何となく昨夜は寝付かれなかった。朝4時に目を覚まし、しばらく昨日買った本をパラパラと見てたが、結局それから寝付いて、8時起床。
今日も天気は良さそうだ。本当に今回の旅程中雨が降ったのは陶磁ビエンナーレに行った日の夕方からと、その翌日だけで、それも、うまい具合にバスに乗ってるときに強く降ったりで、持参した折畳傘は使わず終いだった。
前回は結構雨にたたられて、それでも荷物になると傘は持ってこなかったし、買うのも業腹だと、結局ズブ濡れになってしまったことを思うと、持って来て使わなかったというのは、保険が効いたというべきかもしれない。
今日は昨日みたいな無理はするまい、それでも、やっぱり電子辞書のことが未練で、とりあえず駄目もとで、宣陵公園に行って確かめとこうかと思う。2号線で行けばすぐ入口があるしそれほど時間はかかるまい。何なら今日はせっかくだから、あの公園をゆっくり見物するのもいいかもしれない。
その前に、とりあえず恒例の観光公社メールチェックに赴く。受付の女性が、Morris.の顔を見るなり声をかけてきた。さすがに顔馴染になったもんだと、挨拶を返したら、右手に茶色いものを持って、これこれ、と指し示す。おお、Morris.の電子辞書ではないか\(^o^)/昨日の朝、PCが満員だったので、待つ間、受付女性といろいろ話し、Morris.部屋を紹介、あまつさえカウンタの中のPCでMorris.部屋を開いて韓国ページを見せびらかしたりしてたが、知らない単語があったので辞書を使って説明していて、途中にPCが空いたので、移動するとき、辞書はカウンタに置き忘れていたらしい。
いかにもMorris.らしい粗忽ぶりだが、何はともあれ、辞書が出てきたのは嬉しかった。万歳マンセーッ\(^o^)/である。
これで、宣陵に行く必要も無くなったし、昨日までの鬱屈はきれいさっぱり消えてしまった。現金なものである。
さわやかな足取りで、今回なんかえらく足繁く通った市庁前広場に出る。ついでだから、市庁の中も見物しておこうと、門番にことわって入る。2回目だからそれほどの感慨はない。PCがあったので、昨日の日本と北朝鮮のサッカーの結果を見る。2-0で日本が勝ち、予選突破を決めたよし。結果オーライである。
先日初めて行った徳寿宮横の大韓聖公会にまた立ち寄る。今日はほとんど誰もいない。裏手のベンチに座り、向いの韓風の資料室を眺める。見るほどに雰囲気が良い。この広場自体が良く計算された構図になっていて、樹木や石垣などもさりげないなかに、韓国人ならではのセンスが光っている。今回の旅ではソウルの一番のお気に入りの場所かもしれない。無料の駅前新聞を読みながら1時間くらい座っていた。
そのあと、徳寿宮の反対側の路を通って、以前何度か行った農業博物館にでも行ってみようと思う。徳寿宮大門前では、李朝時代の衣服を着た武官たちが恒例のセレモニーを行っていた。儀式を終えた彼等を追うように付いていったら右手に市立美術館があった。むかし市立美術館はキョンヒ宮にあって、一度行って貧弱だったイメージがあるし、いまさら美術館でもなかろうと思いながら、古そうな洋風建物に惹かれて前まで行く。大した展示もやってないみたいだったが、せっかくだから入ることにした。これは結果的に大正解だった。
個人展では千鏡子という女性画家の作品展があっていて、Morris.好みではないが、えらく多様な表現洋式を駆使し、図案から油絵、水彩、実験的な作品までバラエティに富んでいた。日帝時代の作品には「千田鏡子」という署名があった。
もう一つの特別展は、建物の中に自然を再現するといったテーマで、Morris.にはいまいちぴんとこなかった。案内をやってるソンジョンアという女の子としばらく話す。本当に今回の旅ではMorris.は多くの韓国人と話すことが出来た。これは自分を誉めてやりたい^^;
展示場一画に、ざら紙に印刷した白黒写真のカタログみたいなのがあった。めくってみたら、これが、Morris.の大好きなコルモッキル、というか、一つの地域全体が貧しいコルモッキルだけで出来たようなところの写真集だった。タイトルは「nakgol(落骨)2001-2002」。Morris.は何度も見返して、すっかり気に入るというより、参ってしまい、スタッフらしい男性に、買えないものか尋ねたが、これは作家たちが、自分で製本したもので、売り物ではないという。解説によると、柳賢民を初めとする10人近くの写真家が、この地域の特殊性とその記録のため、近く都市開発計画で消え去る前の姿を写真に記録したものとある。
うーーーん、これは、絶対今日にでも見に行かなくては、とスタッフに場所を聞く。適当な感じだったが地下鉄新林で降りたらいいということだけは分かった。カタログに住所は新林7洞で、現在は「nangok蘭谷」という呼び名に変わってることだけを確認する。
美術館を出る前に受付にこの建物の由来を聞いたら親切なアジュマが詳しく教えてくれたが、あいにくMorris.にはほとんど聞き取れなかった^^; ともかくも大法院か何かの建物だったらしい。
先の「落骨」地域のことも尋ねたが、あまり詳しくは知らないようだった。それでも、Morris.が建物に興味をもってると思ったのか、1冊の本を贈呈してくれた「プクチョン北村」という本で、韓屋のカラー写真多数とそれぞれの平面図側面図、写真には工事前、工事後の記載されてるから、そういった類の本で、ありがたいが、重いのが玉に瑕だなと思ったが、ありがたく頂戴する。外でコーヒー飲みながら、ぱらぱらとみてたら、北村というのは地域の名前で、ソウル髄一の韓屋密集地帯と書いてある。しかも、なんとインサドンのすぐ北一帯ではないか。これは旅の終りの散策にもってこいだと思った。
ともかく、まずは、新林に出る。小腹が空いたので近くの粉食屋でキムパとおでん頼む。お、ちょうど、韓国ークウエートのサッカーやってる。後半5分で2-0で韓国がリード、これなら余裕で観戦できる。それにしてもいいタイミングである。20分ほど見ていたがその間に、韓国は駄目押しの3点目、4点目を入れる。これなら大丈夫と店を出る。
詳しい地図が無いので新林7洞が良くわからないが、距離的には新林駅より隣のシンテバン駅の方が近そうでもある。良くわからないながらそちら方面に向かいそうなマウルバスに乗るが、これは完全に失敗だった。そのまま、折り返して、今度は普通のバス「蘭谷団地基点」行きに乗る。
終点が新林7洞だったが、がーーん、目の前には20棟近くの巨大な高層アパートが工事中だった。とりあえず、あたりを徘徊するも、それらしい雰囲気の建物はない。諦めて折り返しのバスに乗る。
ところが、
反対側の商店の裏手にそれらしい家並がちらっと見えた。あわてて、次の停留所で降りて引き返す。
おお、やっぱりそうだ。あのカタログで見たそのままの風景が、小規模であるが残っていた。百米四方くらいの中に数十軒の家がかたまっている。縦横に巡る道ともいいがたいコルモッキル。だが、悲しくなるほど美しい。この一帯も来年まで残ってるかどうかわからない。ある意味ではMorris.はぎりぎりで、落骨の残滓を見ることができたのかもしれない。市立美術館に行かなかったら、そのまま知らずに終った可能性も高い。それにしてもあのカタログは、欲しいぞ。
バスで、ヨンドンポ駅まで戻り、地下鉄で安国に出る。昨日のカイア画廊に寄って、スンヒョンさんに辞書が出てきたことを報告しとこうと思ったが、今日は来ないというので、別の子に伝言を頼む。
「北村」というのは、慶福宮、昌徳宮、宋廟に挟まれた地帯で、李朝時代から、政府高官や役人の邸宅が多かった、いわば昔からの高級住宅地帯だが、日帝時代に分割され、現在の小住宅の街並みになったのは1930年代らしい。それも太平洋戦争、朝鮮戦争などで破壊されたり、傷んだりしていたが、ソウル市が梃入れして、昔の街並みを復元しようという運動を進め、今ではかなりそれらしい街並みを取り戻したようだ。Morris.がもらった本は、その成果を紹介するためのものだったらしい。
かなり広域だが、本の巻末に観光ルートマップが付いていたので、今日はMorris.にはめずらしく、このルートに沿って歩いてみることにした。大まかに東西二つのルートで、Morris.は西側から攻めてみた。
いや、大したもんである。灯台下暗しとはこのことである。数年前からインサンドンをねぐらにして、うろうろしまわってたのに近くにこんないいとこがあるなんて、全く知らずにいた。これはもしかして知らぬはMorris.ばかりなりだったのかもしれない。
途中ちょっと横道に入ったり迷ったりもしながら楽しい2時間ほどの散策を終える。
道端で小学生の女の子二人に声をかけられたり、坂道でちょっと迷ったと言ったら道案内してくれた9歳と6歳の男の子、ペヨンジュングッズを売ってた土産屋のアジュマとの馬鹿ばなしなど、人との触れ合いもあって、なかなか良い最後の日の散策になった。
アルムダウンカゲという、リサイクル屋も覗いたが、大して見る者はなかった。
8時ごろ一旦宿に戻り、一休みしながら日記つけて、10時前にインサドンの飴売り屋へ。最後の夜は、一杯やろうと約束してたのだ。今日はヒギョンのギターと歌を聞きたいから、そういう店に連れて行ってくれるように頼む。またタクシーでテハンノに出、例の「東学」に挨拶に立ち寄る。主人はいたが、すっかり酔っ払ってた。
その後、ライブハウスに連れて行かれる。ビルの2階にあるこの店は、レコードマニアの店主が作ったみたいで、いちおうドラムセットなど置いてはあるものの、ずっとレコードがかかるばかり、それも洋楽である。Morris.は洋楽が嫌いというわけではないのだが、こちらに来たときは韓国語の音楽が聞きたいし、今日は最後の夜なのだ。ヒギョンがギター弾けるような雰囲気でもないので、文句を言ったら、別の店に行こうと言う。
タクシーでインサドンに戻り、さっきよりはちょっとくだけた感じの店に入る。ここならまだましかなと思ったのだが、またまたかかるのは洋楽が多い。韓国の歌をかけるように頼んでもすぐに洋楽にもどる。だんだん腹が立ってきた。
そんなMorris.の様子に気がついたのか、やっとヒギョンが主人に話してギターを出してもらい、チャンナラの「コベク-告白」とソンチャンシクの「コレサニャン-鯨狩り」の2曲を歌ってくれた。ギターはそこそこだが、唄はなかなか上手い。でも、それだけで終わりで、またレコードがかかる。外はいつの間にか雨が降ってる。もう1時回ってるが、あと一軒くらいは行けるだろうと、移動することにした。
インサドンの一番北側、クラウンベーカリーの前の三角公園に、前に一緒に飲んで顔なじみになったアジョシが軒下にマットを敷いて雨宿りしていた。もちろんフンヨンらの仲間だ。Morris.らも一緒に座り込み、前のコンビニでソジュを買ってきて、飲む事にする。ヒギョンがコンビニで最近人気の、どでかいカップラーメンを買ってきて、それが肴である。てんでに箸を持って回し食いだ。
雨だから、公園には誰もいない。4人で飲んで話して、ちょうど手元にあった歌本を回して歌い始める。Morris.は玉子マラカスで合わせる。もちろんMorris.も知ってる歌を歌った、ような気がする(^^;)。そうだよ、はじめからこうすれば良かったんだ。ここにギターでもあれば申し分無かったのだが、ともかくも、この旅の最後の夜の有終の美?を飾ることができて何ともめでたい祝着である。
3時にお開きにして、宿に戻る。アジュマは起きていたので、先に挨拶を済ましておく。今度はいつ来るかと訊かれたので、たぶん来年だろうと言うと、もしかしたら、来年までいるかどうかわからないと、ちょっと淋しそうな顔をされた。契約があるんだろう。Morris.が最初にこの宿に来たときは違うアジュマがいたもんな。
ともかくまた会えることを願って別れを告げる。アジュマが「百歳酒」という小さな瓶の薬用酒を二つくれた。これは記念に神戸に持って帰ることにする。そういえば、ずっと以前、近くのウォルガン旅館に泊まっているとき、バスにシステム手帳と大金(Morris.にとっては)を落としたとき、宿のアジュマが「冬蟲夏草」ドリンクくれて励ましてくれたことを思い出した。
荷物の整理もそこそこに、目覚まし9時にかけて眠りにつく。
8時半起床。ちょっと宿酔気味だが、それはいたしかたない。
部屋をさっと片づけて、忘れ物ないかチェックして、ボストンバッグに荷物ほとんど詰め込む。本が5冊にCD10枚以上あるし、カタログ、パンフレット、捨てるに忍びないデジカメに、三脚、傘に衣類、何やかやで結構な重さである。
9時半に宿を出る。アジュマにも挨拶することができた。
「にんじん」で食事とっておくことにした。もちろん最後のスンドゥブチゲである。去年初めてここで食べたスンドゥブは、安い割に結構美味しかった気がするが、今回はちょっと味が落ちてる。というか、朝はアジュモニがいなくて娘が作るので、その腕の差が出てるのかもしれない。今日は宿酔だけに、ちょっと食べるのがきつかった。
アジュモニにもよろしくと伝言して10時前に店を出て、YMCA前から空港バスに乗る。えらく混んでいる。今日は金曜日だから出発客が多いのかとも思ったが、客の格好からするとそうでもなさそうだ。
空港についたのが11時前で、えらく早い。でも、Morris.はこの空港で、のんびり待つ時間というのは結構好きだ。
重いバッグは預けてチェックイン済まし、地下におりて、本屋とレコード屋を冷かす。本屋では巻田さん用に映画雑誌「SCREEN」買う。シンナラレコードは、町で買うより高いのでいつも見るだけだ。った、はずなのに、チャンユンジョン表紙の最新トロット2枚組見て、ああ、市場で買っとくんだったと後悔した。市場価格の倍くらいの値札が付いてるが、残ってるウォンで思い切って買うことにした。「オモナ」とキムヘヨンの「ユリクドゥ(ガラスの靴)」も入ってるから、良いことにしよう。
コンビニでサイダー買って、早めに入場し、搭乗口の椅子に座ってぼんやりしてたら、突然「Morris.さん」と呼びかけられた。ちょっと思い出せなかったが、10年程前ニフティの光化荘のメンバーだった鈴木さんで、一度だけ鶴橋のアリラン食堂オフで会ったと言われた。よくMorris.のことわかりましたね、と言ったら、特徴があるのと、Morris.部屋はときどき覗いてるからとのことだった(^^;)
彼は現在東京在住で、名古屋の弟とネット関係の仕事してて、今回は取材も兼ねての1ヶ月の滞在だったと言うことである。それにしても偶然こういうところで会えるというのも、面白いものである。メールのやり取りを約束して別れる。
今日の席は右側のちょうど翼の真横だった。1時20分のフライトのはずが、客が一人荷物を預けたまま、時間に遅れてしまったという理由で、待たされる。結局キャンセルになったらしいが、荷物を探すのに手間取り、さらに、離陸の順番待ちもあって40分くらい遅れてしまった。その頃には雨は止んでいたが、今日はえらく雲が厚く空からの景色もいまいちだった。
結局関空到着が3時半過ぎ、JRで乗り継いで部屋に戻ったら6時過ぎてた。食堂出てから8時間というのは、いくらなんでも時間かかり過ぎである。
やっぱり18日間、歩きまくり、飲みまくり、歌いまくりで、結構疲れてる。
でも何はともあれ、ちびくろの日記ファイルをアップしてhigashi4号に取り込み。さらにデジカメのメモリカードを、以前のデジカメ(こちらは壊れているが、読み込み、表示はできる)を使って、higashi4号に取り込む作業。結局全部で850枚くらいあったようで、結構時間がかかった。それでも、この作業が済んで、一安心である。
阪神がMorris.の旅行中も好調を維持してるというのは、掲示板などで知っていたが、今日の対日ハム戦も、4-4の同点で延長になったものの、金本のサヨナラホームランで4連勝ということになった。
遅めに風呂に入る。考えてみると今回は一度も風呂行かなかった。毎日宿のシャワー使ってたからだ。
取り込んだ画像をスライドショーで見て、旅の思い出を反芻しながら、イウナのテープを聞く。なかなか良かったのだが、2本のうちの片方はイウナではなかった(>_<) 「熱風トロット」には、確かにイウナとはどこにも書いてない。「にんじん」でチェックしたときはちゃんとテープが鳴るかどうかだけに気がいってたので、気づかなかった。ちょっととだまされた気もするが、こちらはとぼけた感じの男性歌手である。見事にチープな演奏なので、これはこれで面白いということにしておこう。
ちびくろ持参で、現地でほぼ毎日日記は打ってたから、本文はほぼ打ち上がっている。1行40字詰めで1,200行超えてるなあ。今回は韓国滞在18日と、いつもよりちょっと長かったこともあるが、四百字詰原稿用紙で軽く百枚は超えてることになる。
はたして何人がこれを読むんだろう。大半は、さっと、写真に目を通すのだろう。でも、今回は写真がメインだから、それでいいのだ。
これからその画像の整理にかからねばならないが、800枚からの画像の中から選択したり加工したり、キャプションつけたりとなると大変だろうな。ちょっとぞっとしてきた。ぼーっとスライドショー観てる方が楽しそうである(^^;)