・初夢を現に見るがMorris.流

・御降 おさがりや古き日記の乱れ文字

・四日過ぐ胡瓜のやうな休肝日 胡瓜−cucumber
 

・寒玉子肉弾相撃つノーサイド (高校ラグビー佐賀工健闘

・弥増 いやまさる指の乱舞や弾き初め いやまあきのり誕生ライブ

・存在の軽重愛す小寒哉

・星月夜初雪舞ふや宇宙塵
 

・消防の仕事初めや水仙花

・麗しの河山讚歌霜柱 韓国ロックのゴッドアボジ、シンジョンヒョン

・海霧を霓裳羽衣と室戸崎

・葱生姜唇嬲る鶏皮湯
 

・蕩児逝くべた雪街を穢す夜

・七種も質種も無しモリス亭

・鐚銭 びたせんを独楽に遊ぶや児等有心

・人日や望まざるもの相対死
 
 
・枯枝に貝殻虫の白々と

・一月の望月の暈神さびぬ

・福笹に意味深長な恵比寿顔  西宮恵比寿神社 十日戎

・商人 あきんどの悲喜交々や初戎 同上
 
 
・神酒酌 くむ杉枡木目けざやかに

・バス窓を歩む冬蠅腹の痩せ

・凩を全身に受く大極旗 神戸韓国領事館

・冬銀河眼精疲労母の影
 

・銀匙を忌避するまでの寒さ哉

・柊やHeart-Landの緑佳し

・木の葉髪針失ひし羅針盤

・掛軸に非在の雪の降懸る
 

・縮緬の夕波千鳥乱れ舞ひ

・開く時金粉落す屏風哉

・六花舞ふ東西南北昏々 こんこんと

・極寒のサムギョプサルや贄祭 鶴橋「福ちゃん」
 

・遊牧の民さ迷ふて冬の湖

・慟哭も鳴咽も隠し寒椿 神戸地震6周年

・滝凍るとき無言歌のピアニシモ 那智滝凍る

・日向ぼこ桜の下の灰被き
 

・恩寵の景勾配の斑 はだら雪 舞鶴道

・凍河に白青五位の鷺祭 同上

・ふつふつと冬ざれの夜豚を煮る

・朝来 あさご越え白の色気や岩津葱
 

・寒鴉族の屍を啄ばめり

・霰鉢不覚悟非道山頭火

・大寒の雨に微醺の漏れにけり

・鳶色のマフラー重く温かし 年末に逝った小林とみさん(享年95)手編みのマフラー
 

・春まだき曙白く白く消ぬ 横綱曙引退

・大寺の軒に垂氷の連ね哉

・低声の露西亜民謠舟沈む

・文藝の桎梏冬の訳詩集  ｢月下の一群」
 

・冬の猿パントマイムを演じ切り マルセ太郎没

・獅子頭さても緑のカレー哉

・春節を待つや異郷の十二神  神戸南京街

・長寿など人に背負はせ竹の酒 大安寺笹酒祭
 

・ほろほろと燗人肌の閑吟集

・冠雪に温灸据ゆる伊吹山

・解けかけて復た凍りたる雪仏

・かろきこと雪ひとひらの匂ひ哉
 

・枯葉蔓衒学始終騒々し

・旧正やイパクサの礼透りけり 留守電にパクサの新年の挨拶メッセージ

・猫凍死残んの月を偏愛す

・金農の氷の文字の孤絶哉  金農ｰ中国清代の書家
 

・玉響 たまゆらの宝石潔し六角花

・草迷宮中庭に雹着弾す

・冬薔薇業深からむ負のピアフ

・蝋燭の焔に縋 すがる冬安居
 

・六度目の冬来たりなば春もまた

・あるものを心置きなく一人鍋

・眼鏡曇まして他山の玉 ぎよくと石

・座敷牢跳ぬ術も無き雪兎
 

・眼間 まなかひにモノクロームの冬の虹

・春待つやはつかに匂ふ茴香油

・山は雪何れが兄ぞ蘭と竹

・着膨れて思ひ出ばかり罪重ぬ   ノヨンシムの歌「クリウムマンサイネ」