・草虫魚いざ出替りの逸り哉
・葹 をなもみの立枯れし実の恨み節
・胸騒ぎ如月短かカルモチン
・タルチュムの面泣き笑ひ鬼遣 おにやらひ タルチュム=韓国の仮面劇
・有明の月朦朧と春立つ日
・里に野に倦みの色無き春北風 ならひ
・会離とは交喙
いすかのはしや迷ひ箸
・春遅し百済の郷の木賃宿 扶餘回想
・出口無し蛇の命も摩滅せり
・そら涙春の小川に流す嘘
・憎みける男遥けし蜆汁
・元宵 げんせうの巨大玉兎の捕り逃し 陰暦1月15日の月
・二枚貝芭蕉無上の人誑 たらし
・美しの句や美しき武玉川
・早咲の菫血塗れ為さぬ恋
・東風吹くや飛梅の香の先走り
・鳥雲に入る心の澱や黙秘権
・如月の月命日や観世縒り
・麺麭
パン包む乾酪烹汁
チーズフオンデユの蕩みかな
堀姉宅
・PCに徴 きざす恍惚春浅し ノレバン1号フリーズ
・仰ぎ見る辛夷蕾に色生 あれぬ
・玉散るや白沈丁花八犬伝
・春雨や履き捨てられしトウシューズ
・ふらここに美國の夢幻揺曳す
アメリカンドリームの世紀展
・白魚の胡麻目を酒の肴哉
・霞食ふ覚悟やあらむ春の人
・抱一の花鳥時空を併呑す
酒井抱一「十二ヶ月花鳥図」
・あらまほし夢に胡蝶の匂ひ草 梅
・地に満てよ紫花菜十字軍 紫花菜=花だいこん
・ぬばたまの闇将軍や春の雷
・現し世はトロンプ・ルイユ潦
にはたづみ
・階調の綾なす机上欝金香 社長誕生会
・雅男 みやびをの夜会貧しく歌の春
・しめやかに大股開き葬春譜 バルチュス没
・焼酎
ソジユキムチ臓腑直撃カムジャタン
じゃが芋のチゲ
・初頭禊の如く養花雨 やうぐわあめ
・駆引きのありやなしやと猫の恋
・梅鉢に紅白の妍 けん熾烈にて
・韜晦の心温
ぬるめり祝婚歌
北山冬一郎詩集
・激情の嵐ふふみてヒース立つ
「嵐が丘」
・女坂赤芽柳の皮衣
・麗日 うらゝびの自転車軽く軽く過ぐ
・狂言は理
ことわりとして獺祭
をそまつり
・君知るや秘密の花壇荒廃す 「秘密の花園」バーネット
・粉まみれキャベツてふてふ仕方舞 紋白蝶
・梯子酒酔ひ醒す程の余寒かな
・極楽は退屈地獄酢蓮根
・過去不問つらつら椿咲き重る
・三日宵須臾の逢瀬や月と星 三日月と金星の接近
・酔どれの其角ぞ男二月尽 其角忌
・梅一輪馬上少年過去の恋
独眼竜、伊達政宗