韓国漫画ではイヒョンセくらいしか知らなかった。その他は日本漫画の韓国語版をよく読んでたくらい。ちょっと前に読み出したキムドンファ、ペグムテクなどの話題を、きょん☆あさんのメーリングリストにアップしたら、ちょっと反響があったので、泥縄式に、こんなページを作ってみた。はたして今後シリーズ化できるかどうか心もとない。あまりネタもないし、メモリ貧乏のMorris.としては、画像はなるだけ使いたくないので、そうなると制約が多くなりすぎる。とりあえあず、韓国らしい漫画の第一人者キムドンファから。
1.キムドンファの「ファントピッイヤギ−−黄土色の物語」
3年ほど前に、キムドンファの名を教えてくれたのは、チョンユソンさんだった。彼女は韓日英に堪能な上、大学ではスワヒリ語を専攻したという才女で、当時は日本の漫画の翻訳などをバイトでやってたこともあって、日本の漫画に関しても詳しかった。というわけで、さっそく東大門市場の漫画問屋で見つけたのが、この「ファントピッイヤギ」だった。
何度かにわけて4巻まで購入、続きがあるはずなのに5巻以降はまだ手に入れてない(問屋で探したが在庫無し)。
時代設定は今世紀初頭くらいか??(現代ではないことはたしかだが、Morris.には特定できない)、酒幕を営む美しい母と、その娘イファ(梨花)の恋と成長の物語だが、主人公イファちゃんの幼いときの凛々しい可愛らしさにひとめぼれしてしまった。(一番好きなコマが、右のアップ−−刈り上げに注目!!)キムドンファの絵柄は少女漫画風なのだが、背景の風物や植物が実に丁寧に細かく描かれていて、1冊に数か所ある、見開きの風景はそれだけで鑑賞にたえる。右下に貼りつけた松の木の描写も、その一例なのだが、スキャンしたうえ縮小したので、その精密さが伝えられないのが残念。想像をたくましうしてください。
母は寡婦らしいが、放浪の革筆絵師と恋仲で、年に一度か二度逢瀬を楽しんでいる。イファちゃんも結構色んな少年、青年との間に淡い恋が芽生えるし、本格的恋人も現われたりして、心身ともに大人になっていくのだが、なにぶんにも途中までしか持ってないので、これから後がどんな展開になるのかよくわからない。
【裏表紙のキャッチフレーズ(かなりMorris.の意訳あり)】
花開く十四歳のはにかみと成熟した女性の妖艶な魅力を併せ持つ漫画
朝鮮白磁の典雅さと素朴さを味わうことのできる漫画
色褪せた無声映画の香気でもって
薄れかけたいにしえの記憶を蘇らしてくれる漫画
そして黄土の捏ね土からでも
洗練と端正と優雅を表現できることを実証する漫画
絵画作品として鑑賞するに足る漫画
フェミニズムの漫画−−ファントピッイヤギ
昨年同じ作家の「モンナニ−−出来損ない(不細工な娘の意味?)」という単行本3冊を見つけて買ってきた。青年週刊誌に連載していた「キーセン物語」の単行本化と思い込んでいたのだが、実はまた別の作品だったらしい。こちらは、短編集で、やはり、少女、乙女の恋物語が中心だが、先の「ファントピッイヤギ」と絵柄はほとんど同じで、同一のエピソードも出てくるので、こちらが習作なのかもしれない。(単なるネタの使いまわしという可能性も高い(^○^))
[作家紹介]キムドンファは1950年ソウル生まれ。75年「ナエチャンゴン−−私の蒼空」でデビュー。「ウリドレイヤギ−−私たちの物語」(79年)、「ネイルムンシンディ−−私の名はシンディ」(80年)を発表して、80年代の純情漫画(少女漫画)復興期を準備した。84年「ヨジョンピンク−−妖精ピンク」、87年「コンチュンソニョン−−昆虫少年」発表。93年から雑誌「ツエンティセブン」に「ファントピッイヤギ」シリーズを連載する。作品には「アカシア」「ヨンオソンセンニム−−英語の先生」「キーセンイヤギ−−妓生物語」などがある。
●Morris.ホームページに戻る