の場合はおしまいのFOOL TO CRYが異常に長いためで、それ以外の曲はやっぱり平均3分ちょいだと思う。まあ、あのころのビートルズなんか、もっともっと短かったけどね(^^;)
今もBGMで流れっぱなしだけど、やっぱりいいなあ(^o^)

【随筆 支邦・満洲・朝鮮】中西伊之助 ★★★ 中央図書館で中西伊之助の著作を書庫から出してもらったとき、長編小説「赭土に芽ぐむもの」と一緒に借りてきたものだ。昭和11年、實践社発行とある。大正11年から昭和10年までに、雑誌や新聞に発表したものを寄せ集めたものらしく、タイトルにあるとおり、三つの国(と言っていいのだろうか?)の紀行やエピソードや感興や時評や報告や何やかやが雑多に詰め込んである。
中には下手な花柳小説のできそこないみたいなのや、内容が重複したものも混じってるが、当時の当所の空気を感じることができるような気がして、なかなか興味深かった。

ここに収めた随筆は、しかしわたしのイデオロギーに因つた、小めんどうな理屈をならべたものではない。そのときどきの旅に、また諸植民地の街頭に、村に、朝に、夕に、わたしの眼に映ったさまざまの自然と人生を、感興にまかせて書きつづつたものである。

支邦、満洲、朝鮮にかんしては、従来、読者は食傷せられるほど、色々な出版物を手にしてゐられるだろう。が、それらの出版著述は、凡そ次の二種に分けることができると思ふ。すなはち、
一、通の書いたもの
ニ、視察、観光者の書いたもの
通の書いた著述はなるほどよく地理、人情、風俗を知つてゐる。だが、それは案内記以外の何ものでもない。彼は「眼」を持たない。従つて世界観がない。従つてまた今日が描かれてゐない。
視察、観光者の書いた著述は、カメラを筆に代へたにすぎない。その筆のカメラは、始終ピントが合つてゐない、滑稽なほど合つてゐない。中には故意に歪曲したものさへある。全く、以つての外である。

わたしの書いたものは、そのどちらでもない。そのどちらでもないことは、この著を読んで下さつた方ならよくわかることだらうと思ふ。

自序「だれも書かないもの」の一節だが、なかなか自信に満ちたマニフェストである(^^;) たしかに現代の、韓国、中国関連紹介本にも通じるような類書批判でもある。しかし、本書を読み終わったMorris.は、そのまま彼の言葉に素直には肯けなかった。
たとえば満州事変(昭和6年)以降(たぶん昭和10年)に書かれた「北支邦を横切る」の一節。

日本人が欧米のどこを旅行したつて、たとひ生命に危険を感ずるやうなことはあるまい。満州だつて匪賊の襲撃はあるがどの線でも日本人の五十人や百人はいつも乗つてゐる。だがここのやうな線になると日本人の旅客は甚だ稀でたまにチラホラと乗るばかりだ。座席の前を通り過ぎるたれの眼も此奴日本人だな? といつた風な表情で尻目にかけて行く。決して愉快なものぢやない。どういふ訳で日本人は支邦でこんな思ひをしなければならないのかと思ふと全くいやになる。もつと朗かに和やかに彼等と談笑しながら旅をする愉快さを味いたいものだ。

戦後生れのMorris.だからこう言う文章に違和感を覚えるのかもしれないが、無産運動家で、プロレタリア作家の視点がこういう能天気なものだったということには、やっぱり驚かされる。
「最近の朝鮮を語る」中の(朝鮮旅行者の為めに)と添え書きのある文中にも次のような部分がある。

鉄道当局や、その他鮮満の各方面でどんなに旅行者に愉快な印象を与へようとしても、たつた一つ、折角の愉快な印象を一気にブチこわしてしまふものがある。それは関釜連絡船あたりから乗り込んで来てゐる特高警察観の不審尋問である。
たとへば、わたしのやうに、名前を船客名簿に書けば身分がすぐ当局に知れて、此方でもそんなことに慣れ切つてゐるのだから、彼等がたづねて来てどんなことをきいても決して不愉快でもないが(しかし愉快でもない)。一般の旅客は決してそうではない。

中西伊之助「改造」をよんだり、マドロスパイプをくわえたりしてゐると、警察官から名前や、職業や、行先きをきかれたりする。---この事実は警察官といふものの常識不常識を問題にするより前に、一般旅行者に実に不愉快な印象を与へる。殊に初めて鮮満に足を入れた旅行者を、鮮満を息苦しい警察国家のやうに感ゼせしめる。この点何んとかもつと考慮して貰ひたいものである。

こちらは、まだユーモアが感じられるが、それにしてもやっぱり活動家の感想としては、上滑りしているように思えるのだが、これはやはり、振り返って過去を見る側の倣岸だろうか?
本書の扉に「著者近影」の白黒画像がある。真ん丸眼鏡に真ん丸顔で、支邦服を着て、かたわらに面長の頭蓋骨を配してポーズをとってる中西伊之助は、プロレタリア文学者より中国の富豪みたいに見えてしまった。
同じ出版社から彼の著作はこの時点で「軍閥」「裁判官を裁く」「随筆 冬の赤い實」の三冊が出ていたようで、巻末にその広告がある。「冬の赤い實」の惹句が彼の紹介にもなりそうなので引いておく。

著者黎明期の労働運動に投じてより二十年、勇敢なる幾多の労働争議、農民争議を指導し、この国にプロレタリア文学勃興するや忽ちその先駆をなしてブルジョア文学と勇戦す。その陣中折にふれ筆にあたり、純情の闘士の眼に映りたる自然と人生に対する火の如き感慨、絵のやうな小品、そこに他の随筆に見られざる特異風景を展開して興味津々、冬に熟する茨の、實情熱の詩人たる著者のスケッチ・ブック。無産運動二十年の横顔!

2005/10/04(火)みかちゃんと●

8時起床。
今夜はマレーシアから妹の結婚式で帰国しているみかちゃんと会うことになっていた。
夕方三宮に出て、三宮図書館、ジュンク堂を冷かして、7時過ぎに、JR三ノ宮駅で、待ち合わせ、みかちゃん、矢谷君と近くの焼き鳥「備長」へ、名古屋に行ってた安原さんも遅れて合流。
みかちゃんは9日の結婚式の後、妹夫婦といっしょにマレーシアに戻るらしい。ソニーの海外TV受信システムの件で話を聞かれたが、どうやら製品入荷が遅れているみたいだった。
みかちゃんがマレーシアに行ってからもう8年になると聞いて改めて時の流れの速さに驚く.
マレーシア土産にマンゴーを貰った。美味しそうである。


三宮「備長」で

相変わらずのみかちゃん

お土産のマンゴー(^o^)

【赭土に芽ぐむもの】中西伊之助 ★★★ 1922年(大正11年)東京改造社発行のプロレタリア小説である。もともとMorris.はプロレタリア文学とは縁遠い。小林多喜二の「蟹工船」、葉山嘉樹「海に生くる人々」のタイトルくらいは知ってるが、きちんと読んだ覚えもない。
まして、この中西伊之助なんて、名前すら知らない存在だった。どうして突然こんなものを読む気になったかというと、韓国トロット関連でネットで知り合ったKさんが、彼の研究者でもあり、この作品が当時の朝鮮を舞台にしたもので、実に詳しくあの時代の朝鮮の風土や生活を活写しているということを教えられたので、関心が湧いたのだった。
神戸中央図書館3階で書庫から彼の著作を出してもらった。この作品は戦後に出たプロレタリア文学全集にも収められているが、ハードカバーの初版本もあったので、迷わず初版を借りることにした。総ルビ、旧仮名遣いというのが嬉しいし、圧倒的に存在感がある。
しかし、冒頭、いきなり「土人の金基鎬は」と、始まったので狼狽してしまった。「土人」が「朝鮮人」のことと理解するのに数秒かかったが、当時の日本人の朝鮮人蔑視が如実に表われている。中西伊之助という社会派、プロレタリア派の作家にしてこれである。
ストーリーは、土地を奪われようとする朝鮮人金基鎬と、食い詰めて朝鮮、平壌で新聞記者をする日本人填島の二人の物語が相互に綴られていくのだが、はっきり言ってえらく読みにくい文章だった。
何故か地名をアルファベット頭文字で表記してある。朝鮮はC植民地だし、日本はN国、平壌はH市、ソウルはK市(京城)、東京はTといった具合で、NR戦争(日露戦争)、NS戦争(日清戦争)などという表記になるとナンセンスな気がした。
しかし、作家の分身でもあるらしい槙島の朝鮮観察眼はなかなかのもので、確かに興味深い描写が散見する。アリランの歌を「アララン」と表記して日本語訳を引用したり、漢字語に朝鮮語のルビをふってるものも多く、そちらにMorris.は目を引かれがちだった。

竜胆、茘枝、唐大棗、
可愛い郎君にみなあげた
アララン アララン アラリーヨ、
アララン唄つて遊びましよ……
あいご、あいごと泣くなかれ、
死んだ郎君は帰りやせぬ
アララン、アララン、アラリーヨ、
アララン唄つて遊びましよ……

・瓢瓠(ぱかぢ)・温突(おんどる)・酒家(すりちび)・色酒家(かるぼちび)・笠(かつ)・働き手の日(いさくんなる)・濁酒(まつかり)・盞(さばる)・周衣(つるまき)・上衣(ちよごり)・一、二、三(はなー、つーる、そーい)・妓生(きいさん)・貴人(やんばんさらみ)・蝎哺(かるぼ)・諾(いえー)・有難う(こうまふすめだ)・痛い?(あっぱ)・腹(ぺえ)・総角(ちよんがあ)・私解らない(うり もうらあ)


そして、次の一節、朝鮮人と朝鮮語に関する著者の把握は、なかなか穿ったものである。

もし人間の環境が、常にその成人生活を決定し、支配する--言葉を変へれば、人間の思想や性状は、いつも彼等の住つてゐる自然や、実生活から受けた影響で、殆ど作りあげられる--と云ふ考へ方がほんたうであれば、この土人ほどその考へ方を、実際に証拠立ててゐるものはあるまい。彼等は、いつも極めて平静に、長煙管の朦朧たる煙の中に独処自適してゐるが、一旦或る発作を感ずるか、又は軽微な動機でもあれば、彼等は事故を忘れて急転驀進する。彼等はロシヤ人のやうな鈍重性を帯びた半面に、徹底性をもつてゐる。フランス人のやうに華麗を好む半面に激情性をもつてゐる。かうした民族性は、どうしても彼等がこの半島に渡つて来てからの、長い伝統によつて作り上げられたものであるに違ひない。なぜなら、彼等の祖先は決して純一な種族ではなかつた。普通の人類史によるも、彼らは十幾種の祖先をもつてゐる。蒙古族、漢族、扶余族、貊族、ふい族、かん族、沃沮族、契丹族等が重なるもので、その他もつと深く考察するならば、更らに尚ほ幾種をも数へることができるかもしれない。殊にその言語は複雑を極めてゐる。母音が十一、子音が十八、それに急促音と称する頗る面倒な発音法がある。かうした雑多な種族が、西から北から南から東から、大河の流れを合して三角州を作るやうに、むかうの海岸ここの嶺の谷と落ち合つて来たのであつて、最初から独立の民族性をもつてゐたのでは決してない。故にその民族性は、突飛に変化する半島性気候が、彼等の性情を決定し、支配した最も大なる原因であらう。彼等の温突は、牢獄のやうに陰鬱である。彼は三寒に悩まされる間は、こゝに閉居して終日終夜苛烈な唐辛子や胡椒を用ひて酒精の強い焼酎や薬酒を呷る。或る者の如きは三日、四日と徹霄痛飲する。そして沈酔する。彼等はどうしても鈍重性を帯び、徹底性を喜ぶことになる。けれど、彼等が一度四温に会すると、彼等は眼を輝かして温突を飛び出す。そして明るい太陽の熱を浴びながら山野を駆けめぐる、彼等はどうしても激情となり、華麗を好まざるを得ぬ。怕ろしき民族よ!


「急促音と称する頗る面倒な発音法」というのは濃音のことだろうか?朝鮮民族の祖先説などは、Morris.から見てもちょっと胡散臭いと思われるのだが、民族の性情を土地の気候環境に起因するものとしての捉え方は注目に値すると思う。
思想以前の真情吐露といった感じの「人類愛の地下線…」と題する、填島の原稿に、作者のぎりぎりのヒューマニズムを見ることができよう。

「人類愛の地下線…。」しかし、その名は、彼のそのあまりに複雑な心象から見れば、単純、雑駁すぎる。けれど彼は、今その外に適当な名を発見することができなかつた。彼はともかく、その雑駁な、不満足な名の下に、彼の考へを推し進めて行かねばならなかつた。(地底深く潜行する人類愛の地下線は、人類の棲息する地球の内面に、それは蜘蛛のかけた細密な網の如く、人体の極めて末梢にまで走行する毛細血管の如く、或は神経繊維の如く、地上に小さく限られたる各の版図、言語、習慣、道徳、法律、宗教、教育及び皮膚の色素を超越して、脈々として涛摶ち、炎々として燃え立ちながら遍満してゐる。年を閲みすること幾千年。地球上の人類はどのくらいこの一線に向つて憧憬れたことか!彼等はそこの唯一永遠の自由、平和、幸福を求めて、どのくらい遣る瀬なき情念に懊悩したことか!勇敢にして焦燥な先駆者は、幾度か満目の荊棘を蹂躙してその一線に向つて驀進せんとした。けれど彼等はすべて惨ましく敗れた。明るさを慕ふて、累々として死屍を横へる夏の夜の虫の如く破れた。おゝ、眼も遥かなその一線よ!しかも人類はこの一線のためにのみ、総て死ぬことを得る歓喜をもつ、尊くも心憎きその一線よ!そしてもし人類にその一線が無かつたならば、彼等はどんなに寂しいことであらう!慕しきその一線よ。人類よ、鯨波を作つて、その一線に向つて進め!……)

600p近い本書の450pあたりから、填島がS炭鉱の悪辣な労働状況を新聞で攻撃して、その筆禍で投獄される場面になり、この監獄内の描写から、俄然生彩を帯びてくる。日本での監獄より更に過酷な状況が、現実味を帯びて迫って来る。これは作者の実体験に裏打ちされたものだろうか?最近の傑作漫画花輪和一の「刑務所の中」より更にリアリスティックな部分である。もう一人の主人公金基鎬が死刑囚として填島の前に現れるくだりや、一年ほどの刑期を終えてからの填島の動向など、かなり省略された形で投げ出されていて、小説としての結構には問題が多いが、荒削りだったり、無骨だったりするところにかえって本書の魅力があるのかもしれない。
今後彼の小説を読みつづけるつもりはないのだが、こうしたプロレタリア文学というのも、角度を変えて見ていけば、そこにはたしかに興味深い側面があることは何となくわかったような気がする。
Morris.には、貧しさや悲惨さを描いた作品を読むことで、一種のカタルシスを覚える傾向があるのだが、これはハーレクインロマンスを読んで、恋愛のカタルシスを覚える女性たちと同類なのかもしれない。

2005/10/03(月)KPOPSTAR●

昼過ぎまで寝てた(^^;) 幸い宿酔ではない。
昼からも部屋でごろごろしてた。
東京のヒョンミさんから「KPOPSTAR」11月号が送られてきた。先月写真取材した「煙突の角」の記事が掲載されている。メインのホバクジョンがてかり気味なのが気になったが、編集が手際よくレイアウトしてくれたこともあって、まずまずの仕上がりだった。このての雑誌はめったに見ないので、珍しさ半分で覗いてみた。ほとんどグラフ雑誌の趣きで、今月はペヨンジュンの24p特集を始めとして、パクヨンハ、クォンサンウ、チョンウソン、カンドンウォンと、男優中心である。女性ではIVY、SUGARなど女性歌手が取り上げられているくらいで、きっと本誌の読者の8割以上は女性なのだろう。息抜きみたいな見開きページで、この前ソウル最後の日に散策した韓屋密集地域「北村」の紹介があったのが嬉しかった。
夜は歯医者。右下の奥歯の土台作りだが、まだまだ大分かかりそうだ(^^;)

2005/10/02(日)ノレチャラン宴会●

今日は正午からKNTVで東京ノレチャランが放映されるというので、ムックさん、巻田さん、ぶんたさんの3人を部屋に呼んでテレビ見ながら宴会とうことになった。すでに韓国で9月19日に放映されたビデオはキュミちゃんから送ってもらってるから、わざわざKNTVを見る必要もないみたいなものだが、たまたま今日が第一日曜のスカパーチャンネル開放日ということもあったし、やっぱり現実にリアルタイムで放映されるのを見るということに意義があるということで、そうしたのだった。
朝からPCとチューナー繋いで、HDDに録画できるようにした。昨日の運動会ビデオで何となくPC録画づいているのかもしれない。
放送は時間どおりに始まり2時前に終わった。見終わってから気付いたのだが、例の宮原一家の歌と踊りの「ナメンヨルチャ」がカットされていた。はじめ、うっかり見損なったのかと思ったが、録画してたものを見直しても同様である。19日の韓国での放送のとき、宮原一家の出番のところで六カ国会議の臨時ニュースが入り、放送が中断したが、そのあと、ちゃんと放送されたのは確認しているから、これはKNTVの勝手なカットである。あまりにひどい仕打ちであると思うぞ。宮原一家もきっとTVの前で出番を楽しみに待っていたことだろうに。抗議してももう再放送なんてないだろうし、なんかやりきれない気がした。
途中尾西君が、部屋により、タイガース優勝翌日のスポーツ新聞5紙をどさっと届けてくれた。ありがとう。すべて岡田監督の胴上げシーンで、スポニチとサンスポの2紙ニッカン、デイリー、報知の3紙はそれぞれほとんど同じにしか見えない写真だった。おまけにもらった神戸新聞の優勝別冊の写真が一番良かった。
ぶんたさんは広島に帰るというので先に帰り、後はノレバン98号の韓国カラオケソフトの洋楽篇を使って、ムックさんとカラオケ大会。その間に巻田さんは今日の放送の編集をやってくれてた。
夕方みんなが帰った後、片付けもせずに、またBAD GIRLSの続きを見ているうちに寝入ってしまったようだ。


ノレチャラン宴会(^^;)

洋楽カラオケ大会(^^;)

阪神優勝新聞パレード(^o^)
2005/10/01(土)小学校運動会●

7時半起床。今日は、本山第三小学校の運動会に行くことになってる。
本山第三小学校運動会秋本家の次男海君の最後の小学校運動会である。秋本君がライブで北海道に遠征してるので、急遽ビデオカメラマンやることになったわけだ。
最近の児童殺傷事件多発、学校乱入事件などで、部外者が小学校の運動会を見る機会は大幅に制限されている。これは悲しい風潮だと思うが、とりあえず今日は堂々と?「海君友人」の名札つけて入場することができた。しかし、あの小さかった海君が小学校6年で上の森太郎君が中ニというのには、驚いてしまう。本当に子供がいると時間の経過が目の当たりに見えてしまう。
6年のメインプログラムは3つで、この「紅白対抗リレー」「騎馬戦」「組立体操」を重点的に撮影して、後は適当でいいということだった。Morris.は春待ちファミリーBANDの撮影なら数百回こなしてるし、結婚式でも10回近く写したことがあるが、運動会となるとからきしである。ずっと以前、社長とこの次女ひろこの小学校運動会見に行って、ちょこっと写したおぼえがあるくらいだ。
なにしろ同じかっこうした子供たち百人以上が運動場を動き回るから、海君をマークするだけでも一苦労である。幸い彼はちょっと長い目の白靴下履いてたので弁別に役立った。これがなかったら、きっと悲惨なことになってと思う。リレーの時は、アップにし過ぎてコーナー回る付近で一瞬見失ってしまったが、他はまずまず大過なく撮影できたと思う。お昼は依子さん手作りのお弁当たらふくご馳走になる。いやあ、運動会で弁当なんてのは本当に久し振りである。3時ごろに全プログラム終了したが、入場行進などの行進曲はずっと「冬のソナタ」のテーマ曲だったのには、くしょうしてしまった。
4時半に帰宅。
夜は今日のビデオをPCのHDDに保存して、DVD作製。これも本当に久し振りで、あいかわらず、手探り状態の作業。1時間強のDVDに何とかまとめることに成功した。リレーのミスを除けばまあ満足して貰える出来ではないかと自画自賛する。
このところすっかりご無沙汰してた「ALL IN」久し振りに見たら、今日が最終回だった。結局Morris.向きではなかったな。ソルミンもちらっと出てきたが、何だかなあである。来週からはイヨンエの「大長今」が始まるらしいが、どうもNHKの韓国ドラマシステム(衛星→地上波)パターンは、釈然としない。Morris.亭はBS見られないから、いちおう地上波で始まると見ようとするのだが、両方見られる人はたいてい先にBSの方を見るだろう。後から地上波で見る人たちとのタイムラグが、どうも面白くないのだ。
島田和夫部屋、スケジュール更新。


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